ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2012.5.21 173年ぶりの神秘に酔う

2012-05-21 21:55:01 | 日記
 関東地方では173年ぶり、国内のこれだけの広い地域で観測出来るのは、平安時代以来932年ぶりという天体ショー。
 最近の天気予報は本当に良く当たる。昨夜の天気予報通り、朝起きた時は雲が厚く、やっぱり無理かな、という曇天だったが、7時過ぎに雲の隙間から部分日食が確認出来た。先週末、滑り込みで購入した日食眼鏡を片手に、夫と代わる代わるベランダから空を見上げ、お互いの姿を笑いあう。
 息子は当初、「学校で友達と見るから早く家を出る。」と言っていたが、何のことはない、それならもう出かけなければ、という時間にようやく起こされて起きてきた。「最寄駅で友達と観察してから行く。」と、いつもよりはもすんなりと家を出、「目を傷めたら大変だから直接見ないようにね。」という私の言葉に、久しぶりに素直に「は~い」と返事をした。

 夫も後ろ髪をひかれるように「もう間に合わない。写真が撮れたら撮っておいて。」と家を出た。
 一人になった私は、日食中継のテレビ画像をチェックしながら、ベランダに出た。暗くなり始め、雲が流れると、一瞬三日月のようにごく細くなった太陽が見えた。朝食もそこそこに日食眼鏡を独り占めして、立ち位置を固定。眼鏡の向こうの太陽は思いのほか小さい。そして、雲がびっくりするほど早く動き、いきなり目の前が真っ暗になる。と、まもなく月が太陽の中に全面的に入りこんで、リング状の金環日食になって姿を見せた。
 団地のあちこちの窓から「おおっ」「わあ」等の歓声が漏れていた。道路に出て見ている、同じ号棟のご夫妻の姿もあった。
 思えば、ダイヤモンドリングと称する皆既日食直後の美しい写真を初めて見たのは小学生の頃だったろうか。理科便覧に載っていた写真は、確かアフリカのどこかの国で撮影されたものだった。遠い国ではこんな神秘的なものが見られるのだ、と子ども心に羨ましく思ったことを覚えている。それから半世紀もしないで、この目で太陽がリング状になった完全な日食を見ることが出来るとは、当時ゆめゆめ思わなかった。そしてこのタイミングに生きていられることが不思議で、神秘的な幻想的な気持ちとともに、厳粛な-やはり生かされているのだ-という気持ちになって何となく涙ぐんでしまった。
 気づけば、首を持ち上げたまま5分近く経っていた。首が痛い。慌てて出かける支度をしてバタバタと家を出た。

 職場に着いた夫から「団地を出る時に『見えた!見えた!』と叫んでいる女の人の声があなたの声に似ていましたが、まさか違いますよね~」という失礼なメール。「さすがに誰もいない家で叫びません。口は開けていたかもしれないけれど・・・」と返事を出したが、妻の声もわからないとは、何とも・・・。

 昨夜はかなりヨレヨレで、食事もそこそこに殆どバタンキューだった。今朝も目覚ましが鳴った時にはまだ旅の疲れがじっとり体に張り付いている感じだった。金環日食を見られた事で気持ちがアップして出勤したが、週明けから会議だなんだと朝からバタバタ、お昼も自席でお弁当を食べただけで、散歩にも出られず。夕方まで落ち着かず、定時に帰れず仕舞い。明日までにすっかり復調しておかないと、また明後日は通院日だ。今日も早く休むことにしよう。


コメント (4)
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