昨夕はほぼ定時に職場を出て、一旦帰宅。夫は美容院を予約しており、帰りに夕食を済ませてくるから食事は不要という。そんなわけで、洗濯物を片付け、一人で適当な夕食を摂り、寒さ対策で1枚厚着をして病院最寄り駅前の宿を目指す。夕方以降急に風が冷たくなった。明日は木枯らし1号が吹くかもしれないという予報だ。
車内で柚月裕子さんの「あしたの君へ」(文春文庫)を読み始める。帯には「少年事件、離婚問題・・・家裁調査官補の奮闘を描く。寄り添うことで、人の人生は変えられるのかー」とある。5話から成っており、第1話、背負うもの(17歳 友里)のみ一気に読み終えた。次も読みたい、と思う面白さだったが、この調子で最後まで読んでしまったら、明日の読み物が足りなくなるし・・・、とぐっと我慢。
チェックインした後は紅茶を飲んでからゆっくり入浴し、早めに電気を消した。乾燥しているので加湿器に水を入れようと思ったらキャップのネジが硬くて開けられず。既に寝る準備をしているのでホテルスタッフを呼ぶのは面倒だし、泣く泣く諦めてポットにお湯を沸かしてごまかす。
早く眠ったせいか、夜中に1度、明け方に1度、お手洗いで目が覚めた。かなり冷え込んだようで、暖房を入れた筈なのに、なんだかスース―する。モーニングコールでゆるゆる起き出して、痺れと痛みのある足をマッサージしながら足湯を済ませ、身支度をして階下のレストランへ。
副作用止めの漢方2種を飲んでから和食の朝食。食後もしっかり胃薬、痛み止め、痺れ止めと整腸剤を飲み、部屋に戻る。新聞を読み終え、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。
外は快晴だが、予報通りかなり冷え込んでいる。夫は今秋初めてコートを着込んだそう。
今月初めての通院だ。IDカードを通して、まずは採血の受付へ。7分待ちと出ていたが、見れば既に私の番号が電子掲示板に出ていて、コートを脱ぐ暇もなく採血室へ入った。慌ててコートやストールをエコバッグに入れて態勢を整えていると、初めての臨床検査技師のMさんから呼ばれる。今日もフル検査なので5本。お若いけれど丁寧でお上手。殆ど痛みなく終了。お礼を言って席を立つ。
止血をしたまま向かいの腫瘍内科の受付へ。まだ時間が早いので待合い椅子はそれほど埋まっていないが、定位置は確保できず。後方に荷物を置く。保険証の確認も含めて受付を済ませる。
昨夜の本の続きを読む。今日は第二話 抱かれる者(十六歳 潤)からスタート。第三話 縋る者(二十三歳 理沙)、第四話 責める者(三十五歳 可南子)、第五話 迷う者(十歳 悠馬)で読了。家裁調査官補として九州のとある家裁に配属された主人公・大地は、窃盗を犯した少女、ストーカー事案で逮捕された高校生、親権を争う夫婦とその息子等、なかなか心を開かない相談者たちを相手に懊悩する日々を送る。
それぞれの真実に辿り着きながら逞しく成長していく物語だ。解説では実際の家裁調査官の増田浄子さんが「大地と一緒に働いてみたいなぁ」と書いておられるが、その通り。社会人1年生の主人公が成長していく姿を母親目線で頼もしく眩しく読みつつ、同じ社会人一年生の息子の姿になんとなくだぶった(息子は毎晩残業だそうだ)。
ということで、今日も読書が面白く待ち時間は何の苦にもならず。本の区切りが良いところまで、と読み進めており、ふと顔を上げたら「中待合いへどうぞ」に番号が出てしまった。慌てて血圧測定に向かう。109-58、脈拍は82。荷物を抱えて中待合いへ移動。それから20分ほど待って、先生から名前を呼ばれた。
ご挨拶をして席に座る。「さあ、3週間いかがお過ごしで?」と問われ、「おかげさまで相変わらず、といった感じでした。下痢はそれほど酷くはなかったですが、お腹はいつも緩い感じです。痛みも相変わらずでロキソニンを少し減らしたいと思いつつも3度3度飲み続けています。胸の骨の痛みと気圧による圧痛です。一度右肋骨の下からわき腹を経て背中まで酷い痛みがあり、コデインを飲みましたが一過性でした。手足の痺れや痛み、爪も不調もなかなか軽減しません。とはいえ月初めにインフルエンザの予防注射も終え、先月受診した職場の婦人科検診では異常なしでした。」と結果表をお見せしながらご報告。診察室での検温は6度8分。
「そうですか。採血では肝臓の数値も特に問題ないようだし、マーカーは微減ですが、変動の範囲内ですね。問題なく今日も治療を続けましょう。」とPC上のグラフを見せてくださる。「先月のレントゲンの結果も悪くなかったし、CTは年内ではなく年明けでいいでしょう。年内の治療は来月あと1回で、1月初回は年明け最初の週なので2回目の月末前の診察に間に合うように、予約しましょう」とのことで、1月下旬に早くも造影CTの予約を入れて頂いた。
会話をしながら乾燥しているのかコホコホと咳をすると、先生がポケットから徐にのど飴を出してくださり、有難く頂いた。
手足の痺れと痛み対策でリリカに代わる新しいタリージェの使用について相談してみる。調べてみると中枢神経系ではなく末梢神経障害の痺れや痛みに効くというので、適応はどうでしょうと訊くと、「私の患者さんでも何人か使い始めた人がいますが、もう少し動向を把握してからトライした方がいいでしょう」とのこと。
確かに新しい薬の副作用は分からないことが多いので、慎重に対応して頂けるならその方が有難い。ステージⅣの長生き患者は、これまで沢山の治療を経てきているから何が起こるか分からない、というのが医師たちの本音なのだろう。
冬に向かい、皮膚が切れやすくなっているのでヒルドイドローションを出して頂くようにお願いした。「やはりハーセプチン歴が長いと皮膚が弱くなりますね。」と仰る。いつも頂く倍量のものを自宅用に出してくださった。それ以外の薬も全種類3週間分フルに出して頂いた。
ご挨拶をして診察室を後にし、化学療法室へ入る。待合い椅子は珍しくどなたも座っていない。
少し待っていると、看護助手さんから窓側の一番奥のお気に入り椅子に案内される。お手洗いを済ませかつらを外してケア帽子に替え、夫やお友達に報告LINE。リクライニングシートに足を伸ばして読書の続きに入る。
それからはどなたも刺針に見えず、30分ほど経ってからようやくMさんの姿が。今日はそれほど痛まず朝の採血とともにラッキーだ。
その後10分ほどして薬が届く。2剤併用の治療13クール目。今日も点滴棒には2本の薬液パックと生理食塩水の小さなパック、シリンジ。点滴の順番も変わらずパージェタ、ハーセプチン、最後に生理食塩水である。
2冊目は川上弘美さんの「このあたりの人たち」(文春文庫)。帯には「その町はどんどん不穏に、幸福になっていく。文学の最前線を牽引する作家・川上弘美が創りあげたかつて見たことのない“短くて長い”物語」とある。解説は作家の古川日出男さんが書いておられるが「この本にはひみつが多い。そんな気がする。」。そして、「どこにでもありそうな懐かしい場所なのに、この世のどこよりも果てしなく遠い。そこに迷い込んだものは、やがて奇妙な感動に包まれる」が実に言いえて妙なのだが、とにかく川上ワールド全開。するすると読めて、なんだか不思議な読後感にどっぷりと浸った。
最後の生理食塩水になったところで、初めてお会いしたCさんが血圧測定にみえる。4月から週に何度かヘルプに見えているというが、これまで不思議とお目にかかることはなかったのでご挨拶。終了時の血圧は108-60、脈拍は71。
Kwさんがチェックに見えた時、前回教えて頂いたケーキ屋さんのお薦めのケーキを頂いて美味しかったという話をすると、また週末に連れて行ってもらうんです、とのことだった。車で1時間半もかかるそうだが、すっかりお気に入りだそうだ。
抜針は年配の看護師さん。殆ど衝撃なく、無事終了した。化学療法室に滞在した時間は3時間半強。最初は順調かと思ったが、インターバルの待ち時間が結構あり、予想時間より大分遅くなった。お手洗いを済ませ、かつらを装着し、ご挨拶して部屋を後にした。
会計へ移動すると案の定混んでいる。番号札を頂くのに並ぶ。これまで処方箋を薬局に送る機材があった場所に何もない。確認すると設置場所が変わったということで、動線がイマイチだなあと思いつつ、送りに行く。本も読み終わってしまったので待合い椅子ではお友達との連絡等をして過ごす。なかなか会計番号が出ない。結局小一時間待つ。今日のお支払いはカードで11万弱。
病院を出ると、いいお天気だが、風が冷たい。薬局に到着し、「病院内から処方箋を送りました。」と申告し、番号札を頂く。既に会計で1時間近く待ったが、今日は薬局でも延々と待った。ヒルドイドローションの大きなサイズの確認等があってからまた待つこと15分。このローション5本のおかげで4,000円近い支払となりカードが使えた。本日の病院と薬局の滞在時間は合計でたっぷり6時間半以上。
大荷物でよたよたと駅に向かう。風が強い。お腹は空いているが、駅ビルの最上階まで上る元気がなく、1階で軽く野菜たっぷりの麺を頂く。前回あまり下痢が酷くなかったので高をくくって完食したら、食後いきなりお腹が痛くなって、お手洗いへ。すっかりお腹が壊れてしまう。
なんとか収まったのでJRに乗り、ハラハラしながら乗換駅まで辿り着いたが、乗換駅ナカスーパーで夜のお弁当等を調達していると、冷蔵庫の冷たい風で瞬く間に腹痛となり、慌てて買い物を済ませ、またしてもお手洗いへ飛び込む。今度は全く出られなくなってしまった。
がっくりぐったりして帰りの私鉄に乗ると、夫からのLINEに気づいた。顔のシミが気になって皮膚科に行ったため半休でもう帰宅しているとのこと。さらに生協の注文書を出しておくようにお願いされていたが忘れたという。はあ、帰宅したらまたいちいち電話で注文番号を言うのか、とがっくり顎が出る。
腹痛と下痢でゲッソリしているのに、そんなことを言われてますますげんなり。迷わず駅からタクシーに乗り重い足取りで家までの階段を上がった。
夫には、注文書を出し忘れるとどれだけ面倒臭いか一度体験してもらおう、と注文の電話を任せた。こちらはあれこれ片付けてから横になる。昼食を摂ったのが遅かったし、お腹が心配で食欲もなく、結局半分ほど頂いてご馳走様。
明日は出張こそないが、午後から会議だ。そして金曜日はイレギュラーでまた東京横断出張の予定である。週末からは関西行き。お腹が心配でちょっと憂鬱なことである。