金曜日。 “毎日が日曜日”が始まって早いもので1週間が過ぎた。
いつもの時間に目覚ましが鳴る。気づくとアラームを止めてウトウトしてしまった模様。見れば20分が過ぎている。慌ててリビングに行くと、夫が朝食を食べ始めていた。いやはや、早くもたるんでいる自由人である。
こう考えると、父が退職した33年前から、そして父が亡くなって独居になってから6年近く、規則正しい時間に起きて3食食事を欠かさず摂っている母はある意味大したものだと思う。
今日はいいお天気で気温も上がり、四月下旬並みという予報。朝夕もコート要らずで、ジャケットがあれば十分とのことと聞いて、それに従うことに。
夫を送り出してから洗い上がった洗濯物を干す。適度に風もあり、短時間で乾きそうだ。今日で今期の朝ドラも最終回。奇跡のような出来事の回収があって、2025年。めでたしめでたしのラストだった。
今日は母と墓参の約束をしている。先月も約束をしていながら私の気管支炎のため土壇場でとん挫した。月命日は明後日だけれど、明後日は予定もあり、平日の方が空いていて良いだろうということで今日にした。
生協の注文書を書いたり、メールチェックをしたり夕飯の1品を作ったりしているうちに出かける時間になる。
先着して駅前スーパーで仏花を買い求め、母が乗ってきたバスをピックアップしに行こうと思ったら、なんと待ち合わせ場所に既にちょこんと座っているではないか。
訊けば一台早いバスに乗れて、予定より20分も早く到着したそうだ。公園墓地のシャトルバスの時間までまだ20分近くあるのでタクシーで行くか訊いたけれど、ここでお喋りしながら時間が潰せればよいとのこと。心底タクシーが嫌いなのか、辛抱なのか。
夫と土日に墓参に行く時はせいぜい私達夫婦プラス一組程度なのに、今日は私達母娘と一組のご夫婦、年配の男性が1人、女性が2人と7人も乗車してシャトルバスはほぼ満席だった。ここでもお喋りが止まらなくなりそうな母を「しーっ」とする。
今日はお詣りだけでなく、墓地の清掃をお願いするのに加え、7月の七回忌法要の予約という手続きがあったから、帰りのシャトルバスの時間を考えると結構タイトなスケジュールだ。
ところが、供花やお線香を買い求める方と、墓石の字が間違っていると書類を持ってくる方と、法要等の申込用紙を持った私と3人が重なってしまい、1人しかいない窓口の女性はてんてこ舞い。
うーん、お彼岸を外せば少しは落ち着いているのかと思っていたけれど、ずっと待つようなら帰りのバスは間に合わないかも、タクシーを呼ぶようかな、とちょっと心配になる。
足が遅い母が、私は先にお墓に行っていると言うので、そうしてもらった。とはいえ、重い水入れは持てないので、とりあえずお線香だけ用意しておいてもらうことに。
対応して頂いたのは最後にはなったけれど、2基分の年間清掃代を支払い、法要の概略と必要経費を伺って無事手続き終了。急いで父の墓に行く。水を汲み、ポンポンダリヤ、ラナンキュラス等が入った白、紫、クリームの色合いの花を供える。
母が「もう一人では来られないから、今日は○○(私の名)が一緒に来てくれて良かった。○○は頑張って定年まで働きましたよ。」と報告する。そうだった、父に報告する必要があった。
思えば父も60歳定年ですっぱりと会社を辞めた。まだ十分元気だったし、その後も働かないかと言われていたようだけれど、ストレスフルなサラリーマン生活はもう沢山だったようだ。その後、晩年はあれこれ不調もあったものの、28年も生きたのだから大したものである。
ということで、急いでお墓に水をかけ、お詣りを済ませ、墓地を後にして帰りのシャトルバスに乗り込んだ。帰りも同じメンバーで7名のほぼ満席。
最寄り駅に到着し、お手洗いを済ませてから、今度は母が乗ってきたJRの駅までのバスに2人で乗り込む。揺られること小一時間。母はついついあれこれお喋りをしたくなるようだけれど、車内での会話はお控えください、のコロナ禍である。私は寝たふりをする。
終点に到着し、駅前ホテルのロビーラウンジへ。3度目の正直でようやく来ることが叶ったアフタヌーンティーである。12月は私が発熱し、病院の付き添いが出来なかった。この時、クリスマスアフタヌーンティーを予約していたのだけれど、ドタキャン。
続いて先月の気管支炎騒ぎで、墓参とセットのアフタヌーンティー予約が2度目のドタキャンであった。母は三段重ねのティースタンドに載せられた軽食や、スコーン、 ケーキ類に一度トライしてみたかったようだ。
ホテルのラウンジは予約で満席で、入り口で断られているグループが何組もいた。予約しておいて正解。平日だというのに皆、優雅に過ごしているのだなあと新米自由人は思う。
奥の静かな席に案内される。高さ22mのアトリウム空間は全く圧迫感がない。お薦めのケーキを選んだ後は、前菜からスタートし、ティースタンドが運ばれる。珈琲、紅茶、ハーブティは2時間どれを頼んでもフリーという1日10食限定のメニューである。少女のように目を輝かせて頂く母は幸せそうである。
退職の時に撮って頂いた写真を見せたり、スマホの使い方を復習したり、ポットの紅茶をそれぞれ3種類頂いてもうお腹はチャポチャポ。私は朝から何となくお腹が緩く、途中ですっかり壊れてしまう。
結局、私は全部は食べ切れなかったけれど、母は残すのが嫌の世代で(無理に食べて具合が悪くなったら困るので、やめて欲しいのだけれど・・・)しっかり頂いていた。私より小さいお腹で一体どこにどうして入り切るのか、実にお見事である。
2時間ほど経った頃にラウンジを後にして、母が帰りのバスに乗るのを確認し、私も反対側の出口から出るバスで再び小一時間揺られて最寄り駅に戻った。
そしてヨガスタジオの岩盤浴へ。私より先に1人いらして途中で1人入ってこられて、三者三様ゴロゴロもしくはセルフプラクティス。今日もお腹を温めてから半分くらいの時間、ストレッチ等セルフプラクティスに励んで帰宅した。
なんとか夫より15分ほど早く帰宅が出来たので、急ぎ洗濯物を取り込み(畳むのは無理)、ご飯を炊いて、ミールキットを駆使して夕食の支度を終えた。
かくして今週も終了。私が仕事に行っている時間帯にはこんなにも街は高齢者で溢れていたのかと改めて気づかされた日中である。改めて日本の高齢社会の現状を垣間見た気がした。
まあ、私も無職となり、そういうシニアの新参者なのであるが・・・。