新議員会館でシックハウス症候群が出たというので、換気装置をつけるという。
24時間全館換気って常識だと思っていたが、違うのだろうか?
超豪華というのは見た目だけで、内実はどうでもよかったようだ。
なんだか今の政治家と同じでは……。
そうそう、「風の中のマリア」について書くつもりだった。
わたしはこれを読んで、オオスズメバチの生態と世代交代がとてもよくわかった。
まず驚いたのは、オオスズメバチの巣の社会が非常に組織立っていること。
しかも、ワーカー(ハタラキバチ)が自分では子供を産まず、
女王バチの子供、すなわちワーカーにとっての妹たちを育てるようになったのは、
その方が結果的に自分の遺伝子をより多く次代に残すことになるからだと言う。
また、女王バチが衰えてオスバチを産むようになると、女王バチを殺して
ワーカーがオスバチを産むことを選択するのも、その方がやはり自分の遺伝子を
より多く次代に残すことになるからなのだ。なんと強力な「遺伝子の意志」だろう。
そういう宿命の下で、ハチたちは擬人化され、個性さえも持って描かれている。
主人公マリアはオオスズメバチのワーカーで、巣という帝国の一歯車でしかないが、
読者がちゃんと感情移入できるように、えさにするために他の虫を殺し、
生まれながらに決められている自分の仕事をきちんと果たしながらも、
生きる意味を探求していくが、オオスズメバチの生態からはずれることは決してない。
子供向け昆虫物語とはそこが違う。
舞台は日本なので、ニホンミツバチやセイヨウミツバチのことも出てくる。
昔からここにいて、オオスズメバチの脅威にさらされてきたニホンミツバチは
オオスズメバチへの対抗手段を発達させている。ところが、人間によって
最近持ち込まれたセイヨウミツバチに対しては打つ手を持たず、
蜜泥棒にやってきたセイヨウミツバチをただ黙って見ているだけ。
泥棒に遭ったニホンミツバチは巣ごと餓死してしまう。
一方、セイヨウミツバチはたとえ人間の保護下から逃げ出して巣を作ったとしても、
オオスズメバチへの対抗手段を持たないため、野生で繁殖することができない。
これがなかったら、ニホンミツバチはとっくに絶滅していたはずだという。
最近問題になっている外来種による在来種の駆逐について、
この本はすぐれた啓蒙書でもあるのだ。
これを手に取ったのは、作者・百田尚樹の「影法師」がとてもよかったからだ。
でも、ジャンルはまるで別で、「影法師」の方はなんと江戸時代を舞台にした
ビルドゥングスロマン(教養小説)だ。そして、究極の男の友情物語だ。
これほどの友情が存在しうるものかとラストで衝撃を受けたものだった。
作者は元放送作家で「探偵!ナイトスクープ」などを担当したそうだ。