連泊最後の3泊目の夜は、それまでと違ってひどく冷えた。
夕暮れどき、外の気温は14度ほどまで下がっているとオーナーさんに聞いた。
寒い、寒い、と震えていたら、ストーブをつけるといいと言われた。
これまで、美瑛などで、昼間は暑くても日が沈むと涼しくなったことは
何度もあったが、真夏にストーブをつける必要があるとは思いもよらなかった。
この夜は相部屋ではなく、ツインの部屋にひとりだった。
一人旅をしていると、相部屋になった人や、食堂で同じテーブルについた人と
いろいろな話ができるのが楽しみのひとつ。部屋こそひとりだったが、
夕食後は食堂で前日から連泊している人とずっとしゃべっていた。
次の日は最終日。朝食前に、歩いて25分ほどの来運湧水池へ出かけた。
空のペットボトルも忘れずに。ここは宿のHPを見るまで聞いたこともなかったが、
この地域の観光マップ(網走から知床・野付半島までカバーしている)には
観光ポイントのひとつとしてちゃんと載っていた。
道路に車の通りはほとんどなく、両側には麦畑やジャガイモ畑。
道端にはさまざまな野草が花を咲かせているので、写真を撮りながら歩いていく。
野鳥もたくさんいたが、近づくと逃げてしまうので、なかなか写真が撮れなかった。
これが望遠でかろうじて撮れた1枚。種類は不明。
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来運湧水池のある来運神社の前は来運公園になっている。
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鎮守の森と鳥居。
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ここが来運の水の水汲み場。
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細く水が落ちるようになっていて、ここにペットボトルを置いて汲んだ。
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わたしが行ったとき、ちょうど水を汲んで帰る二人連れがいたが、
軽トラに積んだいくつものポリタンクに水を満たしていた。
そんなにたくさん汲む人がいても、ほとんどの水は飲料水になることなく
そのまま流れ落ちていく。湧水が作る細い流れ。
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この水は斜里岳の伏流水だそう。
水汲み場の先にも木々のあいだを縫って細い道が続いていて
来運神社があるそうだが、すぐ近くではなさそうで
そこまで行っていたら朝食に間に合わなくなりそうだったから、
神社まで行くのはやめることにした。
その場でも水を飲んでみたが、違いは特にわからなかった。
湧水の味がはっきりとわかったのは、家に帰ってからだ。
トランクから出したペットボトルを冷蔵庫に入れておき、
あとでお風呂上りに飲んでみた。
甘い! そして、やわらかい!
砂糖の甘さとは違うが、甘いとしか言いようがない。
そして、たとえようもなくまろやかだった。
たとえば、この水を「特別なおいしい水」と言って出され、
初めて味わうとしたら、これは絶対特別な味がするはず、
という暗示にかかって、普通の水でも他と違うように感じたかもしれない。
でも、わたしは現場ですでに一度味見していたので、このときは
単にお風呂あがりの水分補給としてごくごく飲んだだけだった。
そして、飲んだ瞬間、これは違うと気づいたのだ。
思うに、現場で飲んだときは、旅行中という
日常とは違う状態にあった。食べ物はもちろん、牛乳だって、
いつもと違う味のものを取っていた。
そういう状況では、特別おいしい水を飲んでも
特別には感じられなかったのだろう。
違いは普段の環境に戻って飲んでこそ
わかるものだったのだ!
甘い水という言葉があるが、その意味がわかった瞬間だった。
今日は小清水原生花園まで書くつもりだったが、早朝の散歩だけで
長くなってしまったので、続きは明日にしようと思う。
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