フランスで日本人留学生が行方不明になった事件に関し、フランス警察が
犯人について、「時計師のように緻密に計画を立てていた」とコメントするのを
ニュースで見た。吹き替えられていたので、元のフランス語でなんと言っていたか
わからないが、ちょうど『ウォッチメイカー』を読んだばかりだったので、
このフランス警察の幹部ももしかしたらこの小説を読んでいて、
ここに登場する犯人〝ウォッチメイカー〟(時計師)になぞらえていたのでは?
と、一直線に連想してしまった。
じっさい、ウォッチメイカーの犯罪計画の緻密さといったらない。
何層にも積み重ねられた、まるで犯罪のミルフィーユ。
それらが捜査陣をあらぬ方向へミスリードしてしまう。
こんな重層構造、これまでどんなミステリーでも見たことない!
(いや、『その女、アレックス』もすごかったっけ)
ともあれ、小さな犯罪という歯車をたくさん組み合わせて、
ひとつの巨大な犯罪計画を組み立てる――ディーヴァーこそまさに
天才的時計師ではないだろうか。
ウォッチメイカーはじつに強大な敵だが、でも、わたしはむしろ
シリーズの次の作品『ソウル・コレクター』の犯人の方がずっとこわいと思った。
「こんな相手にどうやって立ち向かえばいいんです?」と帯にあるが、
まさに現実の世界でこんな犯人に狙われたらもう破滅しかないだろう。
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