まだ、早いかなと言いながら、ナニワのドクタアと仕事帰りに辿り着いた大井町駅の五時半近く。線路沿いの「ほんま」に到着。暖簾を掛けたばかりの店に入るなり親父の駄洒落のお出迎え。駄洒落の機関銃で注文し損ないそうになる。十坪の店に7~8席のカウンターと二人掛けの小さなテーブルが一つ。二階は15名くらいまで入れる座敷があるそうだ。この店は「ハラミ」が売りの居酒屋、ハラミが売り切れると店の暖簾を下ろすそうだ。ただし、店はやっている。
まずは、売り切れる前の人気メニューの「ハラミの串焼き(900円/本)」とビールを注文。串焼き1人1本までだが串から外すとレアステーキのようでボリュームは十分にある。昭和31年生まれの親父からレバーとハラミの刺身はいかがかと聞かれ文句なく貰うことにする。塩とゴマ油で食べる刺身は串と並んで実に旨い。「黒霧島」のお湯割りをグラスで注文するがボトルが出てきた。「飲んだだけ後で精算、良心的だよ」との親父の言に従うが、結局、全部飲まさせられる仕掛け。載せれたのが判っちゃあいるが肴が旨いのでついつい酒が進む。最初からボトル1本か、グラスで勘定が得か、精算方法も最後まで判然としなかったが。
飲んでいる時、出版社がこの店の載った掲載本を発行日前に届けに来た。読ませてもらうが、中々詳しく書いてある。親父の写真、嬉しそうに載っている。この手の飲み屋紹介本は、店から頼んで書いてもらう場合と、噂を聞き取材にきて了解をもらって載せる場合の2ケースがある。前者はたいがい数ヶ月で客足は前に戻る。ややもすると常連が去り、前よりもひどくなる。オジンの近所の名古屋名物の「・・うどん」もそうだ。どだい口コミに勝る宣伝はない。当然に「ほんま」の親父は後者だと胸を張る。牛のハラミの鮮度が物語っているんだと思う。
肴がこってり肉系で、いささか腹がくちくなってきた。さっぱりとした「ほんまサラダ」を注文。綺麗に盛りつけられボリュームがある。最近のお互いの忙しさにため息をつきながら「黒霧島」も空となる。
腹も一杯でお勘定。前回、南青山の仙人と来たときは、「肉の前川」→「ほんま」→「大山酒場」とクローリングした。今回はスタートが「ほんま」で「ハラミのフルコース」で胃袋に余地はない。従って、まっつぐ帰る。