散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

ユニオン・ジャック

2014-06-23 19:50:28 | 日記
2014年6月23日(月)

 KMBさんの楽しい英国旅行も遂に終わり、めでたく羽田へ御帰還の由。午前7時前のモノレールの中からメールをくださった。

 「ロンドンで撮った写真も添付します。たった二週間ですが、浦島太郎のようです。」
 「今日からREALLIFEに戻ります。欲しかった洋書を手に入れたので、まずは楽しみます。」

 何という充実!洋行でリトリート、欲しかった洋書を入手しての帰還、鷗外・漱石はじめ明治以来の全ての日本人の、精神的シェイプアップの原型だ。
 僕はといえば、実は羽田の「再開発」以降、海外に出ていない。1976年に羽田で出入国、その後は成田しか知らないのである。すっかりものぐさになって、次の機会があるものかどうか。
 
 いただいた写真の中から一枚だけ、いちばん強烈なのを転載する。
 僕のほうは日曜夜の『ダウントン・アビー』をこのところ楽しみに見ていた。抑制のきいた感情表出と、辛辣でもあり温かくもある人間観察がたまらなく良い。秋からシリーズ2放映だそうで、第一次世界大戦を英国貴族の一家と使用人達がどう乗り越えていくのか、今から興味津々である。

 

※ Mさんへ:
 ロンドンの雑貨店内のようなんですが、木製のフローリングの上に軽自動車が鎮座していて、これが全身イギリス国旗の模様に塗られているんです。W杯サポーターも顔負けのボディ・ペインティングなのでした。

親ツバメ雨をものともすべきかは/剣を携え静かにやってくる者

2014-06-23 08:49:29 | 日記
2014年6月22日(日)

 朝から本降りで、完全に降り込められている。
 「晴耕雨読」は風雅に聞こえるが、その日の計画が天候に左右される覚束なさと受動性を、現代人はガマンできない。だからこそ、「農」を離れないほうが良いというのである。人間が万能ではないことを僕らは簡単に忘れるが、思い出すのもさして難しくない。

 昨夕、ツバメの姿を見たのを思い出し、数歩の距離を傘さして門まで行ってみた。案の定、門の屋根裏に今年も営巣している。対の親ツバメは雨中へ飛び出しては飛び返り、給餌に余念がない。留守の間は静かに見える巣の中から、親が戻るが早いか三つの首がついと伸び、ピーピー餌をせがむ。
 何としても不思議である。小鳥たちの中では、ずば抜けて強靱なつくりとはいえ、掌に載るか載らぬかのこの小動物が、つい先頃南洋から数千㎞の風浪を越えて飛来したばかりだという事実!
 そうか、それなら日本の梅雨など、少々雨脚が激しくても給餌の妨げになるはずないのだ。
 えらいなあ。

 親ツバメ雨をものともすべきかは
 昌策

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 武器輸出三原則見直し。
 これはいけない、これはまずい。
 集団的自衛権の問題、僕は真っ向反対だが、まだしも議論の余地があると思っている。日本人の安全を守るために日本人がどう振る舞うかという問題だから、自分らのこととしてじっくり話し合うまでで、おそらく選択肢も多様なのだ。
 武器輸出は違う。他人の安危につけこんで商業上の利得を得ようとするのは基本的に悪魔のビジネス、人として最低最悪の背徳に属する。神の法廷で厳しく糾弾される性質のもので、それがまかり通るのはただ「皆がやっている」からに過ぎない。だからこそ・・・
 過去数十年、日本が世界最高のハイテク水準を実現しながら、悪魔のビジネスと本格的な関わりをもたなかったこと(部分的な関わりは確かにあったけれど)は、実は非常な祝福だった。その事実以上に、国際社会でそのような定評を得たことがどれほど大きな「国益」を産み出したか、その幸運を思わずにいられない。
 「平和を愛する道義の高い国」、その定評の潜在的な力は百万の軍隊に匹敵しただろう。

 6月16日開催の「ユーロサトリ」に、日本が初めてブースを設けた。
 リベラシオン紙は「新たな武器輸出国」の見出しのもと、「日本は静かにやってきた」と評する。背徳のハイテク?僕らが気づく前に、世界が目ざとく注視する。
 むろん、現政権の武器輸出緩和方針の結果であり、狙いである。

 僕らをどこへ連れて行くつもりなのか?