散日拾遺

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塾は休業? / 健康診断異聞

2016-09-16 06:24:53 | 日記

2016年9月15日(木)

 小池都知事が政治塾を始めるとの報に触れて、ある人から「石丸塾は休業中ですか?」と聞かれた。そうか、これは僕が迂闊だった。既に33回を重ねる「薬の勉強会」はいわば塾の部会として始まったもので、立派な塾活動の一部である。人数こそ多くはないが、当初の桜美林つながりに限らずさまざまな背景の人が出入りしている。薬のことばかりでなくいろいろ自由に語り合い、僕自身の望んだ集いのイメージにかなり近いものだ。もちろん他の誰かが他のテーマでミーティングを起こしてくれたって良いのである。盛況とはいえないものの、決して休業してはいないので念のため。

 さて、水曜日は会議の連続の後、珍しく同僚二氏と海浜幕張周辺で軽く慰労会をした。翌日が健康診断なので、「今夜は軽めに、野菜主体で行っちゃいましょう」と、シーザーサラダだのスペイン風ピーマン盛り合わせだのむやみに野菜メニューを注文してはワインを煽っている。「検査に備えて野菜をガッツリ」などと嘯きながら前夜に飽食する看護師2人、医師1人、示しも何も付いたものではないが、ノミニケーションは今でもやっぱり有用なのである。

 翌朝、眠い目と空きっ腹を抱えて午前中に職場健診を受け、朦朧としているうちにつつがなく終わったものの、妙な印象が今年は残った。まずは受付で問診票の記入漏れを指摘される。酒は「飲む」ただし「毎日ではない」と記載し、これは事実通りだが「一日どのぐらい飲みますか?」という質問の意味がやや不明なので、空けておいたのを再度訊かれた。

 「一日どのぐらい飲みますか?」

 「それって、平均して一日あたりっていう意味ですか?それとも飲むときは一回にどれぐらい飲むかということ?」

 「一日にどれだけ飲むかという意味です。」

 だ~か~ら~、答になってないっての。仕方ないので昨夜の記憶に逆ゲタ履かせて「ワインをグラスに一杯」、ウソつけって?いや、僕の質問の後者の意味なら大ウソだが、前者ならたぶん良い近似値のはずなのだ。

 「ワイン、何mlですか?」

 考えたことないな。日本酒なら一合(180ml)、ビールなら一缶(350ml)、これらは常に量目を意識できるようになっている。でもワインは?「グラスに一杯・・・」と繰り返すと、男性スタッフが「普通のコップに一杯ですね」、「ええ、普通のグラスに一杯」、「コップ一杯なら180mlぐらいでしょう。」それでカタがついたが、お宅、ワインをコップで飲むんですかね。

 問診票は毎年同じような形式だけど、こんなやりとりは過去に記憶がない。受付のこれに始まって、何かと小珍事が続く。男性看護師に採血されたのは初めてだが、奇抜な髪型のこの男性は過去のいかなる女性看護師よりも指図がましく口うるさく、1~2分ほどで作業が終了したときにはすっかりこの相手を嫌いになっていた。おまけに止血用の弾性包帯を力任せに巻き付けるのですぐに腕が痺れ、10分間の止血を指示されたが3分ほどでたまらずはがす始末である。

 視力検査のこれまた男性担当者は、どういう訳だか右左2回ずつ念入りに検査し、ランドルト環の一番小さいものまで繰り返し読ませた。ということはその前のものまでは読めているはずだから、1.2やそこらは出ているものと思ったら判定が0.9である。結果は結果で構わないけれど、最小のものまで繰り返し読ませる操作と結果との間に整合性がない。何をやらされたんだろう、生涯初の1.0割れは年齢のせいか酒のせいか、それとも彼のせいか。

 心電図検査では年配の女性担当者が計測の最中に耳元でガチャガチャ音をさせ、ビクッとした反応が波形に影響しなかったものかどうか。着替えを急かす言葉をかけながら、脱ぎ置いてあるYシャツの上に検査表を置くという具合で、どうも雑でいけない。

 たかが小一時間の健康診断の間にこれだけの「?」が浮かんだのは久しぶりである。こちらのボンヤリのせいばかりとも思えない。マナーや配慮はマニュアル遵守では養えない。もって他山の石とはこのことである。

***

 午後の仕事のために総武線に揺られていたら、津田沼で浴衣姿の相撲取りが乗ってきた。あまり大きくないが、顔立ちは明らかにヨーロッパ系の外国人力士である。付き人もなく一人でスマホをいじっているが、大銀杏を結っているからには十両以上なのだ。H君ならたちどころに四股名から来歴・成績まで詳しく解説してくれることだろうが、このところ相撲への興味がいまひとつの僕には、栃ノ心でも碧山でもないことぐらいしか分からない。きっかり30分後に両国で降りていく背中に、無言の声援を送ったのだった。

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