2016年12月28日(水)
朝7時台のラジオは定時番組を中止し、安倍首相とオバマ大統領のハワイでの書簡朗読を中継している。安倍首相17分、オバマ大統領15分と言ったかな、同時通訳は緊張もあろうし大変だ。日本語と英語は単語を提示する順序がまるで違うから、欧州語間での同時通訳とはまったく異質の非常な苦労がある。それに劣らず大変なのが、言葉の意味を通わせるという作業である。
同床異夢ということをしきりに思う。戦争はボタンの掛け違いで始まり、戦場の優勝劣敗という掛け違いようのない事実によって進み、戦後にまたボタンの掛け違いが重ねられていく。日米の和解と彼らの言うことが、どのレベルでのどういう和解なのか、和解の土台となるべき実質的なコミュニケーションが成立しているのかと、そこに遡れば心許ない話である。日本(人)とアメリカ(人)はかけ離れた存在でもあり、今でもボタンの掛け違いを続けていないか、双方がそれぞれの「和解」イメージに納得しているに過ぎないのではないか。つまりは未だに同床異夢、それでも解説者らの言うとおり、いずれの指導者も戦争に直接関わらなかった世代に入り、感情を抑えて理念や利害を語れるようになったことは確かに大きい。めでたく過去の話になりつつあることの確認作業かなと、まだ眠い頭で考える。
日本軍の艦載機が真珠湾からの帰途に墜落し、パイロットが戦死した。彼のためにアメリカ人が碑(いしぶみ)を立てたことに首相の側が触れた。スピーチの中で「寛容」という言葉を6回だか7回だか使ったという。「勇者は勇者を尊ぶ」とも ~ 怪しげな英語で ~ 述べた。勇者たりえず、しかも勇者を演じる他はなかった無辜の数千万にこそ、慰めあれかし。
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Medecins sans frontieres (国境なき医師団) からニューズレターが届いた。Arigato と朱書され、人々の笑顔の写真が紙面をいっぱいに埋めている。笑顔は良いものだ。黒い人たちの笑顔は白い歯が鮮やかに浮かんで、とりわけ印象的である。
Merry Christmas!
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