今日は大阪市淀川区にあるシアターセブンにて映画「新しい野生の地・リワイルディング」を観に行きました。
これ、絶対観といた方がいいよ。
オランダのアムス近くに、1968年以来、干拓事業が頓挫してほっぱらかしになった不毛の土地があった。だが、そこにいつのまにかたくさんの生物が住み着き、45年経った今、野生生物の楽園となっていた。
「オーストファールテールプラッセン」という覚えにくい名の、6000ヘクタールばかりの小さな自然保護区。
そこを舞台に、四季折々に展開される、多種多様な生き物たちの生と死を巡るドキュメンタリー。
映像が素晴らしくリアルで美しい。
感傷を排して、生と死の厳しさがリアルに描かれているが、やはり自然の摂理というものは精妙に出来ている。弱い個体は死んでしまったり捕食されたりという一見残酷な世界だけど、その死があるからこそ食し分解する他の小動物や昆虫、微生物が生存していくことができる。そしてそいつらが存在するからこそ、ある特定の種の増えすぎによる破局を迎えてしまうことなく、全ての生物が共生し持続することが出来る。
無慈悲を越えたところにある、もっと大きな慈悲。
その慈悲とは、全てが共生する生態系とか生物多様性の豊かさとか、そういうことなんだろう。日本仏教のいう「山川草木悉皆成仏」という言葉が浮かんできた。
「生の反対は死ではない、死物である」
そういう言葉も浮かんできた。
死物とは意味のない埋め立てとか過剰なコンクリート護岸とか自然破壊のことだ。生態系も多様性も全部抹殺されてしまうわけだからな。再生の機会が永遠に失われるのだから。
まあそういうようなことをこの映画を見ながら考えた。人間が一瞬だけ出るシーンも面白かった。
日本でもムダなダムを壊してリワイルディングするとか、護岸海岸をぶっ壊して万葉集に読まれた当時そっくりそのままの海岸に戻し観光立国インバウンドに全精力を注ぎ込むとか、どうせ公共事業に金を使うならそんな使い方をする時代になってほしいと思う。
この映画、シアターセブンで12月9日までやってるのでぜひ観にいってください。