昨日は三重県名張市にある、青蓮寺湖にてカヤックツアーを催行しました。
一応ダム湖なのですが、ダムとは思えない濃密な野の香り、山上湖特有の静謐なたたずまいが素晴らしい湖です。特に新緑の頃と紅葉の頃、そして夏場の太陽が昇る前後の時間帯が、賭け値なく美しいです。
今回は紅葉を楽しむのがひとつのテーマのツアーでした。
水上に浮かぶやいなや、山々の木々全体から、晩秋から冬の装いへと変化してゆく鼓動がはっきりと感じられ、なかなか新鮮でした。いつもの和歌山の海岸線には紅葉とかなく、あんまり晩秋の季節感ってものがないですからね。その分こちらの感覚も鋭くなっているのか、静けさの中から立ち上がる周囲の山々の息遣いが聞こえてくるかのような、味わい深い一日でしたね。
なお、ここの一番の見所は「香落渓(こおちだに)」という、両サイド切り立った高い崖っぷちの谷間を縫うように延びる湖面なのですが、よくこんなところに通したなというところに道路が走っています。すごいなと思うと同時に、水上からの景観は台無しで、全く興ざめです。また途中で堰堤が出てきて通せんぼされるので、「ここからが最高だろうな」というところで先に進めなくなる。
「水上からの優雅な景観を楽しみつつ、自然と深く対話する」
それができる希有な湖なのにもったいないなと思いますね。
これからの時代、そういうものが宝なのに。