一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2166  尽くしたる色の饗宴枯葉降る  雲水

2020年11月21日 | 

 家から少し遠いが、車の通らない国有林の林道で、毎日デンと散歩をしている。 国有林には、杉檜が大量に育っているが、林道脇には落葉小木や野草も沢山あり、風が吹くと枯葉が降るように舞って、目を楽しませてくれる。

  林道には、キウイにそっくりだが3センチほどのサルナシの実が毎日決まったところに落ちていて、デンの大好物である。猪の掘り返した後もあるから、猪も大好きなのだろう。

 今年の夏から、楢の木が大量に枯れる「楢枯れ」が始まったから、猪たちは、ドングリが少なくて食料に困っているかもしれない。

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2165  モーツァルト聞きつ菜虫の捕らわるる  雲水  

2020年11月17日 | 

 ミニトマトにいた、メンガタスズメの幼虫。ナスやトマトを食害する害虫ですが、成虫の蛾の羽根に、人の顔に似た模様があり、それで名付けられたそうです。ドクロ蛾、骸骨蛾とも呼ぶそうですから、

冬は地下に潜り、サナギ(蛹)となって越冬するらしい。

 成虫は、蜜蜂のフェロモンに似た物質を出して、蜜蜂の巣を襲い、穴を開けて蜂蜜を食害するそうですから、見つけたら直ちにハサミでちょん切った方が良さそうです。

トリカブト(鳥兜)

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2164  建売の買い手なきまま赤のまま  稱子

2020年11月09日 | 

  赤のまま(赤まんま)は生命力が強く、各地にのさばっている雑草である。新築したばかりの建て売りの庭に、あっという間にはびこってしまったのだ。

  子供たちがままごとで、この粒の花をしごき、赤飯に見立てて遊んだので赤い御飯、赤まんまと呼ばれるそうである。

 赤のままは、イヌタデ科のイヌタデ(犬蓼)が正式名。辛みもなく食べられないので「イヌ」がついたという。

 一方、刺身に添えられる紫の辛みのある蓼は「柳蓼」で、「蓼食う虫も好き好き」の蓼である。「自分にはよく理解できないけれど、好みは人それぞれだ」という意味である。

スイフヨウ(酔芙蓉)

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2163  草紅葉口紅つけぬ半年間     洋子

2020年10月23日 | 

  秋彼岸もとうに過ぎ、今日は二十四節気の霜降。霜が降りるにはちと早いが、いよいよ紅葉の季節が始まった。今年は、新型コロナウイルスに始まり、一年がコロナ・コロナで終わりそうだ。

 パンデミック、発熱、感染、PCR検査、擬陽性・偽陰性、マスク、アルコール消毒、三密、外出自粛、自宅待機、ソーシャルディスタンス、リモートワーク、テレワーク、休業要請、など様々な言葉が飛び交った。近頃は、go to travel 、go to eat、 go to 商店街、県別のgo to キャンペーンが花盛りだ。

 その中でも、典型的なものがマスクである。この句の、外出しないから口紅はいらない。外出してもマスクをするから口紅はいらないのである。

 紅葉の季節が始まり、作者は口紅をつけないこの半年間と言ったが、まだまだマスクは外せそうにない。これから冬に向かい、インフルエンザとコロナウィルスの混交感染が始まるからだ。

トウガラシ(唐辛子)

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2162  十月のさて鶯の狂い鳴き  雲水

2020年10月13日 | 

 この2,3日ウグイス(鶯)が、8月以来再び鳴いている。原因は、台風14号の接近に伴い、北風が吹いて、12~13度の低温が続いたのに、再び22~23度に上昇。だから鶯が「春が来た」と勘違いしたのではないだろうか。とても珍しい現象である。さすがに蝉は、死んでしまっているから鳴かない。

 そこで、草花はどうかと思い、庭を回ってみた。あった、あった、ハハコグサ(母子草)と白のシモツケ(下野)が可愛く咲いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑シモツケ(下野) ↓ハハコグサ(母子草)とホトトギス(杜鵑草)

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2161  雨の色陽の色加え初紅葉  雲水

2020年10月09日 | 

 今年の10月初旬、キブシ(木五倍子)の紅葉に気付いた。気付いたことも初めてのことである。桜や櫨よりも早く、キブシが紅葉したのだ。

 キブシは3月に、ヤシャブシ(夜叉五倍子)と共に、最も早く花が咲くから、とても目立つが、更に紅葉の楽しみも増えた。

 今年は梅雨が長く、その後の高温が長く続き、植物の生育がとても悪かったし、消滅したものも多かったから、得した気分である。

キブシ(木五倍子)、別名キフジ(木藤)とも

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2160  待つわなど軽く言ひしが秋の雨  さくら

2020年10月06日 | 

 秋彼岸が過ぎて、夏が終わった。これからは、一雨ごとに寒くなる。そして、室内の気温が18度を下回ると、薪ストーブを点けるのが、我が家の習わしである。

  それよりも、気掛かりなのが、昨日台風14号が発生したことだ。進路はまだ定かではないが、たぶん発達して関東方面に来るだろう。

 さてこの句、「1時間ほど遅れる」と言われ、何気なく「待つわ」と言ったものの、寒くさえ感じられる秋雨の中、どこで時間をつぶせば良いか、迷っている作者が目に浮かぶ。喫茶店とか図書館とか、デパート、まあ色々あるけれど、近くに適当なものがないのだろう。

タムラソウ(田村草)

 

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2159  ドーナツの穴から見える彼岸花  洋子  

2020年10月05日 | 

  人は見えないものを見るために、双眼鏡や天体望遠鏡、そして電子顕微鏡などを開発してきた。実際、遠方の銀河や極小のウィルスを見ることができたが、それは宇宙全体からすれば、ゼロに等しい。

 アメリカのトランプ、中国の習近平、ロシアのプーチン、トルコのエルドアン、北朝鮮の金正恩、ベラルーシのルカシェンコ・・・・・世界が良くなる可能性は、ゼロに等しい。

 さてこの句、お子さんか、お孫さんか、はたまたご本人か分からないが、ご本人だったら、猶更茶目っ気が感じられて可笑しい。観光地で顔を入れて写真を撮る、そんな光景も思い浮かぶ。

 ミスタードーナツ?のドーナツを、手に掲げてその穴から何かを見る。それが、彼岸花というのが実に可笑しい。記憶にはないが、私も子供の頃、そんなことをして親に叱られたことがあったかもしれない。食べ物で遊ぶことは、食べ物を粗末にしている、として叱責の理由になりそうだからである。 

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2157  肴には古漬胡瓜月の庭  裕

2020年10月03日 | 

(さかなには ふるづけきゅうり つきのにわ) 

 肴(さかな)の語源は、室町時代にお酒のおかずを「酒菜(さかな)」と呼んだことに始まる。字だけが肴に変わった。あてがうが語源の「あて」、手でつまむが語源の「つまみ」と同義。

 「月の庭」は、中秋の名月の出ている庭のことで、夜とはいえ月光に照らされ秋草もはっきり見えるだろう。そんな庭のテーブルで、月を愛でながら酒を酌み交わすのである。

 この時期の肴には、芋名月とも呼ばれるから第一に里芋の衣被、芋茎(ずいき)、そして枝豆など。

魚は、秋刀魚、秋鯖、鰯、鮭などが旬である。ところが、作者はとりあえず古漬け胡瓜で一杯始めた。味のしっかり滲みた古漬け胡瓜は、歯ごたえもよろしく、実に美味い。

ツリガネニンジン(釣鐘人参)

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2156  背のまろき己れを糺す風の萩  仁

2020年09月18日 | 

 夜明けの庭に出てみると、ようやく咲き出した萩が、昨夜の雨に崩れて地に触れている。けれども蜜蜂や花蜂、蝶が舞っている。

 年を取ると、ついつい猫背になってしまう。猫背は、心臓や胃、内臓に悪いことは周知しているから、背筋をピンと伸ばすのが良いのだが、気が付くと猫背になっている。崩れ萩を見て、作者は猫背の己を顧みる。我が人生を顧みる。そして身を糺す。

ヒルガオ(昼顔)

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2155  台風の余波は遠くのわたしにも  雲水

2020年09月11日 | 

この2,3年の台風は強力で、日本列島各地に多くの被害を出している。去年の15号、19号は、本当に恐ろしかった。

今回の10号は、九州地方を襲った。920HP以下と強力で特別警報を出すクラスだったが、上陸接近する頃には勢力がやや衰え、特別警報を出すには至らなかった。原因は、9号が同じコースを通り、海水をかきまぜて海水温を下げたからだ。

 強力台風発生の原因である地球温暖化は、人間の活動によって排出された温室効果ガス、二酸化炭素などが主因となって海水温を押し上げている、というのが大方の意見のようである。

  いずれにしても、これからの台風は大型、強力となって、東海、関東地方に上陸するに決まっている。明日は我が身だ。

   国別の二酸化炭素排出量を調べると、中国がダントツの1位、アメリカが2位、インド、ロシアに続いて、日本は5位である。

国別 二酸化炭素排出量(2017年)

1      中  国             28.2%

2      アメリカ             14.5

3      インド              6.6

4      ロシア              4.7

5      日 本           3.4

6      ドイツ           2.2

7      韓 国           1.8

8      カナダ      1.7

9      インドネシア        1.5

10     メキシコ            1.4

ヒメギボウシ(姫擬宝珠)

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2153  熱の夜天の河から船を出し  裕  

2020年09月05日 | 

 作者は、熱を出してうなされていたのだろう。宮沢賢治のジョバンニとカンパネルラは、銀河鉄道の夜汽車に乗ったが、この句の作者は、銀河の船に乗ったという。

 さそり座からいて座、たて座、わし座、はくちょう座からカシオペア座までの船旅だ、銀河を進む船は、一体どんな船だろうか。豪華客船だろうか、帆船だろうか、それとも手漕ぎの渡し船だろうか。いずれにしても、是非乗ってみたいなあ。

ムクゲ(木槿)、宗旦木槿、底紅木槿とも

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2150  敗戦日五才の姉におぶわれて  パピ

2020年09月01日 | 

  敗戦日に、五才の姉が赤ん坊を負ぶっている、という。作者本人の回想と思うのが自然だが、負ぶわれているのは人形か他の何かかもしれないし、最近のことかもしれない。いづれにしても、戦争の記憶が色濃く残っているのだろう。

 私たち日本国民は、先の第二次世界大戦の終結を、敗戦記念日か終戦記念日と呼ぶべきか、意見が別れている。ここでは、八月十四日は、ポツダム宣言を受諾した敗戦日、八月十五日は、天皇が戦争の終結を国民に告げた終戦日、ということにしておく。

 作者によると、終戦日はまやかしで、敗戦日と呼ぶべきだと思っている、という。又、戦後のことではあるが、作者本人が姉に負ぶわれたそうです。

ミソハギ(禊萩)

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2148  流星に応じて烏瓜の花  雲水  

2020年08月18日 | 

 毎日、暑くてかないませんね。静岡県浜松市で、41.1度という日本最高気温に並ぶ記録が出ました。

 さて先日、ペルセウス座流星群をベンチに寝転がって見ました。10分で3個の星が流れた。ついでに、懐中電灯を持って、カラスウリ(烏瓜)の花を見に行く。このところ、草取りをさぼっているので、カラスウリがのさばり放題なのです。

カラスウリ(烏瓜)の花

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2147   カナカナからミンミンの世に戻りけり

2020年08月13日 | 

 朝4時、眠りから起こすように、ヒグラシ(蜩、日暮)が鳴き始める。2階の窓は、全て開いていて、四方から鳴き声が聞こえる。夢うつつの私には、その声は、あの世からの声ではないか、と思われるのだ。

 ヒグラシが鳴き止むと、夜が明けて明かるくなっている。そして、みんみん蝉が鳴き始めて、私は現実の世界に目覚めるのだ。ヒグラシのあの世から、みんみんのこの世へ。

キンミズヒキ(金水引)

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