(こがらしや てこでもうごかぬ かんいちぞう)
熱海の海岸に「貫一お宮の像」がある。明治の文豪、尾崎紅葉の小説「金色夜叉」の主人公「貫一」が「お宮」を蹴っ飛ばしているシーンの銅像である。
大正8年、尾崎紅葉の弟子小栗風葉の「宮に似たうしろ姿や春の月」という句碑を建てたことから、近くにあった「羽衣の松」が「お宮の松」と言われるようになったとか。
「羽衣の松」と言えば、清水の三保の松原の「羽衣の松」が元祖だから、熱海の「羽衣の松」はたぶんその拝借。「お宮の松」も小説からの拝借。しかし、時代が経つにつれそれが本物らしくなっていくから面白い。
古事記や日本書紀だって、本当より嘘が多いのだから、「羽衣の松」も「お宮の松」の嘘も、誰にも被害のない可愛い嘘なのだ。
ヤブコウジ(藪柑子)ヤブコウジ科の常緑小低木
別名 十両(ジュウリョウ)