包丁の切っ先にある、などという寒さは存在しない。しかし、例えば柳刃包丁などを喉元に突き付けられた時の、暴力団的人相や態度の凄み、殺されるかもしれない鳥肌の立つ恐怖感を寒さと言っているのかもしれない。
作者には、きっとあったのだろうそんな恐怖体験が、残念ながら私にはない。いや、ない方が幸せな人生には違いないが、こういう俳句を作ることができた貴重な作者の体験を、私が羨ましく思うのは自然で、当然のことでもある。
まあ、世の中には気弱な方で、柳刃包丁を見ただけで鳥肌が立つ人がいるのかもしれないが・・・・