一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1943   いが栗を跳んで避けいる子犬かな   歩智

2018年05月19日 | 岩戸句会 第五句集「何」

 私の俳号は、「歩智」。歩智は、四代続く我が家の愛犬「ポチ」の名前から採り、漢字にしただけ。長崎出島で、ポルトガル人の飼っていた犬が黒点(?)のある犬だったそうで、その犬の名前は、プッチ=点。それを聞いた日本人達が、「あれはポチ」といい、犬の名前は “ポチ ” “ポチ ”と広まったそうだ。私はその時代に生きていたわけではないから、真偽の程は定かではない。

《歩く智慧》とは、なかなか良い名と思うのだが、《知恵出でて大偽あり》老子。人間、素朴であった時代には平和であったのだろうが、人々の知恵が進み、世の中が乱れているのが今の世。

現在に生き、不遜にも《歩く智慧》という俳号は、考えものでは?・・・・・まあいいか、私を見て誰一人《歩く智慧》とは思わないわけだから。

 

寒の月こうこうと雲寄せ付けず

ふわふわのうぶ毛残して巣立ちけり

老いし身に重き独りの更衣

杉木立箱根全山ひえびえと

歳時記の栞は今朝の柿落葉

 

日の丸に折り跡ありてお正月

旧友の握手握手や花吹雪

黄木香石工は石を仏にす

曼珠沙華ここは江戸城半蔵門

大寒や恵比寿の顔の凛として

 

月は満ち花いまだなし西行忌

水馬背中叩けば棒となり

貼り紙に蛍一匹七百円

なめくじの跡キラキラと父母の墓

西国に手を振り向かう秋の朝

 

火の機嫌とりつつ桜落葉焚く

犬もまた家族となりて納札

冷酒や熱海五郎座幕あける

墨文字の滲む貼り紙夏祓い

笛太鼓神を寝かせぬ祭の夜

 

無花果を裂けば火花の散る如し

枯芝を雪と見まごう寒の月

花冷えやベンチの下の伝とポチ

ジーンズの裾をくるくる折つて初夏

太陽に向かぬ向日葵そだちすぎ

(岩戸句会第五句集「何」より 坂井歩智)

やまつつじ(山躑躅)

 



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