今は、誰でも携帯電話を持ち歩き、緊急の時はいつでも何処からでも電話をすることが出来ます。私も庭仕事の時は、一人で斜面の草取り、草木の伐採、大焚火をするので、携帯電話をしっかり仕事着に入れています。でも、今までに少々危ない目にあっても電話したことはありません。
家の中では、「あなたは独居老人ですから、緊急用装置をつけてあげましょう」と、熱海市が天井に取り付けてくれました。一日以上人影がないと通報してくれるそうですが、これも5年間使ったことはありません。ところが旅行の時などに、留守を連絡しておかないと、息子のところに電話がかかり、内緒の旅行がばれてしまったりしました。でも、私は誰にも連絡するつもりはないのです。なるようになれケセラセラです。
誰かの詩に天国にいる犬が、急に仲間から走り出すことがあるそうで、自分のご主人が亡くなった時、一目散に飛んで行くそうです。私も、二十年飼っていた大好きなタローに会えるんだ、と思うと嬉しくなります。きっと仲良しのモモちゃんも一緒に。
一人暮らしの私は、体力を持続できるように、今はヨガ、水泳、テニスに励んでいます。タロー、モモちゃんも、緊急の時は素早く走ってこられるように、足腰をしっかり鍛えておいて下さいね。
陽だまりに犬と寄り添う春隣
大手まり青ざめて咲く今が好き
髪切って春一番に吹かれおり
幾年も納戸に眠る鯉幟
風が研ぐ空の青さや花辛夷
荒梅雨や二人して見る生命線
布袋草咲けば貴女の誕生日
雷鳴やテネシーワルツを切り刻む
俎板も食器も白く更衣
せせらぎでしばし涼まん犬の舌
貴方には桔梗の花の切手貼り
この家の行く末思い草を引く
秋彼岸親分肌の友が逝く
花野行く自然治癒力信じつつ
たおやかにムラサキシキブ揺れるのみ
人生の今どのあたり烏瓜
庭仕事休める指に秋時雨
老犬の目穏やか柿をむく
冬帝やクリームシチューに味噌加え
スーパーにあふるる孤独蜜柑買う
立冬や願いをもちてわれ老いん
旧友で少し恋人雪見酒
初笑い羽織袴の犬が来て
年寄りに恋の火種やバレンタイン
今日だけは暖房止めて兼好忌
(岩戸句会第五句集「何」より 原洋子)
我が庭のいずれあやめかかきつばた