一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1944   料峭や地球儀を拭く六年生   炎火

2018年05月20日 | 岩戸句会 第五句集「何」

  立春を過ぎて間もない、春風の中でもまだ肌寒い早春の教室。懸命に地球儀を拭いている少年がいた。私には何故か、この六年生に少年の姿が浮かんだ。もうすぐ卒業式、そして、中学生になる初々しい少年の姿である。声変わりも近い、悩み多い思春期の入口にさしかかった少年の胸に、地球儀は何を思い描かせただろうか。これからの未知の世界への期待と不安、どんな夢を抱かせただろうか。

  あの東日本大震災から一年、かけがえのない美しい私達の地球に、今もなお各地で天災や争い、貧困が日々伝えられている。春はまだ遠い。地球儀を拭く少年、少女たちに世界に馳せる明るい未来がやってくる。そんな二十一世紀に一歩づつできることから行動しょう…そんな気持ちになった今日の句会でした。(正太記)

足す言葉、引く言葉はありません。正太さんありがとうございました。

 

春の旅赤旗を読む老夫婦

朧月ガンジーの繰る糸車

啓蟄や汚染残土の仮置場

夜桜やアルミニュウムの投票箱

お通じの心配の無い鯉のぼり

 

竹の子や核ミサイルも土の中

落石の十センチ横雨蛙

パレットに額紫陽花を搾り出す

藪枯し鉄を手にした弥生人

サイレンの一分間や敗戦日

 

平面図だけで建てたり蜘蛛の家

夏の波バッキンガムを崩しおり

黒山は解体作業中の蟻

東京都釣瓶落しとなりにけり

秋場所や絆創膏対テーピング

 

名月や生き残るのは大宇宙

目の子算十匹までの赤とんぼ

初つらら防災小屋の赤いドア

猟銃の一発響く山の奥

湯豆腐や爆破されたらどうするの

 

冬の朝新聞受けにイスラム国

マネキンの赤い手袋指す虚空

ガラス窓三百号の冬の海

どんど焼き両目を剥いた大達磨

これからもとことん平和初詣

(岩戸句会第五句集「何」より 石川炎火)

ウツギ(空木) 



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