哀しみの砂場に沁みるぶうらんこ 正太
ふらここやこむらがえりの昼下がり
ふらここや昔天迄届きをり 稱子
キャベツ大根そして金魚も買いにけり
盗人と言われればそう筍掘る
藤房の光芒の下死のはなし 薪
洗濯バサミつまんでいたり春の雲
用意した嘘を忘れて四月馬鹿 遊石
木蓮のつぼみに誰も眼もくれん
ふらここやきりりと天空晴れてをり 章子
春昼や耳にけだるき京言葉
黄木香石工が石を仏にす 歩智
囀りの真只中にてなお静か
ぶらんこや四時方向に何時も母 炎火
水田に田螺の跡や古希迎ふ
朝まだき小手毬揺れて貨車が行く 鼓夢
ぶらんこに座る妻の背押してやる
ふらここや笑顔の母の塩むすび 豊春
宅配のベルに起こされ目借時
死に近きアバンギャルドに華のあり 侠心
朝採りし蕗青々とほろ苦き
タンポポが子供残しに空を飛ぶ 空白
初孫の学ラン姿頼もしき
薫風やピンクのシャツの伊達男 洋子
柏餅よりも色濃き茶を入れる
ふらここやいつもどこ吹く風に乗り 雲水
遠スカイツリーへなへな陽炎える