社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

12月27日(金) 失念。

2024年12月29日 08時02分07秒 | 2024年

 7時半起床。会社へ出掛ける妻に起こされる。

 朝顔の水やりをする。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 娘を連れて岸根公園へ出掛ける。久しぶりに自転車に乗りたいらしい。ただ、補助輪を外して練習する気はさらさらないようだ。

 「ちょっとお父さんは自転車見てて」と言い、遊具で遊び始める。ちょうど近所の保育園のお散歩と重なり、娘が後輩たちに優しく道を譲っている姿が見られて微笑ましかった。

 再び自転車で出発し、周回コースに入る。

 サザンカが綺麗に咲いている。

 これだけ密集していると迫力がすごい。

 所々で自転車を止めて運動する。

 「ここまで届くよ!」とのことだが、膝曲がってないか?

 まあ、私は論外なのだが。

 2人でストレッチベンチに座り、上体を反らせる。

 林の中でかくれんぼをする。木や岩、ベンチなど隠れる場所に事欠かず、面白い。

 最後にもう1周する。これは娘のサイクリングなのか、私のランニングなのか。

 公園に隣接する「La collation Aco」で昼食を買う。

 おにぎりやハンバーガーなど、娘の大好きな商品がたくさん並んでいる。

 娘はほぼ即決で選ぶ。一方私は珍しく悩んでしまい、娘から急かされる。

 ケーキも買う。年末の大盤振る舞いだ。

 帰宅してすぐに食べる。

 娘はハンバーガー、私はコロッケバーガー。少しだけオーブンで焼いたら、バンズがとても良い香りを漂わせている。

 おにぎりは、私は明太子、娘はツナマヨ。中までしっかり具が入っている。

 娘は焼きそばパン、私はクリームパン。

 食事を終え、私は電気カーペットの上でお昼寝。娘は私の横に座ってM-1の敗者復活戦を観ていた。

 16時前、娘から「そろそろケーキ食べようよ」と起こされる。この時は気付かなかったのだが、どうやらこの前に自主的に冬休みの宿題に取り組んでいたようで、書初めの練習という大きな宿題を一気に片付けていた。

 ケーキを食べ終え、一段落したところで思い出す。16時から娘の歯医者さん(定期検診)を予約していたのだ。時刻は既に16時半を回っている。すぐに電話をして謝り、年明けに再度お願いする。ご迷惑をお掛けし、申し訳ございません。

 妻が帰宅する前に娘と入浴を済ませておく。

 帰宅した妻から睨まれる。「私も朝に言えば良かったね」と寛大なお言葉を頂き、「そうだそうだ」と返してもう一度睨まれる。

 夕食は牛丼。脂のよくのった牛肉でとても美味しい。

 洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。

 先日「きりん珈琲」で買ったクリスマスドリップコーヒーを飲む。

 優しい味がする。深夜の珈琲は禁断だが、まあ冬休みだし。

 日付が変わる頃に就寝。


12月26日(木) 帰郷。

2024年12月28日 18時22分07秒 | 2024年

 6時半起床。

 朝顔の水やりをする。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 今日から娘は冬休みに入った。今日は妻がテレワークで家にいてくれ、日中は義母も遊びに来てくださるそうである。

 身支度を整えて家を出る。

 9時前に出勤。私は今日が年内最終勤務である。

 昼食は今年最後の「K​itchen Van」(キッチンバン)へ。

 日替わりランチの三元豚のセサミソテー(コチュジャンソース)を頂く。

 胡麻の風味とコチュジャンソースがよく合う。やはり今年最後の新橋ランチはここで食べないと。

 年の瀬のご挨拶をしてお店を出る。年始は6日から営業されているとのこと。おそらく初日に伺うことになるだろう。

 午後は、上司と一緒に外部の関係機関へ伺って打ち合わせ。

 出先からそのまま直帰することになり、駅で上司に年末のご挨拶。今年も本当にお世話になりました。来年も引き続きご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 京浜東北線に乗り、ゆっくり桜木町へ。今日は前職時代の若手の会の忘年会に参加する。発足当時は全員が若手だったが、私を含む半数は既に転職し、残る半数は管理職や中堅どころとして責任ある立場になっている。

 一次会は野毛の「大作」で。インパクトの強い話題が多く、過去最高レベルに盛り上がる。

 そのまま二次会まで参加する。一次会の盛り上がりそのまま、あっという間に時間が過ぎていく。

 私は前職に25歳から35歳までの10年間勤務した。今の職場でも魅力的で尊敬できる方々に恵まれているが、若い頃に苦楽を共にした仲間は今日集まったメンバーが唯一無二である。彼らとだからこそ話せることがあるし、一緒に過ごす空間は特別な安心感に包まれている。毎回集まるたびに「帰って来たな」という気持ちになる。細々でいいので、この会が末永く続いて欲しい。

 気が付いたら23時を回っていた。桜木町駅へ戻り、同じく横浜線で帰る後輩たちと始発電車を待って帰途につく。

 日付が変わる頃に帰宅。

 入浴をして洗濯を済ませ、2時前に就寝。


12月25日(水) 希望どおり。

2024年12月27日 08時02分07秒 | 2024年

 6時20分起床。

 いつものように2階で洗濯物を取り込んでいると、下から娘の嬉しそうな声が聞こえてくる。どうやら希望どおりのプレゼントが届いたようだ。居間へ戻ると、既にプレゼントは開封済みだった。サンタさんからは「可愛いラッピングをして届けるよ」と聞いていたのだが、跡形もない。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 娘を見送ってから朝顔の水やりをする。

 娘は冬休み前最後の登校日で、給食はなし。私は有休消化でお休みを取っている。

 せっかくなので午前中はどこかに出掛けようかとも思ったが、結局家の中でずっとゴロゴロしていた。

 お昼過ぎに娘が帰宅。無事に冬休みに突入し、嬉しそうである。

 昼食は「ガスト」へ食べに行く。普段は出前ばかりで、店舗へ行くのは初めてである。

 今年から登場したビーフ100%ハンバーグ。出前で何度か食べてその美味しさに驚かされたので、お店で作り立てを食べられるのを楽しみにしていた。

 注文はタブレット、配膳は猫型ロボット、お会計もタブレット(もしくはセルフレジ)から。フロア業務に割く人員がほぼゼロで済む仕組みが確立されつつある。

 娘はチーズインハンバーグ、ウインナー、コロッケのコンビネーションプレートに唐揚げをトッピング。私はビーフ100%粗挽き肉厚ステーキ風ハンバーグ(オニオンソース)。

 やはり美味しい。お肉はジューシーだし、オニオンソースが絶妙である。一方で、出前で食べた時と味の違いは感じない。出前でも出来立てと変わらない味が楽しめるということである。

 私が足繁く通っていた学生時代にはなかった豚汁和食セットなるものが設定されている。これは嬉しい。欲をいえば、更にご飯に五穀米を選べたりすると最高なのだが。

 娘は学校でお友だちとクリスマスプレゼントに何をもらったか情報交換してきたそうで、食事をしながら○○ちゃんはこれ、○○くんはこれと教えてくれた。娘と同じようにレゴをもらったお友だちも結構いるようで、年齢的にちょうどハマる時期なのかもしれない。一方で、中にはサンタさんの予算額が飛び抜けているお友だちもいて身震いした。

 帰宅後、娘はクリスマスプレゼントのレゴの制作に取り掛かった。1箇所だけ行き詰って私がアドバイスをしたが、それ以外は1人でコツコツと作っている。

 私はまだ観ていなかったM-1の最終決戦を観る。優勝した令和ロマンの2本目も圧巻だったが、私としては真空ジェシカの2本目がこれぞ真空というネタで好きだった。

 Tverの見逃し配信で、昨日の「ラヴィット」を観る。トム・ブラウンがM-1の2本目に用意していたネタ「剛力」を披露し、想像以上に狂った展開で涙を流しながら笑った。「最近の剛力彩芽に元気がないからアンパンマンのように顔を入れ替えて元気付けてあげよう」という入りからして全く意味がわからない。幻の2本目が観られて良かった。ラヴィットさん、ありがとうございました。

 M-1を再度流しながら、娘はレゴを続けている。「消そうか?」と聞いても「いや、聞きながら作ってるから」と断られ、本当にラジオ感覚でネタを聞きながら制作にも集中していた。

 妻が帰宅してから夕食。餃子と酢豚(?)を食べる。

 入浴と洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。お風呂を上がったところで、娘の上履きを洗うのを忘れたことに気付く。

 日付が変わる頃に就寝。


12月24日(火) まったりしたいクリスマス。

2024年12月26日 08時02分07秒 | 2024年

 6時半起床。

 朝顔の水やりをする。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 娘を見送ってから、2階の部屋の掃除をする。

 9時から在宅勤務を開始する。

 昼食はハムエッグ丼を作る。成瀬あかり(『成瀬は天下を取りにいく』)の真似である。せっかくなので、卵3個とハム3枚を使った豪華版にした。思っていた以上に美味しい。

 新しい珈琲豆(インドネシア産ゴールデンマンデリン)を開ける。今回初めて深煎りの豆を買ってみたのだが、挽く時の手応えが軽かった。

 職場の親睦会から頂いたクリスマスプレゼントのチョコレート菓子と一緒に飲む。お店で飲む時のスモーキーな風味が感じられる。私のハンドドリップの腕が上がった…わけではなく、深煎りだからだろう。苦みも苦みというよりは深いコクで、とても美味しい。私は酸味のある浅炒りから中炒りくらいの珈琲が好きだと思っていたが、いよいよ自分の好みがわからなくなってきた。

 中日からFA宣言していた福谷浩司投手のファイターズ加入が正式発表された。YouTubeや公式コメントからも聡明さと誠実なお人柄が伺え、一投手としての活躍はもちろんチームの精神的な支えとしても期待したい。中日、ヤクルトとの争奪戦だったが、ファイターズを選んでくださって本当にありがとうございます。

 勤務終了後、民間学童へ娘をお迎えに行き、そのまま予約してあるクリスマスケーキを受け取りに行く。今年は「ガトー・ド・ボワイヤージュ」のケーキにした。

 帰宅し、事前に妻から指示されていたとおり、下ごしらえ済みの鶏肉をオーブンにかける。

 焼いている間に娘と入浴。

 お風呂から上がる頃にローストチキンが焼き上がり、妻も帰って来た。

 続けてピザも焼き、夕食。

 ローストチキンが期待を大きく超える美味しさで驚かされる。肉汁がこぼれ出るジューシーさである。妻が「クリスマス以外でも作ろうかな」と言っている。

 ケーキは娘の希望でチョコレートケーキ。見た目よりビター系の本格チョコレートだが、娘は大喜びで食べていた。

 実家の母から娘へのクリスマスプレゼントが届く。去年までは毎年絵本を送ってくれていたのだが、小学校に入ってからは漢字もかなり読めるようになってきているので、今年からは普通の本にしてもらった。娘はさっそく熱心に読んでいる。ありがとうございます。

 洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。寝る直前、娘が少しご機嫌斜めなのでどうしたのか聞いてみたら、今年はサンタさんへの手紙を書くのが直前(昨日)になってしまったので、間に合わずにプレゼントが届かないのではないか心配しているとのこと。そればかりは私たちでもわからない。

 娘が眠ったあとで、妻とゆっくりお喋りをする。一昨日下北沢で買ったルートビアを飲んでみたら、がっつり薬の味がして最初こそ「これはちょっと…」という感じだったものの、飲み進めるうちに癖になってきて、最終的にはもう1杯おかわりをした。

 1時過ぎに就寝。


12月23日(月) フライング年末モード。

2024年12月25日 22時07分08秒 | 2024年

 6時半起床。

 朝顔の水やりをする。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 娘を見送ってから、身支度を整えて家を出る。

 9時前に出勤。

 2024年の仕事もラスト1週間。しかも私は有休消化の滑り込みで2日は休むので、気持ちは既に冬休みへ傾いている。

 昼食は、先日上司に連れて行って頂いて美味しかった「ピッツェリアドォーロ」(PIZZERIA D'ORO)へ。先日食べたのはパスタだが、店名のとおり一押しはピザなようなのでどんな味なのか興味を引かれた。

 人気店のためお店の外で20分ほど待ったので、ドリンクの紅茶を先出しにして頂いて身体を温める。

 北海道白糠町産のモッツァレラチーズを使用しているマルゲリータピザ(白糠)を頂く。これぞナポリピッツァという王道の美味しさである。熱々をどんどん口に運び、最後まで手が止まらなかった。これは人気になるわけだ。時間に余裕がある時にまた食べに来たい。

 気持ちはもう冬休みモードだし、複雑なことは全部来年に持ち越し…と思いきや、そうはいかずに急遽の打ち合わせが入る。バタバタしたが、結果的には懸念事項を翌年に持ち越さずに済んだので良かった。

 17時半過ぎに退社し、急いで帰宅する。

 今日は妻が在宅勤務だったので、娘も学童には行かず帰宅している。予想通りM-1の最終決戦は既に見終えており、「誰が優勝したか言っちゃおうかなぁ」と悪い顔をしている。既に知っていることがバレないよう大袈裟に「ちょっとやめてよー」と口を抑える。結局、娘は我慢できずに「優勝は令和ロマン!めっちゃ面白かったよ!」とネタバレしていた。

 入浴を済ませてから夕食。サイコロステーキが味濃いめで美味しい。珍しくご飯をおかわりした。

 洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。

 『光る君へ』の最終回を観る。雨に始まり、嵐の予感で終わる。束の間の泰平の中で、離れていても共に生き続けてきたまひろと道長の生き様に魅了され続けた1年間だった。

 日付が変わる頃に就寝。


12月22日(日) 蒲田下北急ぎ足。

2024年12月25日 10時07分08秒 | 2024年

 8時起床。

 朝顔の水やりをする。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 身支度を整え、9時過ぎに家を出る。今日は娘が小学校のお友だちのお宅へ遊びに行くとのことで、送迎は妻にお願いし、私は1人でお出掛けする。

 横浜線と京急線を乗り継いで、大森町の「ソフトヘアー」で年末の散髪。前回同様、すっきり短髪にして頂く。温かい店内でうとうとしながら至福の1時間を過ごした。そして、長らくお世話になってきた理容師さんとのお付き合いも次回が最後である。

 昼食は「きりん珈琲」へ。

 今日はスタッフの方が少ないとのことで、皆さんかなりお忙しい。こちらは出来るだけ仕事の流れを遮らないように、注文やお会計のタイミングを見計らうことくらいしか出来ない。

 ハンバーグドリアのランチセットを注文。ドリアは少し時間が掛かるとのことで、サラダと珈琲は先出しにして頂く。

 飲み物はドリップのアイスコーヒー(ウガンダ産ブギスAカプチョルワ マウントエルゴン)を選んだ。ここのアイスコーヒーはスモーキーさが素晴らしい。味は濃いが苦みはあまりなく、優しいコクがあって美味しい。

 ハンバーグドリアは冬季限定である。濃いめのソースとたっぷりのチーズ、中にはほうれん草も入っている。

 デザートは、柚子あんとホワイトチョコのレアチーズケーキ。

 柚子は餡にピューレも入っていて存在感があり、ホワイトチョコとの相性も抜群。ここで食べるレアチーズケーキはどれも美味しいが、歴代で一番好きかもしれない。

 ホットコーヒーはコスタリカ産のカンデリージャ・ハニー。すっきりと飲みやすい。

 予約しておいた焙煎豆2種類(パプアニューギニア産トロピカルマウンテンとインドネシア産ゴールデンマンデリン)に加えて、クリスマス限定ドリップパックも2つ購入。

 去年のものは苦み強めだったが、今年はまた異なるブレンドになっているとのことで、どんな味か楽しみである。

 蒲田から品川、渋谷と乗り継いで下北沢へ出る。目的地は下北沢ボーナストラック(BONUS TRACK)。

 「パレスチナに出会うマーケット」を見て回る。

 チャリティーマーケットやパレスチナの現在についての情報提供、講演会などが開催されている。

 マーケットを見て回り、予め目星を付けていたものやその場で一目惚れした作品などを購入。1着、とてもお洒落なパーカーを見つけたのだが私に合うサイズがなく、Instagramのアカウントを交換して注文のやりとりをしている。

 布パッチやコースターなど、可愛いデザインのものが多く、ついついあれもこれもと購入した。

 変わり種で言うと、ルートビアの原液も買ってみた。沖縄出身の方が「自分が一番美味しいと思うルートビアを自分で配合して作った」という一品である。見た目は怪しいが、飲むのが楽しみである。

 途中でパレスチナ産レモンのレモネードを買い、身体を温める。美味しい。

 私も含め、皆さん様々なクフィーヤを巻いている。こういう巻き方は素敵だなとか、このデザインはお洒落だななどと目移りしながら歩く。

 先日の駐日パレスチナ常駐総代表部でのチャリティーバザーで購入し、娘がたいそう気に入っていた「抗議するクマたちクッキー」も購入。

 先日、私が鞄に付けている「FREE PALESTINE」と書かれたバッジについて娘から「どういう意味なのか」と聞かれ、「パレスチナに自由を」という説明をしたのだが、「解放」という言葉のほうが適切だったかもしれない。

 パレスチナの子どもたちの様子を写した写真や、描いた絵も展示されている。

 胸にぐっとくる絵である。

 これを子どもに描かせてしまう世界と同じ世界に、私たちも生きている。

 1歳を待たずしてイスラエルに殺された赤ちゃんたちの名前が掲示されている。

 これがほんの一部であるという事実に気が遠くなる。

 犠牲になった子どもたちの生前の様子が紹介されている。

 それぞれに夢を持ち、家族や友人たちとの日常の中で笑ったり泣いたりしていた、日本の子どもたちと何も変わらないごくごく普通の子どもたちである。

 これがジェノサイド・民族浄化でないなら一体何なのか。イスラエルは明らかに犯罪国家、テロリスト国家である。

 改めて、自分に出来ることをコツコツやろうと気合いを入れる。

 イスラエル産のレモン・オレンジ、マクドナルド、ディズニーはボイコット対象。他にもスターバックスやペプシ、ケンタッキー、バーガーキング、ドミノピザ、ピザハット、PUMAなど挙げればキリがない。私は「BDS Japan Bulletin」の情報発信や、理由などもわかりやすく解説されている「Olive Journal」などを参考にしている。

 ボイコットの対象はとにかく多いし、GoogleやAmazon、intelなど完全に縁を切るのは不可能に近い企業もある。だから私は完璧を求めることはせず、あくまで無理なく出来る範囲で続けている。例えば、私はAmazonの利用頻度を減らそうと意識した結果、電子書籍から紙の本への回帰が起きて本屋へ行く頻度が高まった。まあ、その結果として家の各所に本が積まれているという状況に陥っているのだが…。

 新横浜へ戻り、駅ビルに入っている「有隣堂」へ寄る。宮島未奈さんの成瀬の新作が掲載されている『小説新潮』が欲しかったのだが売り切れで、代わりに『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦)と『現代思想』(12月号・特集=田中美津とウーマンリブの時代)を購入。

 16時前に帰宅。横浜へ買い物に出掛けていた妻も少し前に帰宅し、これから娘をお迎えに出掛けるところだった。

 有馬記念(G1)の馬券を買わなかったのは何年振りだろう。直前のドウデュースの出走取消でモチベーションが下がってしまい、純粋に買うのを忘れてしまった。年末の風物詩に参加できず残念だが、結果を見る限り買っていたとしても当たっていなかったので、これはこれでいいか。

 娘が帰宅してから「M-1グランプリ」の敗者復活戦を追っかけ再生。時間がないのでそれぞれの気になるコンビのネタだけを見ていく。娘の好きなフースーヤやスタミナパン、私が応援しているオズワルドやインディアンスも軒並み面白かった。これだけの猛者たちですら決勝戦に進めないのだから、とてつもない大会である。

 入浴を済ませてから夕食。昨日、三崎港でお土産に買ってきた生・本まぐろの中トロが登場する。

 妻が作ってくれたきんぴらと並ぶ。お正月みたいに豪華だなと思うのは、テーブルの上に鏡餅がスタンバイされている影響もあるのだろう。

 マグロの相方はカンパチ。理想的な組み合わせである。

 美味しいが、普段本まぐろを食べる機会があまりないので、こんな味だったっけと不思議な感覚になる。本まぐろだからなのか、生まぐろだからなのかわからない。本まぐろの通常(冷凍)ものも買って食べ比べてみたい。

 食後のデザートは「抗議するクマたちクッキー」。娘と一緒に食べる。

 初めて買った時は、チャリティーになるし可愛いからという理由で選んだのだが、純粋に味が美味しい。食感と優しい甘さが絶妙である。当初、今日は娘と下北沢へ行く予定だったのだが、お友だちとの約束が重なったので、次回は是非一緒に買いに行こう。

 娘の就寝時間まで「M-1グランプリ」の決勝戦を追っかけ再生。最終決戦の手前まで観て、ヤーレンズや真空ジェシカ、エバースのネタで大笑いしたのだが、最後に出てきたトム・ブラウンが最高だった。漫才なのか、M-1に適しているのかというようなことはわからないが、純粋に面白さだけでいったら断トツだったと思う。娘も大笑いしており、得点が出てからはその低さにめちゃくちゃ怒っていた。しかし、こういうネタの評価が分かれるのは仕方ない。審査員の海原ともこさんも仰っていたとおり、彼らのネタは点数で評価できるような範疇にはないので、このまま自分たちのやりたいことをやり続けて欲しい。ただ、2本目に用意していたという剛力彩芽さんの顔が入れ替わるネタは見てみたかった。

 娘を寝かしつけてから洗濯をする。こっそり最終決戦を見てしまおうかとも思ったが、娘に悪いし、何よりトム・ブラウンの余韻をもう少し楽しみたいのでやめておく。

 結果だけは先にXで知ってしまった。令和ロマンの2連覇、すごい。まさに有言実行である。おめでとうございます。真空ジェシカの2本目も絶賛されているので、見るのが楽しみである。

 日付が変わる頃に就寝。


12月21日(土) 三崎まぐろとスペアリブ。

2024年12月24日 08時02分07秒 | 2024年

 8時半起床。

 朝顔の水やりをする。

 朝食はソイプロテイン。

 今日は妻の2週に1度のオンライン研修受講日なので、私は娘と外出。

 10時前に家を出て、車で三崎港へ向かう。鮪が好きな娘に本場のものを食べさせてあげよう。

 道路が空いていたこともあり、1時間強で三崎港に到着。昼食には少し早いので、産直センター「うらり」を散策する。

 まだ午前中だからだろうか、週末にしては空いている。

 娘は三浦大根の大きさに驚きつつも、大根は好きじゃないからとほぼ素通り。美味しいんだけどな。

 やはり鮮魚売り場の引きが強いようである。三崎港といえば「三崎のまぐろ」が有名だが、地魚も充実している。

 港に出る。風が強く波もパワフルだが、水面が綺麗な青色で惹きつけられる。

 少し前までは海を怖がっていた娘だが、いつの間にか笑顔で覗き込むようになっている。成長は嬉しいが、逆に目が離せない。親のほうが気を引き締めないと。

 「三崎館本店」で昼食。前職時代に何度か懇親会で訪れたことのある老舗の割烹料理旅館である。

 港が見える窓際の席に座る。素晴らしい雰囲気のお部屋である。

 「あら、今日はパパとデート?いいわねぇ」。お店の方が娘にとても優しくしてくださり、おかげで親子でリラックスして食事を楽しむことが出来た。ありがとうございました。

 娘からこの漢字は何と読むのか、どういう意味かと聞かれ、答えに窮する。「知足常楽能忍自安」は高校時代に習ったような気がするが、子どもにわかりやすく伝えるにはどう説明すればいいのだろう。

 飲み物はウーロン茶とオレンジジュース。

 娘は子ども用のまぐろ丼。

 親子揃って「おぉ」と声が出る。食べ始めた娘の笑顔から美味しさが伝わってくる。

 私はまぐろづくし梅コース。

 まぐろの酒盗(塩辛)と、胃袋の辛子味噌和え。三崎まで来たからには、お刺身だけでなくこういう鮪料理を食べたい。娘にもひとつひとつ説明し、興味を持ったものは食べさせてみる。塩辛が抜群に美味しい。私は下戸だが、これが「酒盗」と呼ばれる理由はわかる気がする。

 卵の寄せ物、角煮、しんじょう。娘は卵を気味悪がっていたが、「マグロのいくらだよ」と説明したら目の色を変え、さっそく一口食べていた。

 皮の酢の物。娘はこれにもチャレンジしていたが、酢の物はまだ少し早かったようである。

 お刺身はメバチマグロの中トロと赤身。圧巻の美味しさである。1切れずつ娘にあげたら大喜びしていた。あまりの美味しさに感動する一方で、これが基準になってしまうと今後苦労するのでは…という不安が頭をよぎる。

 卵とカマ身のねぎまの煮物。お刺身以外で娘が最も気に入ったのはこのカマ煮だった。柔らかくて脂のぷるぷる感もあり、癖になる味である。

 山芋にまぐろのすき身を入れた磯辺揚げ。山芋の風味のあとからマグロが追いかけて来る。これはちょいと大人の味。

 デザートの葛切りも満喫し、大満足でお店を出る。玄関を出る前から娘が「またここに来たい」と繰り返していた。今度はお母さんも一緒に3人で来ようね。

 うらりへ戻り、妻へのお土産用にマグロを見て回る。娘は冷凍マグロの大きさと値段の高さに驚いている。

 柵売りの値段にも驚いていた。確かに普段はスシローの2貫130円を食べているので、気持ちはわからなくもない。ただ、グラム単価で考えたらそんなに変わらないような気もする。

 何軒か見て回り、最終的に娘が選んだお店で本まぐろの中トロを購入。「一度も冷凍していない生まぐろ」というのが売り文句だった。まぐろに関しては必ずしも冷凍していないことが良いとは言えないのだが、物は試しである。

 買い物を終え、再び海を見に行く。午後になって雲が出始め、風も更に強くなってきた。冬の港っぽい。

 双眼鏡で沖や対岸(城ヶ島)の様子を眺める。何度か新横浜のお店に行ったことのある「三崎恵水産」の本社が対岸にあるよと教えたら、すぐに見つけてとても喜んでいた。そうか、もうこれくらいの漢字は読めるのか。

 私は前職時代からこの本港の景色が大好きだ。渡船や遊覧船、地元の小さな漁船だけが入港する小さな港だが、何ともいえない味がある。

 遠くに見える冷凍施設の説明をする。マグロの冷凍庫はマイナス60℃で、お父さんはその中に入ったことがあるよという話をしたらとても食い付いていた。ただ、自分が入ってみたいわけではないらしい。

 14時半前に帰宅。帰りは行きより更にスムーズで、1時間ぴったりで帰って来ることが出来た。娘はぐっすりお昼寝をしていた。

 帰宅してすぐにおやつタイム。珈琲を淹れ、チョコパイとココナッツサブレを食べる。

 電気カーペットの上で少しお昼寝をする。全員がカーペット上に集合しているので、ここだけ人口密度が高い。

 早めに入浴を済ませてから夕食。妻がスペアリブを作ってくれた。

 以前に何度か作ってくれた時は蒸し焼きだったが、今回は蒸し一本で作ったそうである。

 ジューシーでとても美味しいし、確かに蒸し焼きのものとは風味が違う。こちらのほうが重さがなくてたくさん食べられる。

 洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。

 妻がモッツァレラチーズを切り、先日私が成瀬旅行のお土産に買ってきたクラフトビールを開けている。

 チーズには、先日のチャリティーバザーで買ってきたパレスチナ産のオリーブオイルをかける。

 美味しい。お裾分けに預かるつもりが、結局半分は私が食べてしまった。

 日付が変わる頃に就寝。


12月20日(金) 出勤直後の溜め息。

2024年12月23日 18時02分07秒 | 2024年

 6時半起床。

 朝顔の水やりをする。

 朝食はソイプロテイン。豆乳ヨーグルトを切らしてしまった。

 娘を見送ってから、身支度を整えて家を出る。

 9時前に出勤。

 先に出勤されていた上司から私の休暇中に起きたプチ事件について聞かされる。「なんでそんなことで…」という気持ちと「またかよ」という気持ちが入り混じって深いため息が出る。

 昼食は、上司に派遣のスタッフさんと一緒にパスタをご馳走になる。いつも店頭に行列が出来ていて気になっていたお店だったのだが、人気になるのも納得の美味しいパスタだった。

 毎年この時期に実施されている業務内容と職場環境に関する調査の締切が迫っている。大半の項目は既に書き終わっているのだが、ひとつだけどう書くか(そもそも書くべきかを)迷っていることがあり、かれこれ半月近く悩んでいる。とある方に関する問題をはっきり伝えたいけれども、個人批判として捉えられたくはないしそのつもりもない。面談であれば細かなニュアンスも含めて正確に伝わっているか確認しながら話が出来るのだが、文章一本でとなると私の能力ではかなりの難易度である。もう少し考えよう。

 勤務終了後、民間学童へ娘をお迎えに行く。

 夕食は鶏の手羽元焼きを中心に。

 入浴と洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。

 成瀬巡礼の日記を書き終える。終えてしまった、とも言える。

 日付が変わる頃に就寝。


12月19日(木) ポルノ脳が人を裁くな。

2024年12月23日 08時02分07秒 | 2024年

 6時半起床。

 明け方に小雨がパラついたようなので、朝顔の水やりはお休み。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 娘を見送ってから、1階の部屋の掃除と敷物類の洗濯をする。

 9時から在宅勤務を開始する。

 昼食は目玉焼きとウインナー、キムチ、ご飯。シャウエッセンを大人使いする。

 娘が帰宅する。今日のお父さんはお仕事モードだとわかったようで、隣で静かに宿題をやり、終わってからも自分でおやつを準備したりと気遣いをしてくれている。

 勤務終了後、早めに娘と入浴。学校で流行っているというジャンケンの亜種を教えてもらう。ルールが斬新すぎて理解が追い付かない。

 妻が帰宅してから夕食。ホワイトシチューを食べる。

 洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。

 めちゃくちゃ怒っていることを書いておきたい。昨日の大阪高裁で出された滋賀医科大生レイプ犯たちへの無罪判決(飯島健太郎裁判長)である。性行為の存在、被害女性が行為を明確に拒否する発言をしているという事実、加害者たちが攻撃的な発言をしているという事実まで認定されたにも関わらず、それらもプレイの一環であり「女子学生の同意があった疑いを払拭できない」という判決は本当に意味がわからない。AV(フィクション)と現実の区別が付いていない、いわゆるポルノ脳の発想である。「自ら部屋に入ったのだから合意があった」というのも、未だにそんなことを言う人間がいるのかと驚いた。

 大阪高裁は恥を知りましょう。検察はきちんと上告してください。そして、最高裁は未来に恥じることのない判決を下してください。

 日付が変わる頃に就寝。


12月18日(水) 日常への復帰。

2024年12月22日 22時38分07秒 | 2024年

 6時半起床。

 朝顔の水やりをする。最後だと思われる種たちがまもなく収穫期を迎えつつある。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 娘を見送ってから、身支度を整えて家を出る。

 9時前に出勤。

 2日間休んだ分の仕事が…と言いたいところだが、後輩がフォローしてくれていたおかげでバタバタすることはなかった。ありがとうございます。

 昼食は「K​itchen Van」(キッチンバン)へ。

 日替わりランチの豚バラ肉のブレゼを頂く。

 玉ねぎと白ワインの蒸し煮とのこと。洋風のチャーシューのような味である。これは癖になる。

 定時で退社し、新横浜の「有隣堂」に寄る。職場の後輩からおすすめされた『あのこは貴族』(山内マリコ)と『ヴァイオレットエヴァーガーデン』(暁佳奈)を購入。

 民間学童へ娘をお迎えに行く。本屋へ寄り道した分、車という反則技を使って時間を取り戻す。

 夕食は豚バラ鍋。ポン酢で食べる豚肉と白菜の美味しさは格別である。

 入浴と洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。

 日付が変わる頃に就寝。


12月17日(火) 振り返りまでが旅行。

2024年12月22日 08時02分07秒 | 2024年

 6時半起床。

 朝顔の水やりをする。

 朝食は蜂蜜入り豆乳ヨーグルト。

 今日も休みを取っている。

 娘を見送ってから、成瀬巡礼旅行の日記を書き始める。旅は計画、実行、そしてこの振り返りの時間も楽しい。

 午前のおやつに、昨日京都駅で購入したこしあんの八ッ橋を食べる。八ッ橋の基本はつぶあんだが、昔からこしあんも細々と売られている。

 私はこしあん派である。特に八ッ橋はどう考えてもこしあんのほうが美味しいと思う。

 午前中で1日目の前編を書き終え、昼食。冷蔵庫に残っていたおかずと汁物をレンジで温める。生姜の利いたスープが美味しい。

 ほどなくして娘が帰宅する。普段と違って私が仕事をしているわけではないとわかったようで、遊ぼうモードに入る。そのため、日記を書くのは少し休憩。

 3時のおやつは近江勧学館で購入した「近江百人一首さぶれ」。

 八ッ橋に近い風味なのでどうかなと思ったが、娘も気に入ったようである。

 娘が録画したテレビ番組を見始めたところで、1日目の後編に取り掛かる。

 夕方、娘の宿題を見てから、いつもより早めに入浴。

 妻が帰宅してから夕食。ホワイトシチューを食べる。美味しい。

 洗濯を済ませ、娘を寝かしつける。

 1日目の後編を書き終え、2日目に取り掛かる。

 写真を眺め、作品を読み返しながら書いていく。普段よりはるかに長い日記になるが、熱中して書ける。気付いたら平気で2時間くらいは経っている。

 1時過ぎに就寝。


12月16日(月) 成瀬とまひろ。【後編】

2024年12月21日 08時02分07秒 | 2024年

 前編からの続き(前編はこちらから)。

 


 前編でも書きましたが、この日記には宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りにいく』及び『成瀬は信じた道をいく』のネタバレが盛大に盛り込まれています。これから読まれる予定の方はご注意ください。個人的には、この日記のような事前情報は全く入れずに作品を読まれることをおすすめします。


 

 時刻は12時過ぎ。

 石山寺を出て、瀬田川沿いを琵琶湖に向かって歩く。

 瀬田川は琵琶湖の水が自然流出する唯一の川である。琵琶湖の南端から流れ出し、途中で宇治川、淀川に合流して最終的には大阪湾へ注ぐ。昨日のミシガンクルーズでミシガンパーサーさんから教えて頂いたばかりの知識である。

 瀬田唐橋(せたのからはし)が見えてきた。京都と東の国々を結ぶ交通の要所であり、軍事的にも「唐橋を制するものは天下を制す」と言われるほど都を守る要衝だった。そのため、敵軍の侵攻を阻むために何度も焼き落されている。「急がば回れ」の語源となった場所(「回れ」のほう)でもあるそうだ。

 また、夕日の美しさは有名で「瀬田の夕照」として近江八景にも選ばれている。

 橋の真ん中まで行ってみよう。

 私はてっきり橋の上から琵琶湖越しに見える夕日が美しいのだろうと思い込んでいたのだが、琵琶湖は真北にある。

 橋の上から見える夕日は比叡山に沈む。後から調べてみたら、夕日に照らされる瀬田川とこの橋が美しいということだった。

 橋のすぐ近くにある近江牛専門店「松喜屋」へ伺う。

 道を挟んだ両側に店舗があり、こちらは精肉店とハンバーグ専門店「ハンバーグステーキ松喜屋」。

 ここでスタンプラリーをコンプリートした。

 ハンバーグ専門店では『成瀬は信じた道をいく』とのコラボメニューが提供されている。

 私は反対側にある「れすとらん松喜屋本店」を予約している。篠原かれんが家族からびわ湖大津観光大使就任のお祝いをしてもらったお店である。

 ここにも宮島未奈さんのサインが飾られている。

 篠原一家と同じ「一番高い近江牛のコース」には手が届かないが、奮発して個室を押さえた。

 「紫式部近江牛御膳」を頂く。

 紫式部と平安貴族の生活様式や食文化をモチーフにした御膳である。

 飲み物は甲賀コーラ。味が濃くて美味しい。料理の世界観と合わないことは重々承知なのだが、コカ・コーラもペプシもボイコット中なのでクラフトコーラがあると飲みたくなってしまう。

 コースは十二単のサラダから始まる。先ほど石山寺の大河ドラマ館でまひろの衣装を見たばかりなのだが、どこが十二単なのかはわからない。ただ、味はとても美味しい。お肉は厚みもあって柔らかく、野菜も新鮮だ。

 イワシの南蛮漬け、養老豆腐氷見立て、近江牛の手毬寿司の3種盛り。紫式部はイワシが好物だったらしい。私もイワシは好きだし、年齢を重ねるに連れてこういう手の込んだ小鉢料理に喜びを感じるようになってきている。

 松喜屋風空也蒸し。お豆腐の入った茶碗蒸しである。私は普段あまり茶碗蒸しを好んで食べないのだが、これは驚くほど美味しかった。私の嫌いな椎茸が入っていないのと、そもそもの出汁が美味しいのだと思う。

 早々にコーラを飲み干し、2杯目からは料理とのバランスを考えてウーロン茶にする。

 焼魚はビワマスのバーニャカウダーソースがけ。ビワマスはその名の通り琵琶湖の固有種で、高級品らしい。

 脂がのっていてとても美味しい。お刺身でも食べられるそうなので、次回は是非食べてみたい。

 はなびらたけのお吸い物。ぷるぷるした食感のはなびらたけとお出汁がよく合うし、すだちの酸味がいいアクセントになっている。先ほどの茶碗蒸し然り、ここのお出汁は本当に美味しい。

 いよいよメインの近江牛ステーキである。味付けはガーリックチップ、醤油を練り込んだ西洋わさび、泡塩(昆布だしと塩を泡立ててゼラチンでメレンゲ状に固めたもの)、玉ねぎとりんごの自家製ソースの4種類。

 お肉は最上位ランクの「極上サーロイン」(150g)にした。

 自分で焼くスタイルである。

 脂のじゅーっという音と良い香りがしてくる。

 自分で選んでおきながらサーロインだと脂が多すぎるのではないかと不安だったのだが、赤身とサシのバランスが良く、様々な味付けのおかげもあって最後まで新鮮な感動と共に食べることが出来た。特に泡塩と西洋わさびを合わせて食べると最高である。

 デザートは自家製チーズケーキ、シャーベット、フルーツ。チーズケーキがしっとり濃厚で珈琲とよく合う。

 期待以上に美味しいランチだった。奮発して良かった。

 唐橋前駅から京阪線に乗る。ホームには観光大使募集のポスターが貼られている。成瀬と篠原の同期はどんな方になるのだろう。

 京阪膳所駅を下りたところで成瀬ラッピング車両と遭遇する。

 ときめき坂のセブンイレブンでガリガリ君ソーダ味を購入。

 M-1グランプリの予選から帰って来た成瀬と島崎を真似し、馬場公園で食べる。成瀬はガリガリ君、島崎はチョコミントバーを食べていたが、チョコミントバーは売っていなかった。

 馬場公園はゼゼカラの漫才の練習場所でもあった。公園内のどこでという記述はないのだが、何となくこの場所のような気がする。ベンチに荷物を置き、木と木の間に立って漫才をしている2人の後ろ姿が目に浮かんでくる。

 オーミー(Oh! Me 大津テラス)に入っているフレンドマートのサービスカウンターへ行き、スタンプラリーの景品を頂く。成瀬の栞である。嬉しい。

 京阪線沿いに10分ほど歩き、島の関のロイヤルホスト(浜大津店)へ。「観光大使-1グランプリ」の一次予選を突破した成瀬と篠原が、二次の近畿ブロック予選に向けて作戦会議をしたお店である。

 成瀬たちと同じ京阪線が見える窓際の席に座ると、ちょうど成瀬ラッピング車両が通った。

 篠原かれんは鉄道写真を撮るのが趣味だが、そのことは成瀬以外の誰にも話しておらず、Instagramの裏アカで密かに撮影した写真をアップしている。祖母、母から続く三世代観光大使という夢を託され生きてきたが、いざなってしまうとこの先何を目標に生きていけばいいのかわからない。そんな篠原に成瀬は「趣味の鉄道写真を極めるのはどうだ」「それは十分に生きる目的だと思うのだが」と問いかける。この時はまだ「鉄道はあくまで裏だから」とやり過ごした篠原だったが、近畿ブロック予選ではその鉄道知識でピンチをくぐり抜け、本選出場はならなかったものの審査員特別賞を受賞する。彼女はこの時初めて心から「観光大使になってよかった」と思った。この章(「コンビーフはうまい」『成瀬は信じた道をいく』第4章)は彼女の『成瀬、あんた最高に映えてるよ。』という言葉で締めくくられるが、読者からしたら篠原も成瀬に負けないくらい映えていた。そして、次章で登場する彼女は堂々と「ごっつめのカメラ」を構えて京阪線のラッピング車両を撮影している。

 ヨーグルトジャーマニーを食べる。今日は既に30,000歩以上歩いてるので、糖分補給は大切である。

 オーミーへ戻り、2階の一帯を占めている大きな「TSUTAYA」で成瀬グッズを購入。発売直後のびわ湖マラソンとのコラボTシャツやクリアファイルなどを買う。

 におの浜地区最寄りの神社だと思われる「石坐神社」を参拝する。奇想天外な大晦日を終え、2026年の元旦に成瀬と島崎は近くの馬場神社へ初詣に行く。それがこの石坐神社であるという確信はないが、可能性は高いと思う。

 2人はおみくじを引き、島崎は吉、成瀬は大吉だった。成瀬はなぜか毎年大吉を引くらしい。さすが。

 島崎は成瀬が何を祈るのか気になるが、知りたくないような気もして聞けない。逆に聞かれても、本当の願い事は成瀬には言いづらい。私はもうすぐ終わる旅の無事と家族の健康を祈った。近江神宮の時と同じだ。

 参拝を終え、琵琶湖を目指して歩く。におの浜地区のマンションはどれも成瀬が住んでいそうに見える。

 今回の旅で琵琶湖を訪れるのもいよいよこれが最後である。

 2026年の初詣を終えた2人は湖岸を歩く。

 「島崎、今年もよろしく頼む」。琵琶湖に目を向けたまま言う成瀬に、島崎は「もちろん」と答える。そして、先ほど神社で祈ったことを、琵琶湖に向かってもう一度祈る。

 これからもずっと、成瀬を見ていられますように。

 それは私を含む多くの読者も同じ気持ちだろう。

 琵琶湖に別れを告げ、「びっくりドンキー」(大津店)で夕食。高校3年生の8月、翌週に迫ったときめき夏祭りの全体打ち合わせを終えた2人が食事に訪れ、成瀬が島崎から引越しを知らされる。

 成瀬が毎回必ず食べているというチーズバーグディッシュを注文。びっくりドンキーのハンバーグを食べるのはかなり久しぶりだが、やはり美味しい。

 デザートはミニソフト(イチゴソース)。これも成瀬の定番である。島崎の引越しを聞かされた時、成瀬はこのミニソフトの白玉を食べていた。しかし、今はもうデザートメニューに白玉は入らなくなったようである。そういえば、昔のびっくりドンキーには「メリーゴーランド」という理想的なパフェがあり、それに入っていた白玉は本当に美味しかった。

 食事を終え、におの浜地区を後にする。ときめき坂を歩くのもこれが最後である。成瀬の月曜日のパトロールコースなので、どこかですれ違ったかもしれない。

 電車の時間まで少し余裕があったので、朝食がとても美味しかった「ベルエキップ」(Belle Equipe)を再訪。

 珈琲を飲みながら膳所駅前の様子を眺める。店主さんと常連客の会話が心地良い。

 膳所駅から琵琶湖線に乗る。今回予定していた場所は全て訪問することが出来たが、成瀬シリーズはこれからも続くようなので、今後また新たに行きたい場所が増えていくだろう。成瀬、島崎、またね。

 京都駅19:10発のこだま752号に乗り、新横浜へ帰る。帰りも「ぷらっとこだま」である。最新のN700S系グリーン車に乗れて嬉しい。

 売店で白湯が売っていることに驚いたが、よく考えてみれば水が売られているのだからそれほどおかしなことではないか。

 なぜ私はこんなにも成瀬シリーズにハマったのだろう。本屋大賞を受賞するくらいだから作品そのものが素晴らしいというのはもちろんだが、それ以外にも私の趣向とぴったり合う何かがあるような気がする。ひとつわかっているのは、私は女性同士の友情を描いた作品に惹かれる傾向があるということである。角田光代さんの『対岸の彼女』がきっかけだったと思うのだが、男性同士のそれとは明らかに何かが違い、私自身は経験することが出来ない女性同士の友情、影響の与え方、与えられ方といったものに興味(「憧れ」という表現のほうが適切かもしれない)がある。

 元々私は何かを見たり聞いたりすると現地へ行って実物を体感してみたいと思うタイプではある。しかし、小説を読んでその聖地巡礼をするというのはこれが初めてだ。しかも今回はかなり強い衝動に突き動かされ、一度インフルエンザで中止になってもそのまま諦めるという発想は全くなく、すぐに再チャレンジの計画を立てた。訪問先のリストを作るために作品を何度も読み返し、エクセルシートに場所とエピソードをまとめて整理するほど気合いが入っていた。楽しみ過ぎて前日の夜になかなか寝付けないということも、かなり久しぶりに体験した。そうしていざ巡ってみて思うのは、「聖地巡礼めちゃくちゃいいじゃん」ということである。今後読めるであろう成瀬の続編はもちろん、他の作品・コンテンツでもこういう楽しみ方をするという選択肢が得られたことは大きい。

 そんな風に今回の旅を振り返っていると、3時間20分もあっという間である。

 23時前に帰宅。

 入浴を済ませて洗濯機を回し、お土産を整理する。妻には地ビール、娘にはクッキーを買ってきた。

 自分用には成瀬グッズ。びわ湖マラソンとのコラボTシャツと、

 クリアファイルを3種類。

 クリアファイルは2枚ずつ買った。大人買いである。

 洗濯が終わるまで時間で写真の整理をしつつ、足をマッサージする。2日間で6万歩以上歩いたので、足がパンパンだし足首も痛む。

 1時過ぎに就寝。楽しい2日間だった。


12月16日(月) 成瀬とまひろ。【前編】

2024年12月19日 17時08分02秒 | 2024年

 この日記には、宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りにいく』及び『成瀬は信じた道をいく』のネタバレが盛大に盛り込まれています。これから読まれる予定の方はご注意ください。個人的には、この日記のような事前情報は全く入れずに作品を読まれることをおすすめします。

 


 

 5時起床。成瀬と同じ時間に起きる。厳密には成瀬は5時のアラームが鳴る2秒前、4時59分58秒に自力で目を覚ます。

 スマホだけ持ってホテルの部屋を出る。

 成瀬の朝のランニングコースに従い、琵琶湖沿いを歩く。作中では夏の一場面として描かれているので既に日差しが強く暑い様子だったが、当然ながらこの時期ではまだ真っ暗である。ちなみに、2024年12月現在の成瀬は高校3年生の受験追い込み期に入っているので、怪我防止のために早朝ランニング(走り込み)は室内トレーニングに切り替えられている。

 めちゃくちゃ寒い。本当に寒い。しかし、真っ暗な琵琶湖には神秘的な美しさがある。

 ちなみに、一連の写真はiPhoneで自動設定になっていたナイトモード(暗いところでも精細な写真が撮れる)で撮ってしまったのでかなり明るく見えるが、実際にはほぼ真っ暗である。

 日中の琵琶湖文化会館は趣きがあって素敵だったが、この暗さで見ると不気味さが勝る。

 桟橋風の遊歩道で湖の中に入っていく。先ほど歩いて来た湖畔でもそうだったが、所々で釣りをしている人がいる。

 先ほど歩いてきたにおの浜方面を眺める。

 大津港方面は少しだけ明るい。

 琵琶湖は静寂に包まれている。時々、魚が跳ねるのと鴨の羽ばたく音だけが聞こえてくる。

 大津港までやってきた。成瀬の走り込みの折り返し地点である。

 ミシガンが幽霊船のように見えてちょっと怖い。

 私も大津港で折り返す。ちょうど東の空が明るくなってきた。

 朝日に向かって歩く。ライニングや犬の散歩をする人も増えてきた。日常的にこの景色が見られるのは羨ましい。

 ホテルを通り過ぎ、成瀬と島崎の住んでいるあたりまで歩いてみることにする。

 さすがに疲れてきた。におの浜から大津港まで往復すると約4キロ歩くことになるので、おじさんが朝の5時からやることではなかったかもしれない。

 成瀬と島崎が住んでいるのは、におの浜3丁目(の4丁目寄り)か4丁目(の3丁目寄り)だと思われる。架空の人物とはいえ、早朝から女子高生の住むマンションを探し歩いている自分がちょっと怖い。

 3丁目から4丁目にかけてはたくさんのマンションが建っている。膳所駅までは徒歩10分強の場所で、商業施設も琵琶湖も近い。買ったらいくらくらいなのだろう。

 湖畔へ戻る頃にはかなり明るくなっていた。もうカメラもナイトモードにならない。

 「びわ湖大津プリンスホテル」は、におの浜地区の北東の端に建っている。ときめき坂に事務所を構える弁護士の吉嶺マサルと大阪のWeb会社に勤める稲枝敬太はときめき小学校の同級生で、このプリンスホテルで卒業後30年の同窓会を企画していたが、新型コロナウイルスの影響で中止となってしまう。しかし、稲枝が作成した同窓会HPをきっかけに、かつてケンカ別れしたまま急に転校してしまったタクロー(笹塚拓郎)と連絡が取れ、2020年8月31日の夜、営業最終日となった西武大津店で再会する。(「階段は走らない」『成瀬は天下を取りにいく』第3章)

 湖畔のベンチで少し休憩してから、7時前にホテルへ戻る。

 小一時間ほど二度寝をしたら、外はすっかり明るくなっていた。急いで身支度を整え、8時半前にホテルをチェックアウトする。

 朝のときめき坂を上る。ときめき小学校(平野小学校)の児童たちが元気に校門へ吸い込まれていく。

 京都や大阪へ通勤する人たちは既に電車に乗っているのだろう、人通りはそれほど多くない。

 と思ったら、膳所駅からたくさんの学生が下りてきた。島崎の通う大津高校の生徒だろう。

 駅前にある喫茶店「ベルエキップ」(Belle Equipe)に入る。

 店内の窓からは膳所駅前の様子がよく見える。

 朝の通学ラッシュ時間帯だからだろう、京阪電車の運行本数も多い。

 ハムエッグのモーニングセットを頂く。成瀬は早朝のランニングを終えて帰宅すると、自分でハムエッグを焼いてご飯にのせて食べる。ハムエッグ丼を真似するのは難しいので、私はトーストと食べる。

 卵2個とハム3枚の豪華なハムエッグである。サラダも焼きたてのトーストも美味しいし、珈琲もとても香り高い。幸せな気持ちになる朝食である。

 朝食を終え、京阪膳所駅から浜大津・坂本方面の電車に乗る。

 びわ湖浜大津駅から三井寺駅までの区間は路面電車になる。電車はともかく、車を運転する側は難易度が高そうだ。

 南滋賀駅で下りる。

 すぐに滋賀市民センターが見えてくる。全国高等学校小倉百人一首かるた選手権の予選会場のひとつで、西浦が成瀬に一目惚れ(?)した場所である。

 建物の端に大津市民憲章の石碑が設置されている。「あたたかい気持ちで旅の人をむかえましょう」。成瀬はこの教えにのっとって西浦たちをミシガン観光へ案内した。

 滋賀市民センターはいわゆる市役所の出張所と公民館を兼ねた施設だが、地域の歴史紹介や観光案内コーナーもある。地元の小学生たちが作ったオリジナルかるた「しがやふる」も展示されていた。

 1駅隣の近江神宮まで歩く。

 近江神宮は、大津京を開いた天智天皇を祀る神社である。

 百人一首の一首目は天智天皇の句である。だから大津は「かるたの聖地」なのか。

秋の田の かりほの庵の 苫を荒み わが衣手は 露にぬれつつ(天智天皇)

 成瀬と島崎はここで大学受験の合格祈願をした。

 いや、彼女たちの受験は来年だから、「これからする」というほうが正しいか。

 私は旅の無事と家族の健康をお願いした。

 まだ綺麗な紅葉が残っている。

 近江神宮の敷地内にある近江勧学館へ。全国高等学校小倉百人一首かるた選手権のメイン会場である。

 私は「勧学」の【勧】を【歓】だと見間違えて「歓んで学ぶ」ことだと思っていたが、「学ぶことを勧める」という意味だった。

 受付の近くに宮島未奈さんのサインが飾られている。

 私は成瀬の聖地巡礼で来たが、『ちはやふる』の聖地としても有名(というかそちらがメイン)なようだ。

 かるた対戦を再現できる撮影スポットもある。

 巨大な読み札(絵札)も置かれている。

 大津市のご当地キャラ「おおつ光ルくん」。石山寺に住んでおり、かるたや和歌を詠むのが得意。

 全国大会の会場は2階にある。毎年7月に開催されているそうなのだが、一般客も見られるのだろうか。

 受付の近くに「広報おおつ」が置かれていた。

 令和7年度のびわ湖大津観光大使の募集情報が掲載されている。成瀬と篠原の選ばれる年である。

 帰りがけにお土産として「近江百人一首さぶれ」を購入。1年間限定で『光る君へ』とのコラボパッケージになっている。

 近江神宮駅を越えて湖畔近くまで歩き、「ブランチ大津京」へ。中学3年の時、成瀬はここで開催されたけん玉大会に参加して「もしかめ」を4時間やり続け、最後は主催者に止められる形でチャンピオンになっている。

 作中に記載はないが、敷地内にある「三角広場」が大会会場だったのではないだろうか。

 近江神宮駅へ戻り、石山寺行きに乗る。座ってすぐにうとうとし始め、気付いたら終点の石山寺駅に到着するところだった。

 成瀬巡礼を一時中断し、石山寺を参拝する。

 まひろ(『光る君へ』)の聖地巡礼である。

 この大きな硅灰石を見て気付いたのだが、以前に西国三十三観音巡礼で訪れたことがある。

 本堂の内陣まで参拝し、観音様にゆっくり手を合わせる。ご無沙汰しております。

 紫式部が『源氏物語』を起筆したとされている「源氏の間」に人が集まっている。

 紫式部は、石山寺から見た琵琶湖に映る中秋の名月の美しさに心を打たれて『源氏物語』を書き始めたと言われている。本来ここは天皇や皇族、貴族、高僧など身分の高い人が使用する部屋だったそうで、物語の制作がいかに重要な任務だったかが伺える(と説明書きに書いてあった)。

 今はもう境内から琵琶湖はほとんど見えない。

 紫式部像に挨拶してから下山する。何となく、まひろ(吉高由里子さん)に似ているような気もする。

 大河ドラマ館へも立ち寄る。

 彼女が「IXY」(キャノンが当時販売していたデジカメ)のCMで「イクシー持って行くしー!」と言っていた頃からの大ファン(当然「IXY」は買った)としては、今回の『光る君へ』は必見だった(最終回はまだ見ていないが)。

 最終回放送翌日ということもあり、多くの人で賑わっていた。贔屓目抜きにしても『光る君へ』はとても面白かった。『篤姫』、『西郷どん』、『鎌倉殿の13人』と並ぶ傑作だと思う。

 時刻は12時過ぎ。後編へ続く(後編はこちらから)。


12月15日(日) 成瀬巡礼。【後編】

2024年12月18日 08時02分07秒 | 2024年

 前編からの続き(前編はこちらから)。

 


 前編でも書きましたが、この日記には宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りにいく』及び『成瀬は信じた道をいく』のネタバレが盛大に盛り込まれています。これから読まれる予定の方はご注意ください。個人的には、この日記のような事前情報は全く入れずに作品を読まれることをおすすめします。


 

 時刻は12時30分。大津港に到着。

 琵琶湖汽船の窓口で、数日前に予約しておいた13:00発ミシガンクルーズの乗車券を受け取る。

 港の一角にも成瀬コーナーが設置されている。

 ミシガン号は琵琶湖を代表する観光遊覧船である。1982年に就航し、滋賀県の友好姉妹都市であるアメリカ・ミシガン州との国際親善を祈念して「ミシガン」と命名された。外観はアメリカ南部ミシシッピー川に就航している外輪船のイメージからデザインされている。

 高校2年生の夏、成瀬は膳所高校かるた班の一員として全国高等学校小倉百人一首かるた選手権に出場。予選会場となった滋賀市民センターで、成瀬は広島県代表錦木高校の西浦航一郎と出会う。試合中の成瀬の豪快なフォームから目が離せなくなった西浦の一目惚れだった。同じかるた部で幼馴染みでもある中橋結希人の助けを借りて成瀬に話しかけ、成瀬は大津市民憲章の「あたたかい気持ちで旅の人をむかえましょう」という教えに則り、大会翌日に2人をミシガン観光へ案内する。

 乗船した3人は成瀬の案内で3階の部屋へ上がる。ミシガンパーサーの挨拶の後、選ばれた乗客によるドラの合図でミシガンは出航。作中では5歳の男の子、今日はお子さん連れのご家族がドラを鳴らした。

 大津港を出ると北へ真っすぐ進む。クルーズには90分と60分の2コースがあり、私は成瀬たちと同じ90コースに乗っている。90分コースは1日2便で、成瀬たちは11時の便に乗ったが、私は行程の関係で13時の便である。

 出航してほどなく、成瀬たちは4階のデッキへ上がる。中橋は気を利かせて西浦を成瀬と2人きりにしてくれた。

 「ここでぼんやりするのが好きなんだ」。成瀬は椅子に座り、西浦も隣に腰を下ろす。言葉を交わすうちに西浦は成瀬の成瀬らしさに惹き込まれていく。

 「成瀬さんは好きな人いるの?」。勇気を振り絞った西浦に、成瀬は「そのような質問をするということは、西浦は私が好きなのか」と返す。「私のどこに惹かれたのか」、「誰にも似ていないところ」、「なるほど」。

 沈黙が始まったその時、中橋が戻ってくる。助け舟か、はたまた偶然か。

 3人は1階に下りる。湖面がかなり近い。少しでも波が出たら床に流れ込んで来そうだが、そんな心配はいらないのだろう。

 海のような湿った潮風ではなく、すっきりと爽快な風が吹いている。湖面は青にも緑にも、時にはエメラルドグリーンのように輝いてもいる。琵琶湖がこんなに素晴らしいとは思っていなかった。来るきっかけをくれた成瀬(と宮島未奈さん)に感謝である。

 近い湖面を見て「落ちそうで怖いね」と言う中橋に対し、うきわを指差しながら落ちた時の対処法を具体的に熱弁する成瀬。「200歳まで生きる」を目標にしている成瀬のリスクマネジメントは完璧である。

 2階の船尾からは赤い外輪が目の前に見える。豪快に水しぶきが上がっているのは見ていて楽しいが、冬なので一段と冷える。

 成瀬は「巻き込まれたら即死だから」という理由でここへは近寄らない。そんな成瀬に対する中橋の印象は「普通じゃない」「だいぶ変わっている」である。普通の人はそうかもしれない。

 ミシガンはゆっくりと右に旋回して大津港を目指す。もう半分過ぎてしまったのか。

  3階の室内でミシガンパーサーさんの観光案内が始まる。外にも放送されるので、案内に従って景色をじっくり眺める。琵琶湖に流入する河川は460本あるが、自然流出するのは1本(瀬田川)だけしかないという話は衝撃だった。

 西岸の奥で雪化粧をしているのは比良山(系)。この雪化粧は「比良の暮雪」として近江八景のひとつとされているそうだ。この時期ならではの景色だが、これだけ綺麗に積もっているのはかなり珍しいとのこと。

 西岸一体に広がっているのは比叡山。その全てが延暦寺の敷地(比叡山=延暦寺)である。根本中堂にある本尊(薬師瑠璃光如来)の前には1200年間灯り続けていると言われる「不滅の法灯」があるが、実は根本中堂の灯りは1度だけ、織田信長による比叡山焼き討ちの際に消えてしまったことがあるらしい。しかし、焼き討ちの30年ほど前に山形の立石寺へ分灯したことがあり、復興後の再分灯によって「不滅」は継続された。今も1日2回、僧侶が油を継ぎ足して灯りを守っている。油を断ってしまうと1200年続いた灯りが消えてしまうことから「油断大敵」という四字熟語が生まれたと言われている。

 琵琶湖の西岸、比叡山の麓には「坂本」という地域がある。成瀬と共に2025(令和7)年度の「びわ湖大津観光大使」に就任する篠原かれんの住む町である。彼女は祖母・母から続く3世代観光大使という宿命を背負って努力を重ね無事に選ばれるが、成瀬との活動を通して自分の人生を生きる一歩を踏み出すことになる。私自身が鉄道オタクだからということもあるのかもしれないが、この「コンビーフはうまい」(『成瀬は信じた道をいく』第4章)は成瀬シリーズの中でも特に好きな話である。

 観光案内の最後には『成瀬は天下を取りにいく』、『成瀬は信じた道をいく』も紹介されていた。「聖地巡礼で訪れる方もたくさんいらっしゃいます」という説明に頷いていたらパーサーさんも気が付いてくださった。

 観光案内の後は、ミシガンパーサー・シンガーによる音楽ライブ。クリスマスソングを中心としたステージで、先ほどまで売店にいらっしゃったスタッフさんの乱入もあったりしてとても楽しかった。

 音楽と同じくらいトークも魅力的だった。喋るからには笑わしたろうというサービス精神は、さすが関西のパフォーマーである。また、これは私に半分関西人の血が流れているからかもしれないが、やはりプロの話し手さんの関西弁はテンポが良くて耳に心地良い。

 90分のクルーズはあっという間だった。ミシガンクルーズは本当におすすめである。今度は娘も連れて来てあげたい。

 湖の駅浜大津に併設されているフードコート「おいしや」に入る。クルーズを終えた西浦は中橋に「成瀬さんと二人きりにしてほしい」と頼み、中橋は西浦の健闘を祈りつつ成瀬に「急用ができた」と言って中座する。

 2人はここで「近江牛コロッケ御膳」を食べる。成瀬おすすめのメニューである。

 作中で描かれていたとおり、お米は滋賀県産キヌヒカリが使用されており、おかわりも無料だ。

 もちろん近江牛コロッケ御膳を食べる。ご飯、漬物、味噌汁、コロッケ、だし巻き玉子、きんぴら。小説そのままのラインナップである。しかも、副菜がしっかり美味しい。

 メインのコロッケは驚くほど美味しかった。揚げたてでサクサクなのはもちろん、お肉の旨みがじゃがいもにしっかりしみこんでいる。これはご飯が進む。

 西浦は4杯、成瀬も2杯のご飯を食べたが、私は1杯に留めておく。

 遅めの昼食を終え、湖岸へ戻る。歩き始めてすぐに琵琶湖ホテルが見えてくる。成瀬と篠原のびわこ大津観光大使就任式とその後の昼食会が行われた会場である。この就任式と昼食会の合間に2人は湖岸に出て、篠原が成瀬のインスタカアカウント用の写真を撮ってあげる。

 高校時代の成瀬と西浦の話に戻ろう。2人は湖岸の遊歩道を歩く。成瀬は平然と琵琶湖の豆知識を紹介しているが、西浦は告白の返事がまだなことに気が気ではない。

 そんな折、琵琶湖に飛び込もうとしている(ように見えた)男性を止めに成瀬が走り出す。西浦もそれに続き、柔道仕込みの力で男性を引き戻す。男性はここでは死ねそうにないと思い留まったところだったが、死を考えていたのは本当だった。手荒なことをされて憤慨する男性に怯むことなく成瀬は「死ぬのはもったいない」と説得を続け、駆けつけた警察官に後を委ねる。

 成瀬は「西浦の気持ちには応えられない。恋愛は人生の後半に回そうと思っている」と告白を断る。西浦は吹き出してしまう。200年生きることを目指している成瀬の人生の後半となると、まだ80年以上先だ。そして、西浦は成瀬がきちんと考えて答えてくれたことが嬉しかった。

 『俺はますます成瀬さんが好きになったよ』

 この後、成瀬は西浦を膳所駅まで送る。「レッツゴーミシガン」ではここまでだが、2人は手紙のやりとりを続け(この時点で成瀬はまだスマホを持っていない)、「成瀬慶彦の憂鬱」(『成瀬は信じた道をいく』第2章)では西浦が京都の大学を受験することがうっすらほのめかされている。

 琵琶湖沿いを歩いていくと、今日の宿泊先である「ホテルピアザびわ湖」が見えてきた。

 成瀬たちのように膳所駅まで歩くのは大変なので、ひとつ手前の石場駅から京阪線に乗る。この選択は大正解だった。

 滞在中に一度は乗りたいと思っていた成瀬のラッピング車両がやってきた。めちゃくちゃ嬉しい。ちなみに、2日間の滞在中に京阪電車には何度も乗ったが、成瀬車両とすれ違うことはあっても乗ることが出来たのはこれが最初で最後である。

 私が乗った車両の側面には「ありがとう西武大津店」(『成瀬は天下を取りにいく』第1章)のイラストが描かれている。

 膳所本町駅で下りる。わずか3駅、5分足らずの乗車だったが、幸せな時間だった。ちなみに、ラッピング車両の運行期間は来年2月までとのこと。

 膳所駅周辺とは少し雰囲気が違う。古き良き風情のある町である。

 駅のすぐ近くに成瀬の通う滋賀県立膳所高校がある。滋賀県内で最も偏差値の高い高校だそうだ。成瀬は入学式に坊主頭で登場して新入生代表の挨拶を堂々と務め、その後かるた班に入る。最高峰の高校でも勉強は順調そのもので、最終的にはセンター試験で校内1位(ということは実質的に県内1位)の得点を叩き出し、教師からは「二次試験も普通に受ければ普通に受かる」と太鼓判を押され、実際に第一志望の京都大学に合格することになる。そんな成瀬のことを父・慶彦は「ディープインパクトのようだ」と思っている。確かに、成瀬の京大受験とディープの単勝元返しだった菊花賞は似ているような気がする。

 大貫かえでは膳所高校まで徒歩で通っている。入学式に坊主頭で登場した成瀬に驚き、同じクラスになって頭を抱えた。成瀬と同じ中学校から膳所高校に進学した生徒は2人おり、その内の1人が大貫である。彼女は成瀬のことを苦手としているが成瀬はそんなことは全く気にかけておらず、2人は東大のオープンキャンパスのついでに西武池袋本店を見に行ったりもしている。成瀬が髪の伸びるスピードの検証を早々にやめようとした時には「最後までちゃんとやんなよ」と発破をかけ、高3の夏になって髪型がおかしくなってきた時には逆に「さすがに変だから切ったほうがいい」とプラージュを紹介している。島崎の引越しを知って勉強が手に付かなくなった成瀬にペースを取り戻すきっかけを与えてくれたのも大貫だった。脇役ではあるものの、私の中ではとても印象に残っている登場人物である。ちなみに、作中で彼女は東大受験を目指していたが、合否は定かではない。

 膳所本町駅へ戻る。ベンチに可愛い座布団が置かれている。膳所高生のためだろうか。

 通常塗装の電車が入ってきた。京阪カラーもカッコいい。

 膳所駅へ戻り、これまで散策していた駅の北側(琵琶湖側)ではなく南側へ下りる。成瀬、島崎、大貫の母校である大津市立打出中学校(作中では「きらめき中学校」)はこちら側にある。平野小学校(ときめき小学校)とは違って公認されているという情報はないが、大津市教育委員会のHPで学区を確認したところ平野小学校の学区は全て打出中学校の学区に含まれている。

 ただ、膳所駅からでも延々と坂を上って20分弱は歩かなければならないから、成瀬たちの住むにおの浜からは30分近く掛かるのではないだろうか。

 到着する頃には足がパンパンになっていた。

 随分と上ってきたことがわかる。そりゃ足も悲鳴を上げるだろう。そういえば、大貫も「中学まではきつい上り坂だった」と述懐していた。

 帰りは駅前を通らず、におの浜方面への最短ルートと思われる道を歩いてみる。通学路として指定されている様子が伺えるから、おそらくこのルートが正解だろう。

 平野小学校の児童が考えた交通安全標語(川柳)が掲示されている。成瀬が6年生の時に考えた「信号を守って守る わたしの未来」もこちら側(山側)の通学路に飾られていた。

 線路下をくぐって琵琶湖側に出たところに、大津市立平野幼稚園があった。ここが成瀬と島崎の通っていた幼稚園(作中では「あけび幼稚園」)ではないだろうか。確証はないが、大貫が「あけび幼稚園の卒園児がときめき小学校の最大派閥だった」と回想していたので、おそらくそうだと思う。

 ときめき坂へ戻ってきた。

 せっかくなのでもう少し散策しよう。

 平野小学校企画の謎解きウォークラリーも開催中のようである。とても気になるが、1泊2日ではここまで手が回らないので諦める。

 来年3月に開催される「びわ湖マラソン」のメインビジュアルに成瀬と島崎が登用されている。そういえば、SNSで公式グッズの成瀬Tシャツが紹介されていた。どこかで見つけたら買ってみよう。そして、どうやら島崎は走らないっぽい。

 少し休憩できる場所を探しつつ、膳所駅方面へ歩く。

 駅の近くにある喫茶店「ラーゼス」(COFFEE HOUSE RHAZES)に入る。

 「ときめき坂ブレンド」というホットコーヒーを頂く。喫茶店というよりも焙煎豆の販売がメインのお店のようだが、居心地は良い。

 ときめき坂を下り、再び「Oh! Me 大津テラス」へ。

 フレンドマートで夕食やおやつ、飲み物などを購入する。レジで成瀬が働いているかなと思ったが、よく考えたら彼女が大学生になるのは来春である。

 日没後の琵琶湖に出てみる。

 湖面に映る月の光がきらめいている。まひろ(紫式部)が石山寺から見た月もこんなに綺麗だったのだろうか。

 「ホテルピアザびわ湖」にチェックイン。人気の琵琶湖側の部屋も空いていたが、敢えて街側の部屋を選んだ。琵琶湖の景色も魅力的だが、今回は膳所の街を眺めたい。

 大浴場で汗を流してから夕食。フレンドマートで今日のおすすめ品としてアナウンスされていた寒ブリが中トロ・赤身とセットになったお寿司を中心に、生春巻き、ポテトサラダを買ってきた。

 おすすめされていただけあって、寒ブリのお寿司は脂がよくのっていて美味しかった。中トロ、赤身もしっかりしたものだ。やるじゃんフレンドマート。

 成瀬シリーズの2冊を開き、明日訪れる予定の場所に関する章を読みなおす。明日も楽しみである。

 まだ時間が早いので、プライムビデオで『NCIS:ハワイ』を観る。新幹線の中でも観ていたのだが、やはりNCISシリーズは面白い。

 夜のおやつは「三井寺力餅」と「六方焼」。

 三井寺力餅は、青大豆と抹茶で作ったきな粉がふんだんにまぶされている。

 夜に和菓子を食べるのもいいものである。

 21時に就寝。せっかくの聖地巡礼なので、就寝・起床時間も成瀬を真似てみることにする。

 翌日へ続く(翌日はこちらから)。


12月15日(日) 成瀬巡礼。【前編】

2024年12月17日 12時55分08秒 | 2024年

 この日記には、宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りにいく』及び『成瀬は信じた道をいく』のネタバレが盛大に盛り込まれています。これから読まれる予定の方はご注意ください。個人的には、この日記のような事前情報は全く入れずに作品を読まれることをおすすめします。

 


 

 5時45分起床。

 荷造りをして身支度を整え、朝顔の水やりをする。

 7時前に家を出る。今日から1泊2日で滋賀県大津市へ1人旅に行く。先月、妻と娘が妻の会社の軽音部合宿へ行くのに合わせて企画していた旅だが、その時は家族全員がインフルエンザにやられて中止となってしまったので、妻にお願いして再チャレンジさせてもらうことにした。目的は、宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りにいく』と『成瀬は信じた道をいく』の聖地巡礼である。

 新横浜7:15発の東海道新幹線こだま703号に乗る。「ぷらっとこだま」という格安切符を利用すると、のぞみ号の定価よりはるかに安い金額でグリーン車に乗れる。時間は掛かるが、座席は快適だしガラガラなので居心地はすこぶる良い。

 ホームの売店で買ったサンドイッチを朝食にする。

 雲ひとつない青空で富士山も綺麗に見える。絶好の旅行日和である。

 10時半過ぎに京都に到着し、琵琶湖線に乗り換える。

 京都に住んでいる叔父一家から「素通りかい!」とツッコまれること間違いなしなので、連絡はしなかった。

 10分ほどで膳所に到着。

 駅のコンコースで主人公の成瀬あかりとその親友・島崎みゆきが出迎えてくれる。2人は同じマンションに住んでいる幼馴染みで、中学2年生の時に「ゼゼカラ」というお笑いコンビを結成しM-1グランプリにも挑戦した。

 ゼゼカラのキャッチコピーである「膳所から世界へ!」かと思いきや、「世界から膳所へ!」である。世界まではわからないが、少なくとも日本中から私のような聖地巡礼者が訪れているはずである。

 個性全開の成瀬と比べて島崎はいわゆる普通の女の子だが、成瀬の良き理解者である彼女の存在感は物語が進むに連れて大きくなっていく。

 スタンプラリーが実施されているようだ。チェックポイントは13ヵ所あり、全て巡るとオリジナルの栞がもらえるらしい。13ヵ所はさすがに…と思ったが、見てみると全て今回予定している訪問先(もしくはそのすぐ近く)だったので、やってみることにする。

 膳所駅は思っていたより大きかった。JR琵琶湖線の膳所、京阪石山坂本線の京阪膳所という2つの駅が隣接している。

 駅前から琵琶湖方面に「ときめき坂」を歩く。駅から成瀬たちの住む「におの浜」へ向かう主要ルートで、作中に何度も登場する坂である。成瀬の巡回パトロールの月曜ルートでもある。

 思っていたより広い坂(道)である。車もそれなりに通る。

 坂を下り始めてすぐ右手に滋賀県立大津高校がある。島崎の通う高校である。『成瀬は信じた道をいく』で成瀬は京都大学へ、島崎は家族で東京へ引っ越して私大へ通うことになるが、成瀬と島崎は2006年生まれなので2024年現在は18歳(高校3年生)である。

 更に進むと右手にセブンイレブンがある。中学2年生の成瀬と島崎が初めて「M-1グランプリ」に出場した後、予選会場の大阪から膳所へ帰って来てここでアイスを買い、(後述する)馬場公園で食べた。

 ときめき坂全体が商店街となっており、セブンイレブンのようなチェーン店も点在しているが、歴史のありそうな個人店や良い意味で不思議な雰囲気のお店も多い。成瀬がここをパトロールしている様子が目に浮かぶようである。

 成瀬がパトロールで商店街の安全を守っているだけでなく、商店街も成瀬を全面バックアップしている。

 坂を下りきる少し手前に大津市立平野小学校がある。作中では「ときめき小学校」という名前で、成瀬と島崎の母校である。

 小学校も公認なんだ。すごいな。

 駅構内や商店街の看板もそうだが、地域全体が成瀬シリーズを応援していることがよくわかる。

 「膳所から世界へ!」というゼゼカラのキャッチフレーズは、未来ある子どもたちの通う小・中学校の標語にもぴったりである。

 小学校を過ぎたあたりで勾配はなくなるが、ときめき坂はもう少し先まで続く。

 小学校の裏にある「よりみちぱん」もスタンプラリーの訪問先に入っているが、私の記憶では作中には登場していない。どうやら、何かのインタビューで作者の宮島未奈さんが島崎のお気に入りとしてここの塩パンを紹介したようである。日曜日はお休みなので、食べられず。

 様々なお店で成瀬シリーズが紹介されている。もしかして成瀬は実在するのではないかと思えてくるほどの推しっぷりである。

 美容室「プラージュ」。高校入学時に「人間の髪は1ヵ月で1cm伸びるというのが本当か検証したい」という理由で丸坊主にした成瀬が、高校卒業までという計画を途中で断念して高3の8月上旬に髪を切った美容室である。1ヵ月に1cmだと髪の長さは28cmになっているはずだが、実際にはトップは30cm、サイドは31cmだった。美容師さん曰く「若いから伸びるのが早いんやね」とのこと。

 ときめき坂の終わりに「馬場公園」がある。先述のM-1帰りにセブンイレブンで買ったアイス(成瀬はガリガリ君ソーダ味、島崎はチョコミントバー)を食べたり、ゼゼカラの漫才の練習場所でもあり、成瀬に憧れる小学生・北川みらいが落ち込んでいるところを島崎が励ましたこともあった。現在は改装工事中で園内に入れないのが少し残念だ。

 勝手な予想だが、成瀬と島崎がM-1帰りにアイスを食べたのはこの場所ではないだろうか。

 高校1年生の時、ここで漫才の練習中だった成瀬と島崎は実行委員長の吉嶺マサルからスカウトされ、ときめき小の校庭で開催される地域祭「ときめき夏祭り」の司会と漫才をするようになる。

 高校3年生の夏祭り前、島崎から東京へ引っ越すことを聞かされた成瀬は珍しく動揺して日常のルーティーンが乱れて勉強も手に付かなくなり、ここのブランコを全力で漕いで自分自身と向き合った。

 公園越しに見えるのが、西武大津店の跡地に建設された「シエリアシティ大津におの浜」(作中では「レイクフロント大津におの浜メモリアルプレミアレジデンス」)である。めちゃくちゃ大きいな。

 公園を抜け、右側へ回ってみる。先ほど公園越しに見えていた棟が左端で、右側にもうひとつ同じ大きさの棟が建っている。一体何部屋あるのだろう。

 西武大津店の閉店は成瀬たちが中学2年生だった2020年8月31日。竣工は今年の4月(成瀬たちは高校3年生)だから、解体から建設まで約3年半掛かっている。

 2025年夏、大学生になった成瀬がアルバイトをするスーパー「フレンドマート大津テラス店」(作中では大津打出浜店)へ度々クレームを入れている呉間言実とその夫・祐生が住んでいる。マンションを購入したのは2024年ということだったので、既に入居済みかもしれない。ということは、もうフレンドマートへのクレームも始まっているのかも。

 グーグルマップ上で「西武百貨店跡地」として表示されるのはもう少し(1区画)琵琶湖側で、そこは「シエリアシティ大津におの浜」のモデルルーム展示場や駐車場、一部は空き地のままになっている。

 『島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う』。成瀬の物語はこの場所から始まった。

 成瀬と島崎のマンションは後述する「Oh! Me 大津テラス」方面から見てびっくりドンキーの奥にあるということだった。2024年現在で築20年のマンションで、琵琶湖とは反対側の山が見える南向きの部屋らしい。駅からは徒歩で10分強、西武大津店跡地からは2、3分の場所である。彼女たちにとって西武がいかに身近な存在であったかは想像に難くない。

 ときめき坂方面へ戻り、「Oh! Me 大津テラス」へ。

 想像よりはるかに大きなショッピングモールである。

 大学生になった成瀬がアルバイトをしているスーパー「フレンドマート」(平和堂)は1階に入っている。

 ゼゼカラがときめき夏祭りでの漫才用に考えた地元あるある「平和堂の入口にある自動のアルコール消毒がめっちゃ出る」は本当だった。成瀬は余った分を顔につけているらしいが、私は怖くて出来なかった。

 お店の一角に成瀬コーナーがあり、フレンドマートの制服を着て記念撮影が出来たり、成瀬へのメッセージを書けたりする(読者様のお声)。

 私も成瀬へのメッセージを書いた。

 このメッセージコーナーは「やめたいクレーマー」(『成瀬は信じた道をいく』第3章)のオマージュだろう。関西らしい遊び心である。

 呉間言実がクレームを書いていた「お客様のお声」コーナーも実在する。彼女は備え付けのものは使わず自前の書きやすいボールペンを用意するほど熱心にクレームを書いていた。これだけの説明だと作品を読んでいない方はめちゃくちゃ嫌な奴を想像するだろうが、実際にはツンデレ系の憎めないキャラクターである。

 同じく1階にフードコートがある。ときめき小学校の「ときめきっ子タイム」(総合学習)で地域で活動する人を取材して紹介するという課題が出て、4年生の北川みらいはときめき夏祭りでなくした財布を一緒に探してくれたゼゼカラを取り上げることにした。この一連の取材がきっかけで彼女は成瀬に魅せられ弟子入りすることになるのだが、その最初のインタビューの場所がこのフードコートである。

 取材時、成瀬はフードコートを使うためにフレンドマートで好物のおやつ昆布を買って食べていた。私は昆布が食べられないので、併設されている「ドンクエディテ」でシュトーレンと珈琲を購入。さすがはドンク、シュトーレンがとても美味しい。

 オーミーでの糖分補給と休憩を終え、琵琶湖に出る。近くを通ったついでに眺めたことはあったと思うが、本格的に観光するのは初めてである。

 海のような広大さがありつつも、波はなく潮の香りもしない。不思議な感覚である。

 湖畔を歩いて大津港へ。作品内でも紹介されていた「うみのこ」が停泊している。

 琵琶湖の生き物や水質について学べる学習船で、滋賀県内の小学5年生は全員乗るらしい。

 時刻は12時30分。後編へ続く(後編はこちらから)。