6時半起床。
身支度を整え、財布とスマホだけ持って朝の散策に出掛ける。
「岡村春子商店」(Deli & Kitchen 魚春)で朝食。
尾道水道がよく見えるカウンター席に座る。
朝食メニューは1種類。鯖の塩焼きがメインの定食である(ご飯は少なめにして頂いた)。
鯖はもちろん、全ての料理が作りたてで美味しい。これぞ理想的な朝食である。今回の尾道旅行で食べたものの中で、この朝食が最も印象に残っている。
食事を終え、福本渡船の乗り場へ。
ちょうど船がやって来た。
ゲーム(龍が如く6)では渡船乗り場は再現されていたが、船の発着は描かれていなかったため、こういう形の船なのかという新鮮な驚きがある。私がイメージしていた船より大きい。
大人60円、自転車10円、普通車100円。破格である。
いざ乗船。
すぐに出航する。時刻が決まっているというわけではなく、ピストン運行のようである。
乗客は自転車に乗った高校生と私の2名。乗船料を払おうとまごまごしていたら、船員さんが向島の窓口で払うんだよと教えてくださった。
船上から見る尾道の街も良い。これぞ港町といった佇まいである。
向島までの所要時間は5分ほど。
小山の先に向島ドックが見える。せっかくなので近くまで行ってみよう。
船内には乗客用の座席も用意されている。
あっという間に向島に到着。
下船後、窓口で乗船料を支払う。渡船はすぐに折り返し出航していった。
JFE商事造船加工株式会社のドックが目の前である。
クレーンが大きな鉄板を運んでいる。船のどの部分に使うのだろう。
向島ドック株式会社の標語が前向きでわかりやすい。由来は何なのだろう。
渡船乗り場の近くには寮のような建物が多く立ち並んでいる。船員さんや造船会社の社員さん向けのものだろうか。
今はもう使われていないような連棟式の住居も残っている。
史料館などではなく、現役の看板として目にするのは初めてである。
向島ドックの周囲をぐるりと回り、海沿いへ出る。ドックの大きさに圧倒される。
しばらく眺めていると、ドックの奥から1隻の船が出てきた。
さらにドックへ近づいてみる。
写真だと伝わらないかもしれないが、息を吞むような迫力である。自然と「すげぇ…」という言葉が漏れる。
先ほどの船が戻って来た。どうやらドックの一番手前に入渠するようである。
先導船の動きが複雑かつ精密で、見事な手綱捌きだった。素晴らしいものを見た。
ドックの隣にはのどかな漁港が並んでいる。
まさに港町である。
街の造りや雰囲気、産業構造などは大きく異なるが、海と山に恵まれている点において尾道には小田原と同じような魅力を感じる。
渡船乗り場へ戻る。
所々に渡船事業廃止のお知らせが貼られている。廃止前に乗ることが出来て良かった。
乗船料を支払い、桟橋の先端で待機する。少し寒いが、気持ちの良い場所である。
別航路(尾道駅前渡船)の船が通り過ぎていく。こちらは第三セクター(おのみち渡し船㈱)が運航している。
第十五小浦丸がやって来た。
尾道からは軽トラ1台と数名の乗客が乗って来たようである。
すぐに折り返し出航する。
どんどん尾道の街が大きくなっていき、帰りもあっという間に到着。
お世話になりました。ありがとうございました。
最後の1ヵ月も、どうぞご安全に。
続いては山側へ向かう。
「龍が如く6」でもこの線路下のトンネル、ありましたよね。
三つ又の歩道橋には上らず、そのまま歩く。
千光寺山ロープウェイ乗り場へ。
昨晩は歩いて登ったが、今日は往路だけロープウェイに乗る。
登るにつれて尾道の街がズームアウトし広がっていく。
乗客全員がこの景色に釘付けである。私の前に座っている小さな男の子が目を輝かせている。
ロープウェイを降り、頂上の展望台から景色を眺める。夜景も素晴らしかったが、日中は尾道の街、水道、向島などが一望できる。
造船所方面に目を移す。
JFEのクレーンが元気に動いている。先ほど乗った福本渡船が頑張っている様子もよく見える。
向島ドックに大きな客船が入っていく。あとで近くまで見に行ってみよう。
展望台から千光寺へは少し坂を下る。
岩の歌碑が所々で見られる。「岩のまに 古きほとけのすみたまふ 千光寺山かすみたりけり」(小杉放庵)
千光寺へ参拝する。ご本尊は小さいが、とても美しかった。
昨晩は閉鎖されていた境内の奥へ進む。
境内にも展望台(所)がある。
頂上の展望台より街が近くて迫力がある。
徳川綱吉(5代将軍)の時代に刻まれたという「梵字岩」。円形の中に光明真言、大日如来真言の梵字が刻まれた光明真言曼荼羅だそうだ。これだけ迫力のある曼荼羅は初めて見た。
帰りは歩いて下山する。
天寧寺の塔婆(海雲塔)。昨晩も同じ場所から夜景を眺めたが、この塔越しの風景は尾道を代表する風景と言われるほど有名なものだそうだ。
塔婆は建築当時は五重だったが、途中で老朽化した上の二重を取り除き、現在の三重になったとのこと。
街並みを眺めながらの下山は楽しい。ただ、高所恐怖症なので時折怖い場所がある。
何の変哲もない細道だが、このお墓の中を通る感じ、「龍が如く6」のファンにとってはワクワクが止まらない。
昨日の日記でも書いたが、お寺が多いこともあって、山の斜面に沿って数多くの墓地が点在している。桐生が海賊の幽霊と交流した墓地もどこかにあるはずだ。
千光寺はメインの参道というものが明確に定められているわけではないようでルートは多様にあり、それぞれが風情ある細道なのでついつい遠回りして歩いてしまう。
9割方下山したところから、別の道を少しだけ上る。
猫の細道。実際にこの一帯で多くの野良猫が暮らしているそうで、観光名所になっている。
私は1匹だけ実物の猫にも会えたが、実物ではないものの至る所に猫はいる。
真ん中の赤色の石猫(アカ)が厄除けで、その周りには「苦がなくなるように」と9匹の石猫が寄り添っている。
わ、可愛い。
こちらはちょっと怖い。
猫の細道の散策を終え、下山する。
ロープウェイ乗り場のすぐ隣にある艮神社へ参拝する。「龍が如く6」で登場する神社のモデルはおそらくこちらだろう。
艮(うしとら)という字があることを初めて知った。
拝殿にとてつもなく大きなご神木が覆いかぶさっている。
(推定)樹齢900年のクスノキらしい。これだけ大きかったら厄除けの効果は抜群だろう。
拝殿にお参りし、旅の無事と家族の健康・安全を祈願する。
後編へ続く(後編はこれから書きます)。