先日とてもお天気が良かったので、遠くの連峰が綺麗に見えました。
雪を冠すると特に美しい眺めになります。空の色も爽やかに水色でした。
国内でも、こういう風に連邦の姿を鑑賞できる場所は少ないという事です。
海岸から写真に撮ると、海に連邦が映り込みとても雄大で美しいです。
小学校の6年生でこの山に登山するのが通例なので、私もこの山に登山して来ました。
山頂には鳥居があります。私は鳥居を見ましたが近くに行って触れる事なく下山して来ました。
鳥居まで行かなくてよいと先生が言っていたと、人伝に聞いたからでした。
でも、登山したからには頂上の鳥居に触れて来る、鳥居を潜って来る、それが良いように思います。
実は、引き返し始めた私に、側にいた友人がJunさん、やっぱり鳥居に行きたいんじゃない、
と聞くので、うん、ここまで来たから鳥居まで行って触れて来たいと言うと、
友人も私もという事で、2人で早速引き返しました。
友人と2人で鳥居まで行き、私は鳥居に触れ、友人は鳥居の周りを回って、
2人でにっこり、やったねと一呼吸置いてから下山しました。
何でも目的地があるなら、やはり目標に到達するべきだと思います。
上記、どっちつかずな曖昧な書き方をしましたね、それは山特有の霧のせいなのです。
友人も私も時折、鳥居まで引き返したのは夢だと思う事があったからなのです。
「junさん、鳥居まで行ったよね。」
ある日友人は私にこう訊きます。
私もこの何日か前、同じ事を考えていました。
大体鳥居まで行かなくていいと聞いた時、周りには靄がかかり始めていました。
鳥居が見えて⛩、私があんな物があそこにあると思ったら、すぐ霧で見えなくなり、
ふいっと霧の晴れ間から同級生が現われ、その子から無理に行かなくて良いと聞いたのです。
気が付くと同級生の後ろにもう1人ました。
私も霧に包まれると視界のきかない靄の中で不安になり、引き返した方が良いと思ったものです。
それでその同級生達と連れだって引き返すと、直ぐこの友人に出くわしました。
友人に同じ話をして、皆で引き返す時に友人と私は列の後ろになり、仲よく話し始めました。
話を聞いた同級生達が先に行ってしまった後 、友人が私にほんとは鳥居に行きたいのじゃ無いかと聞いたのでした。
私はそうだと言いながらも、霧で鳥居が見えないから行けないねと残念に言うと、
友人が振り返って声を上げ、私も振り返ると鳥居が見えていたのです。
それで、折角ここまで来たのだからと、2人で行ってみようかと戻り始めました。
戻り始めるとみるみる地面が見えて、私達はどんどん進みました。
が、また直ぐに靄に囲まれました。
私は身動き出来ず、側に居るはずの友人の顔も見えませんでした。
見える?見えない。と声をかけ合いながら、2人で後悔する以前に困っていると、
又直ぐに霧は晴れ、今度は鳥居の近辺まで地面もスッキリと大きく晴れ間となりました。
今だ!と2人で一目散で鳥居まで急ぎ辿り着きました。
鳥居について直ぐまた霧にかこまれ、少しこういう頂上の霧に慣れた私達は、
話だけして身動きせずに霧が晴れるのを待ち、鳥居の側にいました。
また視界が晴れて来たので、私は目の前に見えた鳥居に確り手を差し伸べてタッチしました。
手の感触を確かめると、古い木肌でしたが確りしていました。
地面は細かな土というより、瓦礫が転がっているようでした。
小さな岩が降りつのったような感じで、ごつごつした見た目と足下の感触だったと思います。
霧が晴れた鳥居の側で一息吐くと、友人は鳥居を潜り、私は友人を見て如何しようかと思ったのですが、
ここまで来て鳥居に触れられただけで十分だと思っていました。
「Junさんは潜らない方がいいよ。」
友人にそう言われて、戻って来た友人が鳥居をぐるぐる回るのを見ると、
私も鳥居を潜りたくなりました。
また友人が鳥居を少し離れた隙に、私は少しだけ頭を鳥居の中に入れてみました。
足も入れて潜ろうかなと思ったところで、友人がこちらを向いて戻って来たので、
私はそのまま友人と鳥居を離れて帰って来ました。
「Junさん、鳥居を潜ったでしょう?」
友人がそう言うので、私はううんと答えておきました。
頭潜って足は潜らず。私が如何とも返事が出来なかったのも確かです。
「一寸だけね、潜ったの。」
私はそんな曖昧な返事をして。友人に顰蹙を買いながら下山して来ました。
途中、私達は新しくやって来た同級生に出くわし、無理に行かなくてよいと先生が言っていたってと告げると、
同じように霧に包まれて一旦皆で下山したのですが、やはり新しく来た同級生達が途中で消えてしまい、
友人と、私達のように戻って行ったんだねと訳知り顔で話、頷き合いました。
折角ここまで来たから、皆鳥居まで行きたいよね。
友人が言うには、何でも私は婿取りだから鳥居は潜らない方がよい、
鳥居の向こうに行かない方がよいと言っていました。
確かに、鳥居を潜った友人は県外に嫁に行きました。
私も一時県外に出て、また戻って来て定着していますから、
鳥居を潜ると県外に出て行ってしまう事になるようです。(迷信といえば迷信かも)
この時の度重なる靄の感覚が、夢の中にいるようで、あの時の事は夢なのかなと私も思ってしまうのです。
それで、友人から夢かなと聞かれた時に、あの時こんな場面で誰はこう言ったと話すと、
共に記憶は一致するので、同じ夢を見る訳が無いからと、私は事実だと言うのですが、
話が出る度に友人は夢の方が優先となり、私が事実だと言うと嘘だと思ってしまうのでした。
これは、やはり、友人に鳥居を潜ったかと聞かれた時に、
私がううんと嘘をついてしまった結果になったので、そのせいなのかもしれません。
山の神様って恐ろしい物かもしれませんね。あれは夢ではなくて事実ですよ。2人で鳥居まで行きました。
そして、目標を達成するという事は、旅立ち巣立って行くという事なのかもしれません。
また、鳥居を潜らずにこの土地に定着するのもよいのかもしれません。(何にしても曖昧)