困っている人だよ、助けたくないの?お父さん。
私は、父に確認するように尋ねます。
困っている人や悲しんでいる人を助けるのはいい事でしょう?
人を助けるのは親切なんでしょう?
お父さんが普段、私にしなさいと行ってる事じゃないの?
ふぁははははは、
祖父が不思議な笑い方をして、
お前の日頃の教育の賜物だのうと言うと、祖父の顔にはやはり不思議な笑みが浮かび、じーっと私を見るのでした。
お前商売に精を出さずに、何時もお前の云う処の教育という物に熱心だった成果がこれかい。
祖父は一見愉快そうに微笑んでいました。
お祖父ちゃん、私の行いに上機嫌なんだわ、ここはもっと頑張って父に寄付を出させなくては。
と私は尚もにこやかに父に詰め寄ります。
「寄付、寄付、寄付、寄付!、お金、お金、お金、親切、親切、親切!」
ね、お父さん。と父の膝に手を置いておねだりします。
してよ、いいでしょう、Junちゃんのお願いと。私はしたり顔です。
家は酷い目にあって無いでしょ、と、寄付を出すべきだとせっせと訴えます。
家だって、と、父は言いかけましたが、祖父がこらこらと言うので、黙ってしまいました。
父はそのまま黙して何も語らず、お金を出すとも駄目とも言いませんでした。
親切だよ親切、カッコイイ、お父さん。
と私が言うと、そうだなぁと父は漸く朗らかな笑顔を浮かべます。
お前がそういうなら、と父が言うと、祖父はすかさず
ほらそんな風に直ぐ、こんな小さい子にまで女の子ときたら鼻毛を抜かれて、
と全くお前と来たら結婚しても子供が出来ても変わらない。
と、呆れ顔でした。
ここで、どうやら祖父は寄付には反対らしいと私は気付きます。
お祖父ちゃん寄付には反対なの?と、父に尋ねてみると、さあなぁと父。
寄付自体には反対じゃないだろうけど、こう何回もではなぁ。と、
○○川が溢れたのは今回が初めてじゃないから、その度に寄付寄付だからなぁと、
冴えない顔でしょんぼりした感じでした。
お祖父ちゃんの事はお祖父ちゃんに聞いてみたらと言われて、
一応、お祖父ちゃんは寄付に反対なの?と聞いてみます。
お祖父ちゃんは笑顔のまま黙っていました。
お前あの寄付何処へ行っていると思う?と祖父は父に尋ねるので、
父は被災者だろうと答えます。祖父はやっぱりねと言う顔でうーんと言うと、
あれは実は○○に吸い上げられているらしいと言います。
え、そんな事が、そうすると○○は丸儲けじゃないか。そんな事がと言う父に、
祖父はお前は世の中を知らないと言います。
こっちは身銭を切ってまで出すんだから、ちゃんと被災者に届くという保障が無いと…。
祖父は言葉を濁すのでした。
出せ無いには出せない、出したく無いには出したくない、双方に理由があるのでした。