フィリング入りのパイを作らない代わりに、私はパイ生地だけをクッキー型で切り抜いて、一口サイズのパイをよく焼きました。手軽だし、簡単で、それなりに美味しく出来上がり、小さいだけにパクパクと家族の食も進むからでした。
このパイはパイのトップにグラニュー糖をまぶしただけのパイでしたが、結構丁度良い甘さに仕上がるのです。クッキー型がバラエティに飛んでいるだけに、パイの形も色々に作る事が出来、大きさも小さい事から、ポロポロと可愛いパイ達が沢山出来満足感が満たされました。ちょんとつまんでポィっと口に放り込む手軽さは子供にはとても受けていました。母も時折通り掛けにポイポイと口に放り込んでいました。1回に調理用のナイロンの小袋に2袋は出来ましたから、1回作ると2、3日は持ちました。パイが苦手な家族にも、当の型で作るクッキーより人気が有った様でした。
さて、ここでもうまとめに入りたいと思います。今迄書いて来たお菓子達ですが、どれが私に取って簡単で作り易いかと言うと、この最後の可愛いパイ達です。甘さも形も作り勝手も1番よく、何より家族同様私も気に入っています。
プレーンでシンプルで、見栄えがよく、簡単に袋に入れて持ち運びが出来ます。誰か人に上げる前に何時も家庭内で消費されてしまい、私自身未だ家から持ち出したことは無いのですが、お店で買って来たと言っても疑われないような味と見栄えです。型抜きしてあるだけに身綺麗、可愛い、お砂糖の甘味だけであっさりとした普通の甘み、普通にこれは洋菓子だなぁと誰もが感じるだろう失敗の無いお菓子です。パイ生地だけをきちんと作って手早く型抜きし、クラニュー糖、又は細かなザラメ糖をトップにつけるだけ、天パンに並べた後はオーブンで焼いて膨らむのを待つだけです。
パイの楽しいのは、このオーブンの中でふっくりと膨らんで出来上がるのを見る事ですね、平らな生地が立体に成長していく様、焼き上がった時の嵩がボンと増えたお菓子の顔と対面する事です。天パンからポロポロと紙の上に取り出して、冷めてから軽く掌で覆うようにしてすくい上げ袋に入れる時、一杯出来たお菓子に私の幸福感も一杯に満たされるようです。手作りの他のお菓子同様にこのパイを頬張る時、家族にとっても幸福感がいっぱいのパイで心が満たされていると、私に取っても又このパイは何倍にも喜ばしいお菓子となるのでした。