Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華4 4

2021-11-08 20:21:18 | 日記

 仕事って、と、おばさんは不服そうな顔付きで少々口を尖らせ物言いをした。

「こちとらは、はぁ、ご飯も未だだっていうのに…。」

ご飯?、ああ、昼ごはんか。私は思った。続けて、『随分遅い昼ご飯だなぁ。』私は思った。私など昼食の後の昼寝まで終えて、その後にここ迄来ているというのに。やや呆れた目付きでおばさんを見上げると、おばさんは如何いう物か怒った顔を見せずに、今までの緊張がほぐれた様にふうと肩を落とすと、如何にもほっと安らいだ様子で優しい笑顔を私に向けた。

 何時もの智ちゃんだね。自分に言い聞かせる様にそんな事をしんみりと言うと、この家の2階に向かって、何時もの智ちゃんだよ、治った様だよ、等言った。2階では、一瞬ええっと驚きの声が上がったが、直ぐにシイっとそれを抑えるような声と気配が伝わって来た。如何するんだ、如何って、等、その後も頭上では話は続いている様だったが、私のいる1階の玄関先迄は話の内容は伝わって来なかった。

 何だろうか。私は2階にいるのが誰と、判然としない状態でいた。この家の2階なら、いるのは清ちゃんと、ここにいない彼の父の筈だ。が、如何も何時も聞いていた彼等の声音とは違っている様に感じる。そこで私は口を閉じて頭上に耳を澄ませてみた。そんな私の様子に清ちゃんの母も口を閉じて黙っていた。

 この様にシーンとしていた階下だったが、頭上から聞こえて来る声の気配はやはり私には馴染みの無い声の様に思える。そこでこの家の2階に今いる人物達は、この家に普段いる住人とは違う誰か別の人物らしい、と、私にはそんな風に思えて来るのだった。そうしてその人物達が、何かしら忙しなく焦って動き回っている。そんな頭上の喧騒の様子ばかりが伝わって来るのを、私は階下で不穏に感じ始めた。


うの華4 3

2021-11-08 19:54:56 | 日記

 この間やや間があったが、遂に階段の女性はおずおずと私に顔を見せた。それは果たして清ちゃんの母、彼女の顔に相違なかった。彼女の顔は何だか緊張気味で、私に対して何時もの様に愛想の良い笑顔を見せていなかった。が、その瞳はじいっと私の顔を覗き込み、その内優しい視線を私の顔に注いで来た。

 「今日は、おばさん。」

私はいつもの様に笑顔で午後の挨拶をした。昼寝から覚めた後の外遊びには、何時もこの午後の挨拶が欠かせないのだ。と、私は理解していたので、いかにもしたり顔で悠然と微笑んだ。そんな私に彼女も目を細くして微笑んだ。何時もの智ちゃんだね、彼女はホッとした様に声を出した。「病気はもういいの?。」

 おやっ?と私は思った。暫く風邪は引いていない、な。と思った。私が風邪を引くのは冬だ。もう夏も近いというのに、何だろうと思った。この頃の私が病気と聞いて思いつく病は風邪のみだった。腹痛や頭痛等、病気と思っていなかったし、実際、この頃の私は腹痛も頭痛も滅多に起こさなかった。清ちゃんのおばさんは如何したのだろう?。今日のおばさんは何だか妙だと感じて、私は目をパチクリとした。

 妙だといえば、清ちゃんの家のお店に、何時もいるおじさんがいないのも妙だ。午後は何時もこの時間は、清ちゃんの父で有るおじさんが店先にいた。彼はせっせと稼業に勤しんでいるのが常であったのだ。こんなふうに店先がシンとして、如何にもひんやりとした雰囲気で有るのは、私はこの時が初めての様な気がした。

「おじさんは?。」

私は階段を見上げて、清ちゃんの母で有るおばさんに尋ねた。「おじさん、仕事してないの?。」


今日の思い出を振り返ってみる

2021-11-08 19:41:22 | 日記
 
卯の花3 68

 「お祖父ちゃんは…、長く生きて来て、…商売も上手いし…。」如何いったらよいのだろうか、私は未だ自分の言いたい事がよく分からず悩んでいた。 「お金だって沢山儲けたんでしょう。」思わ......
 

    よいお天気でした。明日は雨になるようです。寒くなるかしら。

    相変わらず、誤字の題名が続く昨年の作品。昨年は、パソコンが前回の文字を記憶して変換候補が表示されていたので、それをクリックしただけでしたが、こんなに漢字が続いているなんて、と、妙に感じます。何時もひらがなを見て、クリックしていましたからね。