Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華4 7

2021-11-19 16:55:07 | 日記

 空気を震わせる、妻の凛としたこの声を聞いた夫は眉を顰めた。彼は彼女を労う様に、「縁起でも無い。」と呟くと、あの子は何だってこんな時間にこの家へやって来たんだ。と、迷惑そうに呟いた。実際に、迷惑な、拠りにも拠って、家だなんて、と、口にした。

 『しんみりとした雰囲気は変わらないなぁ。』私は思った。折角おじさん達が話し始めたのに、その後は相変わらずの沈黙の時が訪れていたのだ。私はこの彼の家の店先の重い雰囲気に焦ったくなって来た。もう帰ろう、否、清ちゃんを誘わずに1人で遊びに行ってしまおう。私は決意した。と、天井でバタバタと動きのある音がした。2階に近い位置にいたおじさんが何だと驚いた声を出した。如何したんだ、何かあったのかと上に声を掛けた。2階から返事は無い。様子を見て来ると妻に言うと、おじさんは階段から2階へと消えた。

 おい、何をしているんだ。そんなおじさんの声と何やら別に話をする声がしていたが、程無くしておじさんは階段の妻の元に戻って来た。

「あいつ、頼まれているそうだ。」

そんな事を、彼は自分の妻に伝える様に話していたが、頼まれるって、こっちは嫌だよと妻。彼女があの子に断れって言ってくれと言うと、夫は言ったよと答えた。えっと思わず顔を顰める妻。

 ボソボソと、2人は相談していたが、その内思い立ったように夫の方が玄関にいる子供に声を掛けた。

「智ちゃん、別に家の子と遊ばなくていいだろう。」

智ちゃんには遊ぶ子他にいるしな。あの子だって、他に友達いるし…。そう作り笑いを浮かべて、言葉を切ると、彼は子供の様子を見るために黙った。玄関の子は首を傾げてキョトンとしている。彼の言葉が判然としない様子だ。彼はなぁと、子供に同意を求める様に声を掛けた。そうして、子供が確かに他にも遊ぶ子はいると答えて来たので、彼はここぞとばかりに満面の笑みを浮かべると言った。

「それに、智ちゃん、あんた家の清は嫌いだろう。」

無理して遊んでくれな…。彼がそこまで言ったところで、玄関の子は彼の言葉を遮ると、その言葉をキッパリと否定した。

「ううん、清ちゃんとは仲良しだよ。」


今日の思い出を振り返ってみる

2021-11-19 16:52:13 | 日記
 
うの華3 74

 彼は興味深気な顔付きをして私を見た。面白そうに私の口元を眺めていたが、よく回る口だなと呆れた様に嘆息した。 祖父は、「分からないなぁ。」、そう呟くと、不思議そうな目をした私に、「......
 

    よいお天気でした。久しぶりのアップです。