彼女は実は義弟の事で悩んでいたのだ。先程彼女は夫の実家の裏で義弟の激昂する声を聞いた。その時、彼女はそんな興奮状態の義弟と、自分や自分の子供達が顔を合わせる事を酷く厭ったのだった。世の中に、尋常で無い人に相対するのを憂く思わない人はい無いだろう。ましてやその人物が自分の身内であり、血の繋がる人間であれば尚更にその憂鬱度は増すという物だ。
『義理の繋がりの自分より、』
と彼女はここで、義弟と血の繋がりのある彼女の娘達の事を考えた。彼女達が興奮状態の叔父と顔を合わせたならば、きっと子等は嫌な思いをする事だろう。それは陰鬱な感情だ。そんな子供達の心中の負担を想像し、彼女達の母で有る彼女は咄嗟に身を翻したのだ。
横道に出て、半ばおろおろと茫然自失の体で子等の先を歩く彼女だったが、次に如何と考えると、彼女は自分は子の母親だと思い立った。そこで透かさず彼女は子へと振り返った。
『食堂へ行こう、一先ずそこで落ち着こう。』
彼女はコーヒーを口実にする事にした。そうして彼女は彼女共々、自分の娘達と共にここまで引き返して来たのだ。謂わば母娘は食堂へと避難して来たと言えた。
しかし『でも、』、と、食堂に落ち着いた彼女は考えた。三郎の家の子供と直接話をした件もある。彼女はその件の事を考えると、自分達はあの家に行き、そこで四郎と顔を合わせる事が必定になるだろう、と感じた。
しかし『でも、』、と、食堂に落ち着いた彼女は考えた。三郎の家の子供と直接話をした件もある。彼女はその件の事を考えると、自分達はあの家に行き、そこで四郎と顔を合わせる事が必定になるだろう、と感じた。
『そう、それは避けられない。』
ここで自分達が少し間を置いている間に、彼、義弟四郎の気分が少しは収まっていれば善いのだが…。『しかしそうはならず、彼の怒りが益々募っていたら如何しよう。』彼女はこうも煩悶した。そうこう思う内に、食堂のテーブルでのコーヒーを目の前に、彼女は段々と意気消沈し元気が無くなっていたのだった。にっちもさっちも、と、思案に迷ったその瞬間に、こうも間合い良く舅は現れたのだ。
『もう、』と嫁は思った。人の困った様子を話しの種にして…。彼女は目の前の舅共々にこの店の主に対しても、自身の内心にむらむらと急激に湧いてくる怒りを感じていた。
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