こうやって書いてみると、5、6年の頃の思い出はトータルで、前後がかなり不確定、あやふやな気がします。
5年生で覚えている事といえば、他の人には面白くないでしょうが、ポケット百科事典を買ってもらった事です。
がっかりだったでしょう。
昔からパズルやクイズ、何かを見たり聞いたり、本を読んだり絵や写真を鑑賞したり、
造形物や、自然の草木、空や海、山、石、貝殻、等々、何でも眺めたり作ったり、そういった事が大好きでした。
1、2年生頃にポケット図鑑を買ってもらい、よく暇暇に眺めていたものです。
ですから、百科事典の申込書が学校で配られた時には、とても欲しくなったものです。
早速、家で欲しいと訴えます。
もうポケット図鑑があるでしょうと言われましたが、
図鑑とは違うもっといろいろな事が出ている、知らない事が一杯載っている等々、せっせと訴えてみます。
読みたい、写真や絵が載っているから見たい。勉強も一生懸命やるから買って―
これは子供がおねだりする時の常套手段ですね
お父さんに聞いてから、と、これも母の常套句でした。
やったー!これは勝算があるかもしれないと思います。
何でも勉強にかぶせると、父は大抵お金を出してくれたのです。
夕方父の帰宅を待ちかねて、早速申込書を見せます。
父の傍らに寄った母が、図鑑がもうあるのに贅沢ばっかり言うのよと耳打ちするのが聞こえました。
2つも要らないからと。
これは、絶望視しないといけないかしらと、私は思います。
父に言わせると参考書も何でも、2つは要らない、1つを隅々まで眺めればよいというのです。
勉強は学校の授業だけで沢山、確り授業を聞きなさい。
質問があれば先生が喜んで教えてくれる。職員室に行きなさい。
勉強の出来ない者ほど先生は可愛がってくれるものだ。と、言っていました。
本当かしら?と、私はこの頃父のこの持論を疑問に思っていました。
馬鹿な生徒って先生にとってみると可愛いのかな?
と、不思議な気がしていました。
さて、夕飯後、父はじっくり眼鏡をかけて、申込書にある百科事典の説明を読んでいました。
私はそれをダメなのかなと半ば諦めて見守っていました。
私の視線を感じつつ、父は一息つくと、
「ま、いいじゃないか、高いけど。」
と言ってくれました。
予想外のこの嬉しい返事に、私はその晩有頂天になりました。
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