Jun日記(さと さとみの世界)

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傘の思い出2

2018-01-24 11:28:55 | 日記

 さて、1人になってみると、私は本当に連絡を取りたい相手のいない事に気付かされました。幼い頃からの幼馴染や友人、親戚等、沢山途絶えることなく周りにはいた筈なのに、この人という、思いを打ち明けて連絡を取る事が出来る相手が誰一人存在しない事に気付き、私は自分ながらに愕然としたものです。

 確かに、身に起こった出来事を話す相手は何人もいました。しかし通り一遍の話をしてしまうと、実際に私が受けた痛手を実感してくれる様な相手は皆無なのでした。年代的にも同年代は働き盛り、子育て中の年代でした。もし相手の事情構わず連絡を取っても、長期休暇を共にしてくれる友人は実質いなかったと思います。

 この様に社会的に孤独といえばそう言えたかもしれなかったこの時期、まだ文学会にも参加していなかった頃だったと思います、人との交流は皆無でした、社会的な繋がりが途絶えていた時期だったのです。

 人生の中での契機、挫折から来た停滞期と言えば、雨にあい、降り注がれながら桟橋の長い板の上を渡っている感覚に似ていました。その先に目的地がある事は分かりながら未だ未体験の場所である事。今いる場所が途中でありやはり初めての場所である事。そこに立ち竦むのでは無く進んで行く事、目的地に向かって。1歩1歩が初体験のこの過程をゆうるりと噛みしめるように進んでいる感覚、まさに自分の人生の中でその様な感覚を感じている時期でした。

 遊覧船から降り、降り出した雨。雨脚が激しくなっていく中で、私は待ちかねたように荷物から折りたたみ傘を取り出しました。降りしきる熱帯雨林気候の通り雨だと知っている中で、私は機を逃すまいとポンと傘を咲かせ、嬉し気にその模様の風情を愉しんでいました。1人旅の気楽さ、その興趣のみを味わおうとしてしていたのです。


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