父は呆れたような顔をして私を見詰めた。そんな大人の本を読もうだなんて、しかも普通の、小説等…、お前に言っても分からないな、の話が書かれた様な本じゃない物を、
「お前よい度胸だな。」
フンと言う様な鼻息と、気に入らないという感情を滲ませた顎を出しての父の言葉だった。
おやっと、私は父の様子を窺った。どうやら父のご機嫌を損ねた様だと感じた。そうなのだ、私は何故かそうとは知らずに、思い掛けず父のご機嫌を損ねてしまう事が多い様なのだ。今日の私の、今迄発した言葉の中に、どんな問題が有っただろうか?。私は父の方から、机の方向へ向きを変えて考え始めた。
…聞いているのか?。父の声に、うんと、私は我に帰返った。ああ、ウンと私は彼に曖昧に答えて、チロリと横目で彼の方を見てみる。ふん、あいつみたいにと父は言った。
「お前お母さんに、」
このお母さんはお前の母親だが、あれに似て来たな。そう父は言って、嘲笑を含んだ様な口にこもった笑い声を漏らした。
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