Jun日記(さと さとみの世界)

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マルのじれんま 47

2020-06-15 11:48:29 | 日記
 しんみりとお互いの話をしながら、何時しか紫苑さんの方がマルの話の聞き役に回っていました。

「そうですか、奥様がね。」

紫苑さんは円萬さんが結婚していた事を初めて聞いたのでした。

『彼にそんな過去があったとは。死に別れと生き別れ、生死の差はあっても共に妻との別れが有った事に違いは無い。』

こう紫苑さんも思うと、彼は親身になってマルの話に耳を傾けるのでした。

 「また奥様にお目にかかりたいとは思われないのですか?。」

あなたも大層な愛妻家だった様子ですが。紫苑さんはマルに問い掛けました。私と違って、あなたは彼女に合う機会を設けることが出来るでしょう。こう語る紫苑さんの顔を見詰め、寂しげに微笑んだマルは首を振りました。

「いや、」

いや、またあの当時の感情や夫婦2人の状態に陥りそうな気がして…。マルは静かに言葉を続けました。何だか彼女との仲は燃え尽きた感じがしています。そう言うと、マルは心底疲れた感じになりました。

「当時を思うと、綿のような心地がします。」

彼は言葉を切りました。紫苑さんはそんなマルの横顔を優しそうな面差しで眺め、言葉を掛けました。

「それでも、愛する人に出会えて幸福ですよ。」

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