空しいというのはこう言った状態の事を言うのかと、蛍さんは納得しました。彼女は父の呟いた言葉が今実感として自分には分かったと思ったのです。
「ホーちゃん。」
自分を呼ぶ声が聞こえました。蛍さんはあれ?っと思います。今家には1人なのですから、誰も自分を呼ぶ人などいるはずがないと思うのです。それで彼女は黙っていました。家には自分1人なのだ、しゃがみ込むと彼女はポツンとして孤独を噛みしめてみるのでした。
「ホーちゃん。」
おやっと彼女は思いました。どうやら声は茜さんの声に似ています。彼女は耳を澄ませてみました。「ホーちゃん、いないの?」声は段々自分に近付いてくるようです。ここまで来ると彼女にも従姉妹の茜さんが家にやって来たのだという事が分かりました。『茜ちゃんだ、如何したんだろう。』自分の事をお寺に1人置いて、用があるからと言って帰って行ったのに、蛍さんは不思議に思いました。
「ホーちゃん、…何だ、居たんだ。」
入口から顔を出した茜さんがほっとしたように言いました。「返事をしないから、いないのかと思った。」と言う茜さんです。
「如何したの?茜ちゃん、用があったんでしょう。」
蛍さんが少々咎める様な声でいうと、茜さんはドキンとしましたが、うん、用はあったんだけど、と、もう済んだから等と言ってから、「それより、ホーちゃん、家に一人で寂しいでしょう、お祖母ちゃんとお祖父ちゃんが心配してたわよ。」そう言って自分が何故此処へやって来たのかという理由を蛍さんに説明するのでした。
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