見終って「重たい」、の気持ちを抱きながら場内が明るくなるのまで座り続
けていました、隣席の妻も動かずにいます。 サスペンス巨編という紹介もあ
りますがこの重さは人生のサスペンス性によるのかも知れません。
舞台になった北海道・礼文島、利尻島の雪と夏の野の風景のコンストラスト
も人生の明と暗、優しさと厳しさを象徴していました。 そして離島とはいえ荒
れる冬の海の底に島の根は繋がり、大地の鼓動と風雪は島の表象を形作っ
ています。一人の男にしろ女にしろ人間も自然物の造形物として明暗と優しさ
厳しさを持たざるを得ない、ということを知らせてくれる映像でした。
それを吉永小百合が一身で描きだしてくれるのですから、終わってもしばら
くは動けなくなるのも当然です。