元禄七年九月二十八日(1694年11月15日)、芭蕉がこの句
【秋深き隣は何をする人ぞ】
を詠んだと、加藤氏の 『昭和史歳時記』は記し、続けて「翌二十九日から、
かれは病床について、二度と起てなかった。十月八日、「病中吟」と題して、
旅に病で夢は枯野をかけ廻る
の句を弟子に書きとらせた。」と記しています。
病のなかにありながら己の姿を夢として、枯野を駆けさせる力は俳諧
という一筋への執念にあると思えます。 その執念の身をその場に封じ
大往生を遂げたのは十月十二日でした。
今年も喪中挨拶が届く時期となりました。
森光子さんの訃報が飛び込んできたのは昨夜、ふり返って今年年輪
を刻んだ俳優の相次ぐ旅立ちを今日の「赤旗」の潮流欄が書いています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/html/column.html#fragment-2
大滝秀治、山田五十鈴、津島恵子、淡島千景、三崎千恵子、二谷英明、
馬渕晴子、地井武男…。
観る者に夢を与えつつ己の夢をこよ世という野に駆けさせた人びとです。