元日を大正月と呼ぶのに対し、十五日を中心とする正月行事を「小正月」
といいます。昔、日本では一年の最初の満月(旧暦一月十五日)を一年の始
めとしていた名残とされ、小豆がゆを食べるなど家庭的な正月行事や「どん
と焼き」などが行われます。
上の「小正月」解説は「天地明察」日めくりカレンダーの今日・十五日に記載
されているものです。せっかくの日めくりですから偶には登場させたいと思いま
す。 そういう訳で正月気分などまったく無くなっているかと思いますが、お付き
合いのほどを……。
気分を清少納言の時代に移ってもらいます。
「枕草子」の(正月)七日からはじまる第二段、
十五日(とをかあまりのいつか)、節供(せく)参り据ゑ、粥の木ひき隠して、
家の御達、女房などのうかがふを、打たれじと用意して、(あと略)
この部分の現代訳
十五日、小豆粥の祝い膳をお出しした後、粥を炊いた薪をちょっと隠して、
女房たちが(互いにお尻を打とうと)すきをねらっているのを、打たれまいと
用心して、(あと略)
小正月を女正月ともいい、大正月が上層の儀礼的性格をもっていたのに
対して家庭的な平安貴族の家でも無礼講で、粥を煮る薪を削った「粥の木」
で女の尻を打つと、男の児を懐妊するという俗信があって、その様が書かれ
ています。