昨日の訃報を知らせてくれた友人の話では、亡くなった彼は前日まで見舞
いに来た者と話をしていたそうで、どういう状況だったか分からない面もある
のですが、最後まで意識がはっきりしていたことは確かでしょう。
なぜか、武田鉄矢の「金八先生」 のテーマ曲のひとつが思い出されました。
「スタートライン」 という曲です。そのなかの一部
♪♪ 今、私達に大切なものは
恋や夢を語りあう事じゃなく
一人ぼっちになる為のスタートライン
♪♪ 今、私達に必要のものは
光り溢れる明るい場所じゃなく
闇に向かって走り出す為のスタートライン
とも歌われます。
子供から大人へ自立の時期、意識して孤独を求め 「旅たち」 をします。
その孤独の過程は 「自分らしさづくり」 と言っていいでしょう。
一方高齢者の迎える孤独はどういうものでしょう。
昨夜のNHKスペシャリ 「 “助けて” と言えない孤立する認知症高齢者」
に見られた孤独は、意識できない孤独状態、という様に感じました。確か
に 「認知」に障害が生じるとは、「自分らしさ」への認識を巡っての問題
だと思います。
こんな「名言」がアプリで届きました。小説家のスタンダールの言葉だ
そうです。 「最も賢明なことは、自分を自分自身の打ち明け相手にするこ
とだ。」
この名言に即して思えば、亡くなった彼は最後まで自分を相手に晒し、
相手を通じて自分を認識し続けたと思えます。 ひとり死の向かう孤独
を超えていたのではないでしょうか。 もっとも賢明な最後だった、と感
じています。