「本のひと言」というより「TVのひと言」になるかも知れませんが、TVドラマ
の原作が「清張もの」ですから「本」にしました。
最近めっきりTVを見なくなりました。定番の朝ドラの「ごちそうさん」にその
前のBS「ちりとてちん」と夜7時「ちゅらさん」はしっかり見ていますが、あとは
新しい「黒田官兵衛」の第1回だけ、いや先日NHKの「超常現象」の第1日目、
面白く全部見てしまいました、特に「生まれ変わり」は注目しました。
さて、見逃せないというのはNHKではなく、テレビ朝日の18日、19日 2夜
連続「開局55周年記念」番組、戦後未解決事件を題材とした松本清張作品。
第1夜「三億円事件」 TV番組としての紹介は
ここで、 http://www.tv-asahi.co.jp/sanokuen/
清張の作品としては新潮文庫の短編集 『水の肌』 におさめられています。
文庫の「解説」に次のように書かれています。
≪~ そして、初歩段階の捜査の中に、空白地帯のあることを指摘し、その見
落としの理由をもさぐっている。
作中にあるつぎの部分――
「事件が起こってから満7年*に近づき、これまで投入した捜査人員は延べ
約12万人(最終発表では延べ17万1520人)、捜査費用は被害額の三億円
の3倍にも達しているというのに、これはおどろくべき初歩的な手落ちであった。
日本の警察は世界一捜査能力にすぐれているとの定評であるが、しかし、ある
いは有能者にしばしばみられる精神的空隙かもしれないと思った」
というやや皮肉な言葉は、この事件捜査に関する作者の批判だともいえる。
作者は事件の経過を再検討し、自殺した青年と、その周辺の人々に光をあて
ている。現実に迷宮入りのまま、一応捜査本部は解散され、その後あらたな情
報にも接しない現在、松本清張の推理も小説として読むほかないが、この作品
は三億円事件の影の部分を私たちにおしえてくれる。≫
* 『小説 三億円事件』は「週刊朝日」に昭和50年12月に掲載されました。
この「解説」は文芸評論家の尾崎秀樹(ほつき)によって、昭和57年に書かれた
もののうち該当作品に関する部分です。
第2夜「黒い福音」、については明日にします。