昨日は沖縄の名護市市長の話でした。今日はアメリカのニューヨーク市
の市長の話です。
昨年11月5日に行なわれたアメリカの地方選挙や住民投票で進歩派が
勝利、その象徴がニューヨーク市です。20年間続いた共和党市政を73%
対24%で終らせたビル・デブラシオ氏(52)は、民主党の候補者ではありま
すが、この党の活動家ではありませんでした。
同氏の政治活動は、二大政党とは離れたところで始まります。それは同
氏が98年に立ち上げた勤労家族党(WFP)、党という名がついているが
政党ではなく労組や地域の活動家の“連合”で、特定の指導者はいないと
のことです。
人口800万の同市は、所得格差が異様に拡大、1%の富裕層が所得の
39%を独占(1980年は12%)、上位5%世帯の年収が44万ドルに対し
底辺20%では9000ドル、約50分の1です。この格差解消を求めて起きた
のが、「ウォール街オキュバイ(占拠)」運動でした。
デブラシオ候補は、無料の保育園と学童保育の完備を掲げ、その財源と
して年収50万ドル以上の富裕層への増税で賄うとし 「平等な幼児教育の
実現」を政策のメーンにしました。
同氏の政治活動の母体になったWFPも、同時に行なわれた市議会(51人)
議員選で、21人の新人のうち半数を占め、WFPを含む進歩議員グループは
10から20人に倍増しました。
ボストンの市長選でも「経済平等を求めるミネソタ行動」を母体にした建設労組
の出身者が勝利。格差是正の一環として全国的な争点になった最低賃金引き
上げ運動で各地で住民投票にかけられニュージャージー州やワシントン州で
成功をおさめています。
『ネーション』誌は、財政均衡を口実に地方政治で吹き荒れていた福祉、教育
の削減や公務員や労組への攻撃に対する「国民の反撃が始まった。労組攻撃
をはねかえし、富裕層への負担増で克服せよとのメッセイージが勝利した」と総
括、「政策転換が可能」であることを示したことで連邦政治に影響を与える、と評
価しています。
以上、雑誌「経済」の2月号の「アメリカ地方政治の胎動」によるものです。
さて、日本では、自民党の党大会で石破幹事長が「(来年の)統一選挙に勝利
する。もって政権奪還は完成する」と地道な党活動をすすめるよう訴えています。
日本共産党の大会では志位委員長が「(参議院選で切り開いた)“第3の躍進”
を本格的な流れにしていくうえで、私たちが直面する最初の関門」と結語で述
べました。
暮らしに密着し最も身近な政治の場である「地方自治」、それは政党・議員の
関心事だけでなく何よりも「よりよく生きたい」と願う私たちの関心事であり、自
分たちの手で変える政治の舞台ではないでしょうか。
名護市の市民やアメリカ各地の市民のように。