季語の寝正月を誤解していました。病気で寝込んで過ごす正月だ、
と思っていたのですが 「元日、家に籠って寝ることを寝正月という。 病
気で寝ていることも、縁起をかついでそのようにいう」 (歳時記)話でし
た。
ということは77回の正月の内寝込んで過ごした記憶は二度ほどで、
あとはかなり真面目に淑気を身にまとい何やらそれらしく過ごして来た
ことになります。
折角誤解を解いたので、寝正月を詠んだ句を書き出しておきます。
定年後の日常を毎日日曜日といいますが、毎年寝正月という過ごし
方もあるのだと心得ておきましょう。
霞む日も寝正月かよ山の家 /一茶
人々のなさけを謝して寝正月 /富安風生
次の間に妻の客あり寝正月 /日野草城
窓際にゴムの木のある寝正月 /梅本豹太
三猿を決め込みゐたる寝正月 /佐藤洋子
旅行書の南海青し寝正月 /大島民郎
寝正月なれど天地(あめつち)広くゐる /森澄雄
大杉に風の音きく寝正月 /時広智里
それにしても、寝たきりの人々にとってまさに毎年寝正月な
なのです。
常臥しの身なれど今日は寝正月 /堀米秋良
以前清掃の仕事で行っていた高齢者施設で、この時期枕
元に「伺いたいけれど…、お互いに…」と書かれた賀状を見たことを
思い出します。
常臥の人々の多様な寝正月を明るさを差し込む日につなげてい
きましょう。 4月は一斉地方選挙でもあります。