忙しすぎる。フォルトゥーニに行く前に、目を惹かれた作品の感想を書こうと思っていたのだが、諸般の事情でこのままフォルトゥーニについて書こうと思う。時間的余裕ができたら、ヤン・ブリューゲル《花卉》の瑞々しい描写についてだとか、パルマ公の嫁姑肖像画とか、色々書きたいなぁ。
さて、めちゃくちゃ嬉しかったフォルトゥーニ作品3点!♪ カタルーニャの誇るマリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサルなのだヽ(^o^)丿。今回来日したのは《日本式広間にいる画家の子供たち》《ポルティチの浜辺のヌード》《フォルトゥーニ邸の庭》、いずれも見応えのある作品だ。
《日本式広間にいる画家の子供たち》は未完成とのことだが、それでもなお、乾いた光が画面を満たし、人形やらお面やら扇子やらの小道具が、子供たちのあどけない遊びの様子を愛らしく彩っている。当時のジャポニスムのおかげでこのような日本風の装飾のあるサロンが作られていたのだろうなぁと、日本人的にはなんだかこそばゆくもある(^^;。国立西洋美術館「プラド美術館展」にも来ていた作品でもあり、ご記憶の方もいらっしゃるだろう。
マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル《日本式広間にいる画家の子供たち》(1874年)プラド美術館
ちなみに、フォルトゥーニはマッキアイオーリと繋がりがあるらしいが、この荒削りのままの作品からもそこはかとなく推察されてしまった。植え込みの緑、男の子の青、女の子の赤、そして乾いた陽射しの中に白が眩しい。
で、今回のハイライトはこの《ポルティチの浜辺のヌード》だった!! 私的に画像では知っていたが、残念ながらプラドで観た記憶がなかった。なので、実物を観るのがとても楽しみで、来るとわかった時は本当にヽ(^o^)丿してしまった(笑)。
マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル《ポルティチの浜辺のヌード》(1874年)プラド美術館
まず驚いたのは、こんなに小さな作品だったのか!...と。そして、あまりにも見事なヌードに目が釘付け!! 画面から彫り出したかのように立体的に浮き上がる描写力!!!
ナポリ近郊ポルティチの浜辺、強い日射しの中で砂浜に俯き伏せる女性のまろやかな曲線が白く浮き上がる。砂浜は濃灰色を基調に色を重ね、濃青が彼女の艶めいた白い素肌をより強調するのだ。それに、彼女の臀部がすっごく魅力的なのよねぇ~。さらに、彼女の足裏の連呼するような砂地の白!あのね、フォルトゥーニの白って乾いた太陽の強烈な光なのだと思う。
この小さな絵には、美しく魅力的な女性のヌードとともに、熱く眩しいポルティチの日差しまでが画面に凝縮されているのだ! まさにこの魅力的な作品は「小さな大作」なのだと思うのだ!
《フォルトゥーニ邸の庭》は未完の作品をライムンド・マドラーソ(妻の弟だったと記憶する)が完成させたらしい。画像が見つけられないので、おぼろになった記憶をたどると、緑の印象的な植え込みと砂利道の小石の描写が印象的で、確かフォルトゥーニは妻の姿を岳父のフェデリコ・デ・マドラーソのために描いたとか。あの子供たちの絵もマドラーソのためだったはずで、マリアノ・ファオルトゥーニにとっては大きな存在だったはずだ。
時間が無いので急ぎフォルトゥーニまで飛ばしてしまったが、とにかく、今回の展覧会は「ヒエロニムス・ボスからフォルトゥーニまで」という副題でも良かったような気がするくらい私的にはとても新鮮で楽しい展覧会だった。