花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

CARAVAGGIO:The Final Years 展 (8)

2005-05-09 00:20:25 | 展覧会
<第4室> ― シチリア ―
「羊飼いの礼拝」(1609)      シチリア州立メッシーナ美術館 (メッシーナ)
http://www.wga.hu/html/c/caravagg/11/67sheph.html

シチリア時代の作品のなかで「羊飼いの礼拝」が一番心を打つ。安らかな面持ちの聖母に抱かれた幼子の愛らしさ、羊飼いに紹介するヨセフの誇らしさ。羊飼いたちの貧しくとも真摯な佇まい。粗末な馬小屋の中に何やら心温まるものを感じるのだ。特に、手を合わせる羊飼いの剥き出しの肩や足に、「ロレートの聖母」に通じる貧者の祈りを見る。しかし、このひねったようなポーズはかなり不自然だとは思うのだが…(^^;
構図を見ると、画面右上から斜めに人物を配置し幼子イエスへと視線が収束され、どことなく「キリストの埋葬」の嘆く人物の構図が想起される。キリストの生誕と死が画家のイメージの中で重なり合ったのだろうか?

メッシーナで観た時は暗闇に目を凝らしながらもCARAVAGGIOの筆致を追った。大きな絵であるから、ちょうど目の前の前馬小屋に敷いてある干草だけは良く観察できた。擦れたような奔放な筆使いで、まるで草を撒き散らしているかのようだった。
今度のナポリ展及びロンドン展で、初めて明るい中(と言っても比較してだが)で詳細にみることができ改めて気がついたことも多い。まず、聖母の衣装のビロードのような光沢…これはロンドン展のスポットライトが効果的だったのかも知れない。そして、左下方に置いてある籠の中のパンや大工道具の写実描写だ。CARAVAGGIOとしては久々の静物画的描写をしている。この絵の注文主であるフランチェスコ派カプチン会からかなりの額の代金を受け取ったようだから当然かなぁ…とも思った(^^;;

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