「メトロポリタン美術館展」関連、二つのテレビ番組を見た。
①新美の巨人たち「カラヴァッジョ『音楽家たち』」
https://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/index.html?trgt=20220430
カラヴァッジョや《音楽家たち》が集っていたデル・モンテ枢機卿のマダマ館に注目は良かったけど、結局、相も変わらずカラヴァッジョ犯科帳になってしまったのは芸が無いよね。解説に宮下規久朗先生登場で、番組は「聖マタイは金を数える若者」とさり気にナレーション。
私的に嬉しかったのは宮下先生の研究室(一部)を覗けたこと。背景の本棚にはカラヴァッジョ本多数の他にルーベンスやルカ・シニョレッリがあって、チラッと目に飛び込んで来たのはハスケル(Francis Haskell)『Patrons and Painters』やズッカリ(Alessandro Zuccari)『Icaravaggeschi』。
②新日曜美術館「まなざしのヒント メトロポリタン美術館展」
https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/episode/te/9N1X66YRYX/
解説講師に美術史の三浦篤先生とジョジョの荒木飛呂彦先生という研究者視点と描く側視点の組み合わせが良かった。荒木先生の指摘がなるほどで面白かった。番組では《聖母子》四作品と《パリスの審判》(&ヌード)そして《女占い師》をピックアップして解説したが、カラヴァッジョ・スルーでも私的に異議は無し(笑)。
画面にカラヴァッジョ《音楽家たち》が映っているのにスルー出来るって、ある意味、もの凄く贅沢なことだと思う。やはり、今回の展覧会はラ・トゥール《女占い師》が主役だと思うし、もちろん、三浦先生だったらフランス絵画を選ぶのは至極当然だと思うしね。
このMet展について取り扱ったテレビ番組として、私が視聴・録画した範囲では、
1/8の新日曜美術館 新春SPで、今回と同じ漫画家の荒木氏が出演して解説
3/22と29の2週連続でBS日テレのぶらぶら美術博物館で作品紹介
4/15のTOKYO MXテレビの わたしの芸術劇場で作品紹介
以上3件がありましたが、ぶら美とMXテレビは国立新美の同じ学芸員の方が出演して、出品作を紹介するという通常の展覧会紹介番組の形でした。
今回の新日曜美術館では、紹介する作品を絞ったこと、解説者も立場の違う人2名を選んだこと、ゲストたちにも考えさせたことが、他の類似番組と違って面白い内容になった理由だと思います。どの作品を選ぶかにもよりますが、今後もこういった番組作りを望みます(どの番組でも似たりよったりでは面白くないので)。また、荒木氏の解説ではヤマザキマリさんのことを思い出しました。同じ漫画家であり、絵を描く立場からの説明には共通点を感じました。それから、ゲストのテレビタレント、鈴木福くんがクリヴェッリの絵について、後ろの垂れ幕の折り目に十字架を見つけた点については感心しました(自分も気がつかなかったことです)。
>他の類似番組と違って面白い内容
本当におっしゃる通りで、今回の番組は勉強にもなったし、ゲストと一緒に楽しめました。
で、鈴木福君の垂れ幕折り目十字は、おおっ!でしたね(^^)。先生のレクチャーですぐ発見と言うのは、若者の「まなざし」の柔軟さなのだろうなぁと、私も感心しましたです。