坪内祐三さんが書いた「解説」が読みたくて、福田恒存「人間・この劇的なるもの」(新潮文庫)を購入。
お目当ての解説もさることながら、こういう本が、現在も入手できることが嬉しい。
しかも税込380円である。
マクドナルドの期間限定「オージーデリ」だって490円だ。
えらいぞ、新潮文庫(笑)。
古典を280円で出したハルキ文庫もあるが、最近の文庫本は全体的に結構な値段だ。
ちょっとしたものでも500~600円以上したりする。
現在の若い人たちが、どれくらい福田恒存を知っていたり、読んでいるのかは不明だが、とにかく福田恒存を400円以下で読めるのはシアワセだ。
キーワードは「劇的な人間存在」。
人間をめぐる様々な場面で語られる「個性」も、実は自分が演じたい「役割」のことだったりするという、極めて刺激的な論考です。
「個性」は「役割」。
「自由」は「逃避」。
やはり鋭い(笑)。
今日におけるほど、自由という言葉が、安易に用いられている時代はない。現在では自由とはたんに逃避というほどの意味に用いられているにすぎぬようだ。それは私たちにとってもろもろの「いやなこと」からの逃避を意味する。労働、奉仕、義務、約束、規則、伝統、家族、他人、等々からの逃避。それを私たちは自由と呼んでいる。
――福田恒存「人間・この劇的なるもの」