碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

NHK会長人事のこと

2013年12月22日 | テレビ・ラジオ・メディア

NHKの次期会長が決まりましたね。

日本ユニシス特別顧問の籾井勝人氏。

最初に名前を聞いた時は、「え、誰ですか?」と思いました。

毎日新聞は、甘利明経済財政担当相が擁立に関わっていたと報じています。

そうでなくても、先に決まった新たな経営委員も含め、やはり官邸から“送り込まれた感”は否めません。

経営委員会に先立って開かれた会長指名部会で、「公平・公正、不偏不党の精神に常にたち、ぶれない姿勢で臨みたい」とおっしゃったそうです。

「公平・公正」や「不偏不党」も、どの立ち位置から見るかで変わってきます。

就任後、どのような動きを見せるのか。


<NHK会長人事>
甘利経財相ら動く…籾井氏と旧知の仲

NHKの次期会長人事は、先の臨時国会で同意を得た新任の経営委員4人が安倍晋三首相に近い人選だったことから、政権との距離が注目された。首相官邸は経営委員会の選考過程を静観する姿勢を通したが、水面下では甘利明経済財政担当相らが、松本正之会長(69)の後任に選ばれた、日本ユニシス特別顧問の籾井勝人(もみい・かつと)氏(70)の擁立に関わっていたことが明らかになった。

政府関係者によると、籾井氏と甘利氏は故・竹下登元首相が発足させた政治家と財界人の交流会を通じて旧知の間柄。「だから今回名前が挙がり、就任をお願いした」と明かす。政府は表向き「(次期会長は)経営委員会で議論し、決定する」(菅義偉官房長官)と建前論を繰り返しつつ、NHKとのパイプの確保に動いていたことになる。経営委員の一人、石原進JR九州会長も官邸サイドの意向を踏まえ、同じ福岡県出身の籾井氏を推したとされる。

松本氏を巡っては今年春ごろから、「放送内容が偏向している」と財界などに交代論が浮上。政府は10月、経営委員5人の国会同意人事案を衆参両院に提出したが、このうち新任4人は首相とつながりがある人物。会長決定には委員12人中9人以上の賛成が必要なことから、関係者は「松本氏の再任を阻止する政権のシグナル」と受け止めた。松本氏は今月5日の記者会見で今期限りでの退任を突然表明した。

自民党の「領土に関する特命委員会」(額賀福志郎委員長)が18日、政府の主張をNHKの国際放送で戦略的に発信することを盛り込んだ要望書を首相に提出するなど、政権のNHKへの風当たりは強い。菅氏は20日の記者会見で「公共放送の使命をしっかり踏まえ、国民から『なるほどな』と思われるようなNHKになってほしい」と述べ、報道姿勢を巡って経済界や自民党に不満が根強い現体制を暗に批判した。

NHK内からも籾井氏のトップ就任で政権寄りの姿勢が強まることを危ぶむ声が出ている。ある職員は「政権の意向を感じる人事だ。新会長は経営だけではなく、ジャーナリズムや文化の価値を尊重してくれるのか今後が心配だ」と話した。

 ◇受信料見直し明言

籾井氏は選出後の記者会見で、インターネットサービス強化のため、受信料制度の見直しが必要との認識を示した。

籾井氏は、テレビに限定した現行の受信料制度について「とっくに変えていなければいけない」と明言。放送と同時に番組をネットに配信するサービスを前提に「いい番組を作るには誰かにお金を払ってもらわなければいけない。場合によっては、国民全員に払ってもらいたい」と述べ、受信料の義務化も含め検討する考えを示した。【土屋渓、有田浩子、木下訓明】

(毎日新聞 2013.12.21)


「ゼロ・グラビティ」3D版の新感覚

2013年12月22日 | 映画・ビデオ・映像

行ってきました、宇宙へ。

いや、映画館へ。

などと、つまらん前ふりをしている場合じゃない。

アルフォンソ・キュアロン監督作品「ゼロ・グラビティ」であります。

地表から600キロメートルも離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。すると、スペースシャトルが大破するという想定外の事故が発生し、二人は一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出される。地球に戻る交通手段であったスペースシャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼らは懸命に生還する方法を探っていく。

いやあ、「本当の宇宙ってこんなもんじゃないよ」と言う人もいるでしょうが、映画館で、宇宙を(少しですが)体感した気分。

これはもう、内容とか評価とかの前に、「ぜひ映画館へ足を運んでみてくださいな」と言ったほうがいいかもしれません。

そして、必ず「3D版」をご覧ください、と。

いわゆる「映画体験」に留まらない、「おおっと!」という、未知の感覚を味わえると思います。

ストーリーとしては、「まあ、そうなるよなあ」ではありますが(笑)、密室劇のような独特の緊張感は、なかなかのものでした。

これはもう一種のアトラクションであり、1800円プラスアルファの価値は十分あります。