今期ドラマは人気漫画の実写化が話題を集めていた。
その一つが、映画化で大ヒットした「デスノート」(日本テレビ系・日曜22時30分)。顔を知る人間の名前を書けば、その相手を死に至らしめる「デスノート」をめぐり、大学生の夜神月(やがみライト)と名探偵Lの対決を軸にしたサスペンスもので、初回は16.9%と好発進が、3話目は8%台にまで失速。
ドラマライターの田幸和歌子氏は、L役の山崎賢人が残念だという。
「映画版で松山ケンイチが演じたLのインパクトが強烈だっただけに、山崎さんの演技が薄っペラに見えてしまう。今時ビジュアル系だって、あんなチープなメイクはしないです」
酷評は相次ぐものの、主演の窪田正孝がフルーツサンドを差し入れて、現場は和気あいあいとしているという。
「期待は薄かったのですが、“デスノート”を偶然手にしたことで、凡人だった月が翻弄され、殺人鬼になっていく心理描写が丁寧に描けている。窪田さんの演技力は圧巻です」(田幸氏)
一方、原作から16年後という大胆なアレンジをしたのは松山ケンイチ主演の「ど根性ガエル」(日本テレビ系・土曜21時)。30歳になり母親に寄生するニートのひろしが、Tシャツに貼りついた平面ガエル・ピョン吉に支えられて立ち直る姿を描く人情劇だ。
「ひろしがニートになった理由など、現代人が抱える闇を描きながらも笑いに包んでいて人間ドラマとして楽しめる。さすがヒューマンモノに定評のある岡田惠和氏の脚本です」(TVコラムニストの桧山珠美氏)
高い評価もあるが、往年のファンは怒り心頭だと上智大学の碓井広義教授(メディア論)は言う。
「ニートになったひろしやバツイチでグレた京子ちゃんなんて見たくない。どうして今ドラマ化して、原作の世界観を壊してしまうのか。ピョン吉の声を演じる満島ひかりの熱演が光りますが、ストーリーが大事なドラマでCGと声が注目されるのでは本末転倒です」
初回は13.1%を記録したものの、2話目で8.5%に急降下している。
「最近は視聴者の目が肥え、ドラマの良しあしの判断が早い。1話目で引き込んで2話目で横ばい以上の視聴率をとらないと、右肩下がりになってしまう傾向があるのです」(ドラマ制作関係者)
(週刊朝日 2015年8月7日号より抜粋)