私は原作の愛読者ではないし、アニメ版の熱心な視聴者でもありません。
こうした内容の漫画やアニメが、なぜ多くの人の支持を受けているのか。
それは何かしら時代や社会と関係があるのか。
といったことに関心を持ちつつも、劇場に足を運んだ最大の理由は、樋口真嗣監督作品だから、かもしれません。
樋口監督が、何を、どう描くのかが、興味の焦点でした。
見終わって、最初に浮かんだ言葉は、「壮大にして空虚なグロテスク」です。
ポスターのキービジュアルになっている筋肉系の巨人ではなく、目の前をのしのし歩き、むしゃむしゃと人間を食べるのは、ぶよぶよした、人間に近い姿のヒト型巨人(勝手な命名ですが)でした。
「うーん、これが見せたかったのかなあ」と思わせるほど、これでもか、これでもかと続く補食シーン。
途中で、やや飽きてきました。
戦士たちをめぐる物語も何だか空回りで、登場人物の誰かに共感したり、思い入れたりすることが難しくて。
中途半端な形で描かれる恋愛風場面も、挿入されるエロ風場面も、いずれも「風」なままで、どうにも気恥ずかしく。
そうなると、見せてもらったのは、壮大にして空虚なグロテスクではないかと。
もちろん、「壮大にして空虚なグロテスク」を、映画の形で創造することも、なかなか大変なことではあるのですが。
そもそも、「元々、壮大にして空虚なグロテスクを狙った作品でなんですよ」と言われたら、「あ、そうですか。ならば、見事な出来栄えです」としか返せないし。
しかし、正直言って、樋口真嗣監督作品じゃなかったら、途中で出てきちゃったかもしれません。
極論かもしれませんが、本編と特撮を、別々の監督が担当する手もあったのではないでしょうか。
平成「ガメラ」シリーズでの、金子修介監督と樋口真嗣監督みたいに。
まあ、夢想ですけど。
続編を劇場に見に行くかどうかは、今のところ未定です。