ままならぬ日々、リアルに軽妙に
フジ系「大豆田とわ子と三人の元夫」
放送中の連続ドラマ「大豆田(おおまめだ)とわ子と三人の元夫」(フジ系、火曜夜9時)が15日に最終回を迎える。脚本は、「最高の離婚」「カルテット」などを手がけた坂元裕二さんによるオリジナルで、ドラマ好きや音楽好きをうならせている。その魅力、世界観とは。
■つながり感じる脚本
3回離婚した住宅建設会社社長の大豆田とわ子(松たか子)が、3人の元夫(松田龍平、角田晃広、岡田将生)に振り回される一方で、親友のかごめ(市川実日子)の死に直面。その1年後には、会社を買収された外資系ファンド勤務の男(オダギリジョー)と出会う。今後のとわ子や彼らの関係が注目される。
「コロナ禍で他者との断絶が起こり、生きづらさが増した。そんな中で坂元さんのドラマが見たいと思った」。制作する関西テレビの佐野亜裕美プロデューサーはそう語る。
「カルテット」で坂元さんとタッグを組んだ佐野さんは、知人が急死したり、コロナ禍で家族と面会できずに死んでしまう人のニュースを見たりした。一方で、数カ月に1回しかいかないお店なのに自分のことを覚えてくれていたことも思い浮かんだ。「1人で生きているようで、色んなつながりの中で生きている。そのことが感じられるドラマになれば」
全10話で、8話までの関東地区の世帯視聴率は5・5~7・6%(ビデオリサーチ調べ)と高いとはいえない。だが、週ごとの「ドラマ満足度ランキング」(ORICON NEWS調べ)では、1位を獲得するなど熱烈なファンはいるようだ。
とわ子やレストランのオーナー、カメラマン、弁護士という元夫たちのキャラクターにもそれぞれ癖がある。メディア文化評論家の碓井広義さんは「他人からどう見られるか気にしていない、はみ出した人たち。そこにセリフ劇の要素も相まってわかりやすくはない。だから敬遠する人と面白がる人で温度差があるのでは」とみる。
「男女が恋愛をし、結婚して家庭を築く」といった固定観念に縛られない関係性を描いている、とも。例えば、かごめの「女と男の関係がめんどくさいの。私の人生にはいらないの」というセリフ。「1人でいることは孤独ではないし、孤独は悪ではない。男と女の関係も同性同士の関係性も決まった正解などないと示唆している」
ライターの西森路代さんは、努力や意思に反した「ままならない出来事」の描き方が秀逸だと語る。「『ままならないこと』に対しての向き合い方は、ドラマでは明確に示されないかもしれない。だけど、私たちは作品を通じて、その時が訪れることを想像し、心の準備をすることができる」【弓長理佳、宮田裕介】
(朝日新聞 2021.06.08)