碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

全国広報コンクール「映像」部門の審査結果と講評

2015年06月21日 | メディアでのコメント・論評



全国広報コンクールの審査結果が、月刊「広報」に掲載されました。

今年も、日本演劇協会理事の嶋田親一先生と共に、「映像」部門の審査委員を務めさせていただきました。

受賞作について書いた講評は、以下の通りです。

受賞した自治体の皆さん、おめでとうございます!


平成27年全国広報コンクール「映像」部門

<審査を終えて>
新たな技術を導入した、広報映像の新たな展開

近年、広報映像の発信方法が多様化している。番組やビデオの形だけでなく、ネットの活用が当たり前になってきた。そして今年、さらに新たな技術の応用が加わった。拡張現実、いわゆるAR(Augmented Reality)技術だ。

すでに馴染みのある仮想現実、ヴァーチャル・リアリティ(VR)は、コンピュータによる五感への働きかけによって、人工的な現実感をつくり出す。

一方、拡張現実(AR)は、現実のコンテンツに、現実にはない情報を付加することでインパクトを与える。いわば現実の一部を改変するわけで、具体的には目の前にある現実空間に、デジタル情報を重ね合わせて表示するのだ。

今年入選した埼玉県三芳町の例では、広報誌の写真や絵に、スマホやタブレット端末をかざすと、映像と音声が流れてくる。しかも、AR技術を活用したその映像は、動画による「手話講座」だ。

また同町では、「広報みよし」の印刷以外、つまり動画撮影や編集をはじめARにかかわるすべての作業(取材、写真撮影、デザインレイアウトなど)を、外部委託ではなく、職員が行っている。それにより、AR導入費、運営費用は0円だという。

もちろん、他の市町村がそのまま踏襲することは出来ないかもしれない。だが、すでにこうした先進的な広報の取り組みが行われていることは、しっかりと認識しておきたい。


<受賞作講評>

■特選  
 新潟県燕市 「もっと!ギュッと! つばめっ子ニュース」


まず、「子ども版広報」というトライに好感が持てた。複数のチームが、広報の企画から取材、執筆、レイアウトまでを行う取り組みは、子どもたちが自分たちの暮らす地域をより知るために大変有効だ。またメディアリテラシー教育としても有意義である。しかも出来上がった広報が、いずれも素晴らしい。番組全体の完成度も高く、審査会では、「志」を感じさせる自主制作として高く評価された。

■入選1席  
 広島県東広島市 「ひとくふう発見伝 元就。東広島外伝~東広島、イマドキの教育事情」


最近、連続で選ばれている「ひとくふう発見伝」。キャラクターも上手に使いながら、楽しく、分かりやすく伝えようとする努力の成果だ。今回の「一校一和文化学習」に関しても、飽きさせない見せ方、構成を工夫している。教育は教室の中だけで行われるものではない。見事な組曲「西条」はもちろん、神楽の伝承といった地道な取り組みが、いかに重要なことかを痛感。番組には一本筋が通った迫力がある。

■入選2席  
 埼玉県三芳町 「日本手話で広げよう心の輪 ARで学ぶ 日本手話」


AR(Augmented Reality)という新たな技術を、他の地域に先駆けて広報に活用している。広報誌にスマートフォンをかざすことで動画がスタートするのだ。その動画が、「今月覚えてほしい日本手話」という企画である点も秀逸。紙媒体での図解などでは伝えきれないニュアンスも、動画なら、より分かりやすく伝えることができる。全体が軽快で明るく、楽しい映像であることも評価された。

■入選3席  
 北海道愛別町 「未来への約束~愛ある花火と君の椅子~」


「ハッピーボーン」という取り組みを1990年から続け、これまでに3000人の赤ちゃん誕生を祝ってきた愛別町。花火、地元の材料を使った「君の椅子」、お米などのプレゼントが微笑ましい。町があって人がいるのではなく、人がいてこそ町がある。だからこそ子供は“みんなの宝”であり、その意識を、あらためて共有するかのような内容だ。「開拓120周年」にふさわしい映像作品になっていた。

■入選  
 茨城県石岡市 「石岡めぐり」 


ユーチューブで見ることのできる、約2分半の作品だ。地元の四季を軸とした美しい映像、丁寧な編集、ナレーションなし、静かなBGMといった総合力で、短いながらも町の雰囲気が十分に伝わってくる。いわばプロモーションビデオとして、よく出来ていた。一方、短いだけに、見せたいものだけを並べている、イメージだけを植え付けようとしている、やや独善的ではないか、という指摘もあったことを明記しておく。

■入選  
 富山県立山町 「立山かんじき-雪山に息づく伝統の技-」


伝統の技としての「かんじき作り」を、実に丹念に見せていた。この作品自体が貴重な記録であり、伝統文化の継承として意義のある取り組みだ。また、ただ一人となった職人のことを思うと、広報側のこうした姿勢が、今こそ必要なものであると分かる。ただし、この内容で30分を超す長さは、見る側が途中でダレてしまう恐れがある。もう少し凝縮してもよかったのではないか。

■入選 
 京都府京丹波町 「家族の愛で はぐくむ命」


自主制作番組として、3年連続の入選となる。基本的に密着ドキュメンタリーというスタイルは今回も変わらない。ある“子育て家族”が描かれている。取材者と取材対象の距離感も適切だ。支援イベントに参加する様子や自宅での日常は、見る側が家族や命について考えるきっかけとなる。とはいえ終盤になると、やや冗長な印象は拭えない。30分の番組枠ということで仕方ないが、刈り込めば、もっと良い作品になる。

■入選 
 兵庫県西宮市 「まるごと市政「本ってすごい 本ってたのしい」~西宮市立図書館の取り組み~」


今、全国各地の公立図書館が注目されている。単に本を所蔵し、閲覧や貸し出しだけを行っていた時代とは異なり、オリジナルな取り組みが展開されているからだ。西宮市の出張ブックトークやビブリオバトルもその一つと言える。映像では、コント風の説明も入れるなどの工夫がなされ、望遠レンズを使ったインタビューも効果的。何より、見ていると、図書館に行きたくなることが最大の功績だ。

■入選 
 福岡県北九州市 「開け!キタキュウ人図鑑~創業75周年 小倉昭和館の3代目 樋口智巳さん」


「自分たちの地元に、こんな人がいるのか」という発見、再発見が楽しい番組だ。今回は、創業75周年を迎えた映画館の3代目となる女性館主。どんなことをしているのか。そしてどんな人なのか。人間像も鮮明で、人物ドキュメンタリーとして優れている。しかも、これが2分半の長さであることに驚く。映像も編集もしっかりしており、見ごたえがあった。短い作品ならではのインパクトがあり、自治体の姿も見えてくる。

(月刊「広報」 2015年6月号)


コメントした、アサヒ芸能「宮沢りえ」記事

2015年06月20日 | メディアでのコメント・論評



「ヨルタモリ」でバラエティ初レギュラーを務める宮沢りえが好評だ。下ネタも、愚痴も、軽妙に受け答える和服姿の四十路色香は、日曜夜の憂鬱な気持ちを癒やしてくれる。紆余曲折の人生から、開眼した新たな魅力。女優の枠にはおさまらない脱皮した「スター」の素顔が今、実名証言で明かされる。

昨年10月19日に放送が始まった「ヨルタモリ」(フジテレビ系)で女性MCを務める宮沢りえ(42)。女優一筋の宮沢がバラエティ初レギュラーに踏み切った理由をフジテレビ関係者が明かす。

「以前から、タモリさんと宮沢さんは都内の同じバーに行っています。遭遇すると、タモリさんが『今からじっと2分間、見つめていいですか?』と冗談を言うほどの仲です。企画段階で、タモリさんがラブコールを送り、出演が決まったんです」

日曜夜11時台という深夜帯の放送ながら2桁台の視聴率をマークする回があり、好調を維持している「ヨルタモリ」。宮沢は、東京下町の湯島のバーのママ役という設定だが、毎回着物姿で四十路の色香を振りまいている。

メディア論を専門にする上智大学の碓井広義教授がその魅力を語る。

「まだ10代の時にCMの撮影現場で出会ったことがあります。宮沢さんがスタジオに入ると現場が急にパッと明るく華やいだのを覚えています。『ヨルタモリ』を見ていても、それを感じますよね。しかも、その華やかさがまったくもってくすんでいない。それどころか、ますます大人の魅力を増し、チャーミングになっている。稀有な女優さんですよね」


番組でタモリは岩手県在住のジャズ喫茶のマスター「ヨシワラさん」に扮する。ややなまった「ヨシワラさん」と「りえママ」との軽妙洒脱なやりとり。この新たな一面が人気となり再ブレイクしているのだ。

「いい意味で女優然としていない。42歳の素の自分をさらけ出していますよね。肩肘張らない自然体の姿は最大のチャーミングポイントです」(碓井氏)

3月1日の放送回では、「ヨシワラさん」が、

「何で女性って下ネタ言わないのかね」

と、つぶやくと宮沢は、

「いや。言いますよ。私、下ネタ好き。だって罪がないじゃない。誰も傷つけないし」

と「下ネタ好き」であることを告白している。

大物ころがしも堂に入ったものだ。

4月26日の回では、とんねるずの石橋貴明(53)がゲスト出演。93年、当時関脇だった貴花田との婚約発表前日に宮沢に電話したが、つながらなかったことを悔やんだ。そして婚約破棄の一件をネタにしたのだ。

「こっちの“貴”にしておけばよかったのに」

宮沢は過去の傷を笑顔で返すのだった。

「電話がもっと早かったら、私も婚約していなかったかも」

また、5月31日には松本幸四郎(72)がゲストで登場。珍しいバラエティ出演の理由をこう明かした。

「トークは苦手だけど、りえちゃんの頼みなら」

「世界の北野」ビートたけし(68)も、宮沢にラブコールを送る一人だ。

今年2月22日に行われた「第24回東京スポーツ映画大賞」の授賞式で、審査委員長を務めたたけしは、

「アイドル時代があって、いろいろあって脱皮していった。普通はアイドルの服を着たまま大きくなっていくが、どんどん脱いで脱皮した」

と宮沢を大絶賛した。

「ヨルタモリ」にはこれまで井上陽水、黒柳徹子など超大物が出演している。

「若手から大物まで、幅広い世代に愛されている。先日も沢尻エリカさんが出演したのですが、終始上機嫌でした。宮沢さん効果で『ヨルタモリ』に出たいと、みずから出演を売り込んでくるタレントさんもいます。明石家さんまさんもその一人」(フジテレビ関係者)

タモリとはカメラが回っていないところでも料理の話で盛り上がり、公私に渡る関係は良好だという。

(週刊アサヒ芸能 2015年 6月18日号)

シンポジウム「異文化理解とメディア」の開催 2015.06.19

2015年06月20日 | 大学


上智大学国連Weeks・国連創設70周年・NHK日本賞50年
記念シンポジウム

「異文化理解とメディア」

NHK日本賞は、世界の教育コンテンツの向上と、国際的な理解・協力の増進を目的として、1965年にNHKが創設した国際コンクールです。本シンポジウムでは、国際交流と異文化理解をテーマにした同賞の受賞作品のプレビューを行い、ディスカッションを通じて、異文化理解とメディアの役割について考えました。

■登壇者:
立教大学教授・日本賞審査委員 竹中 千春 氏
国連広報センター長 根本 かおる 氏
上智大学グローバル教育センター長/
総合グローバル学部 教授 廣里 恭史
上智大学文学部新聞学科 准教授 阿部 るり

■モデレーター: 
上智大学メディア・ジャーナリズム研究所長・文学部新聞学科 教授 音 好宏

■司会:
上智大学文学部新聞学科 教授 碓井 広義







「菜々緒」姫のドス!?

2015年06月19日 | メディアでのコメント・論評



「週刊新潮」最新号で、菜々緒さんが出演している、auのCM「乙姫登場」篇などについてコメントしています。


“ドS”キャラで闊歩する股下85センチ「菜々緒」姫


「開けちゃダメッつってんだろぉが!」

ドスのきいた声で、玉手箱に手をかけた金太郎を怒鳴りつける乙姫――。

演じているのは、身長172センチ、体重46キロ、股下85センチの美脚と美貌を誇るモデルで女優の菜々緒(26)。

「綺麗なニューハーフかと思ったほど、吹っ切れた演技です。ボンデージを着ているわけでもないのに、ムチを持たせたら、そのままSMの女王になれそうなくらいハマっている」

と唸るのは上智大学の碓井広義教授(メディア論)。


6月から放映されているauのCM「乙姫登場」篇である。auは桃太郎(松田翔太)、金太郎(濱田岳)、浦島太郎(桐谷健太)といったおとぎ話の主人公“三太郎”をCMに起用。犬のお父さんでCM好感度8年連続1位の座から、ソフトバンクを引きずり下ろしたばかり。この勢いをかって加わったのが“ドS”キャラの乙姫だったのである。

その菜々緒姫、立て続けにドSキャラでCMに出演。

たとえば、ブランド品買い取りの“ブランディア”では、「もらったプレゼント沢山あってぇ」と自称モテるタイプの先輩女子に、(自分で買ったんじゃない?)とつぶやく腹黒さ。

12日より放送されている“ファブリーズMEN”では、電車で乗り合わせたアツ過ぎる松岡修造に笑顔で、(スーツあっせ臭いの、気付いてねえな、こりゃ)と悪魔のような囁き……。

「綺麗なOL役や優しいお嬢さん役はいくらでもいますが、男にも女に対しても高飛車に上から目線で演じて、ウケる女優はなかなかいない。これだけ続けているのは本人も腹が据わったからでは」(前出・碓井教授)

ちなみに菜々緒姫は埼玉出身。ドス声のイントネーションは完璧だ。

(週刊新潮 2015年6月25日号)

【気まぐれ写真館】 梅雨空 2015.06.18

2015年06月19日 | 気まぐれ写真館

書評した本: 大沢在昌『鮫島の貌(かお)~新宿鮫短編集』ほか

2015年06月18日 | 書評した本たち



新宿鮫こと鮫島とも、ずいぶん長いつき合いになります。

大沢在昌さんの「新宿鮫」シリーズは、新刊が出るたびに一気読みで、しかも毎回、ページが残り少なくなると寂しくなって、ふと読むスピードを落としたりして・・・。

そういう本は、嬉しいですよね。

「新宿鮫」の新作、ほんと読みたいなあ。


以下は、「週刊新潮」に寄稿した書評です。



大沢在昌 
『鮫島の貌(かお)~新宿鮫短編集』

光文社文庫 605円

シリーズ第1作目の『新宿鮫』が、カッパ・ノベルスとして世に出たのは1990年。以来、『絆回廊』まで10作を数える。本書は初の短編集であり、キレのいいサイドストーリーが10編収録されている。

鮫島が署内で信頼する数少ない一人、上司の桃井を主人公にした『区立花園公園』。鮫島の恋人で、人気ロックバンドのボーカル・晶が、ある事件と鮫島の素顔を語る『似た者どうし』。また、人気コミックの主人公が登場し、鮫島と絡む異色作『幼な馴染み』もある。

中でも愛読者に嬉しいのが巻末の『霊園の男』だ。9作目の『狼花』で鮮烈な印象を残した仙田をめぐる後日譚。読後、次の新作長編が読みたくなってくる。


金 彦鎬(キム オノ):著、舘野 哲:訳
『本でつくるユートピア~韓国出版 情熱の現代史』
  
北沢図書出版 2700円  

著者が出版社を興したのは70年代半ばだ。その40年に及ぶ出版人としての歩みが一冊になった。文化運動・社会運動としての出版を目指す著者は、営業停止処分も恐れない。韓国の作家たちはもちろん、堀田善衛や塩野七生などの作品の翻訳出版も大きな功績だ。


小島慶子 
『わたしの神様』

幻冬舎 1620円

著者は元TBSアナウンサー。初挑戦となる小説の主人公は、「私にはブスの気持ちがわからない」と言い切る人気女子アナである。誰よりもスポットを浴びようと競い合い、同時に地位と権力を求めてうごめく男たちとも対峙する。ドラマでは描けないリアル感だ。


マイルス・デイヴィス、クインシー・トウループ:著、中山康樹:訳 
『マイルス・デイヴィス自伝』

シンコーミュージック・エンタテインメント 3240円

本書がアメリカで刊行されたのは89年。翻訳版は過去3回出版されている。「まあ、聞いてくれ。オレの人生で最高の瞬間は」という書き出しだけで、一気にマイルスの世界へ。訳者による見直しと共に、これまで使用できなかった貴重な写真も多数掲載されている。

(新潮書評 2015.06.18号)

【気まぐれ写真館】 梅雨の晴れ間 2015.06.17

2015年06月18日 | 気まぐれ写真館

普遍性のある青春ドラマ「ちゃんぽん食べたか」

2015年06月17日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、NHK土曜ドラマ「ちゃんぽん食べたか」について書きました。


NHK土曜ドラマ「ちゃんぽん食べたか」
さだまさしのルーツをたどる時間旅行

さだまさしの伝記ドラマと聞いて、当初は懐疑的だった。半端な成功物語や自慢話なら勘弁してほしいからだ。しかし実際に見てみると、普遍性のある青春ドラマとして、よく出来ている。

主人公の雅志(菅田将暉)は高校2年生だ。プロのバイオリン奏者になるべく長崎から上京し、芸大を目指して下宿生活を送っている。本来はバイオリンに集中すべきなのだが、級友たちと文化祭を盛り上げたり、バンドのコンテストに出場してみたりと、やや現実逃避気味。無意識ながら、自分探しの渦中にある。

まず、菅田をはじめ若手俳優たちに注目だ。級友役の間宮祥太朗、泉澤祐希。やがて、さだと組んで「グレープ」を結成する吉田正美を演じる本郷奏多。そしてドラマの中のマドンナ的存在である森川葵。今後の成長株が顔を揃えている。

尾崎将也の脚本は周囲の人たちを単なる脇役や引き立て役にせず、一種の青春群像劇として時代の空気をも描こうとしている。当時を知る者にはほろ苦い懐かしさを感じさせ、知らない者には人も音楽も新鮮に映る。

特にさだまさしのファンは嬉しいだろう。音楽との関わり、達者なトークの原点である落語など、このドラマはさだのルーツをたどる時間旅行だ。“昭和40年代ドラマ”として丁寧に作られており、ファン以外の視聴者にも十分オススメできる。

(日刊ゲンダイ 2015.06.16)


実習授業「テレビ制作」、ただいま撮影中

2015年06月17日 | 大学















授業は、いつだってライブだ

2015年06月16日 | 大学
文学部横断型人文学プログラム
「テクストを読む/メディア・ジャーナリズムのテクスト」






テクストの制作者

新聞学科の碓井広義先生による「メディア・ジャーナリズムのテクスト」。

テレビ報道とドキュメンタリーを例に、制作の過程や問題点なども紹介され、テクストの成り立ちに目が向けられました。今回のテーマで特にクローズアップされたのは、この「制作者」の視点ではないでしょうか。

「メディア・ジャーナリズム」は、日常的になにげなく触れているテクストのため、受講生には特に印象深いものとなったようです。けれども、身近だからこそ、いっそう慎重に「読む」準備が必要です。「制作者」側からテクストを考えることは、有効な手段のひとつとなるでしょう。

参考図書:碓井広義著「テレビの教科書」PHP新書

(文学部ホームページより)

気持ちのいい時間が流れる、映画『海街diary』

2015年06月15日 | 映画・ビデオ・映像



是枝裕和監督の新作『海街diary』を観てきました。

なんとも気持ちのいい時間が流れていて、「ずっと終わらないままでいないかなあ」などと夢想するような映画でした。

四姉妹ということで、『細雪』が引き合いに出されたりしていますが、違うような気がします。

それから、もしかしたら是枝監督は、「四女・すず」を演じた広瀬すずの“出現”によって、映画化を決意したのかもしれません。

そんな、あれやこれやを思わせる『海街diary』。

この作品については、あらためて、きちんと書かせていただきます。

未見の皆さんには、劇場に足を運ぶ価値は十二分にあることを、お伝えしたいと思います。


低視聴率だったけど、おもしろいドラマ!?

2015年06月14日 | メディアでのコメント・論評



女性セブンが、「低視聴率だったけど、おもしろいドラマ」という記事を掲載しました。

この中で、ドラマを2本推薦し、解説しています。

記事全体は、ぜひ本誌をご覧ください。


低視聴率だったけど、
このドラマ、実はおもしろい

視聴率40%台を叩き出した「半沢直樹」(TBS系)や「家政婦のミタ」)(日本テレビ系)のようなお化けドラマがある一方で、1ケタ台の低視聴率ドラマは今や当たり前。

だが、そうした作品がすべてつまらないというわけではない。平均2%の視聴率だった「鈴木先生」(テレビ東京系)が映画化して成功したように、おもしろいものが実は多くあるのだ。

テレビウオッチャーとメディア論の大学教授が選んだ低視聴率ドラマ傑作選!


<コラムニストのペリー荻野さんが選んだ2本>

『あすなろ三三七拍子』(2014、フジテレビ系)
  平均視聴率5.2%


『家族のうた』(2012、フジテレビ系)
  平均視聴率3.9%



<私が選んだ2本>

『ゴーイングマイホーム』(2012、フジテレビ・関西テレビ系)
  平均視聴率7.9%


脚本・演出を手がけたのは、『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞に輝いた映画監督の是枝裕和さんだ。

「是枝さんが初めて民放の連続ドラマにトライするというので、期待して見ました。実際にとても良質なドラマでした。当たり前の日常にこそドラマがあるという是枝さんの思想が見事に反映されていました」(碓井広義・上智大学文学部教授)

ドラマを盛り上げるような殺人事件は起こらないし、大恋愛もない、泣かせるような難病もないが、「画面から目が離せなかった」(碓井さん)という。

碓井さんが印象的だった場面は、山口智子(50才)演じるフードスタイリスト・沙江のCM撮影のシーンだ。

沙江が盛りつけた料理をスタッフが「美味しそう」と感心する。すると、沙江は「美味しそうと、美味しいは、別なんだよ」と笑顔で答える。

「このセリフは深いですよね。たとえば視聴者も、現実生活の中で見かけた人を『いい人そう』と思う。でも、本当に『いい人』とは限らない。つまり、あのセリフは是枝さんの『この世界は見えないところにこそ真実がある』というメッセージだと思うんです。さりげないひと言にも深い意味が込められている。それが是枝作品なんです」(碓井さん)

だが、視聴率は1話目の13%をピークに急降下してしまった。

「起伏のない日常の積み重ねというホームドラマは異色作でした。普段と違うものに対する違和感、拒否感があったのかもしれません」(碓井さん)


『ごめんね青春』(2014、TBS系)
  平均視聴率7.7%


宮藤官九郎脚本のドラマだったが、NHK朝ドラ『あまちゃん』とはうってかわった低視聴率に泣いた。それでも、碓井さんはなぜか納得の表情だ。

「面白かったですよ。最初から“視聴者限定”という潔さがあったから(笑)。『わかるヤツだけわかればいい』という感じで、小ネタもバカバカしさも満載でした」(碓井さん)

主人公原平助(錦戸亮、30才)の実家はお寺。家の中にはなぜか亡くなった母親の姿をした仏像が鎮座している。しかも平助は母親と話すことができ、母親に「あんた、ダメじゃない」とツッコミを入れられる。

「ついていけない人は『何やってるの?』って感じでしょうね。でも、その奇抜な設定があとあと効いてくる。クドカン得意の伏線も素晴らしかったです」(碓井さん)

(女性セブン 2015.06.25号)

【気まぐれ写真館】 出張で名古屋 2015.06.13

2015年06月14日 | 気まぐれ写真館




アサヒ芸能で、女優・宮沢りえさんについて解説

2015年06月13日 | メディアでのコメント・論評



アサヒ芸能に、女優にの宮沢りえさんに関する特集記事が掲載されました。

この中で、解説しています。

宮沢さんといえば、最近は『ヨルタモリ』での“湯島のバーのママ役”が好評。

確かに42歳と、すっかり大人の女性です。

以下は、私が話をさせていただいた部分ですので、記事全体は本誌をご覧ください。


記事タイトル:
宮沢りえ タモリ・たけし・松本幸四郎がデレデレ

メディア論を専門にする上智大学の碓井広義教授が、その魅力を語る。

「まだ10代のときにCMの撮影現場で出会ったことがあります。宮沢さんがスタジオに入ると現場が急にパッと明るく華やいだのを覚えています。『ヨルタモリ』を見ていても、それを感じますよね。しかも、その華やかさがまったくもってくすんでいない。それどころか、ますます大人の魅力を増し、チャーミングになっている。稀有な女優さんですよね」

『ヨルタモリ』での再ブレイクについて、

「いい意味で女優然としていない。42歳の素の自分をさらけ出していますよね。肩肘張らない自然体の姿は最大のチャーミングポイントです」(前出・碓井氏)

87年、初代リハウスガール「白鳥麗子」を務めた宮沢の印象は、

「今でこそ美少女という言葉が定着しているが、宮沢さんは元祖美少女。パッと見た時の端正な顔だち。独特の品がありましたよね。年齢にそぐわない気品があった。そこがちょっと同年代のアイドルとは一枚違った。いまどきのハーフタレントとは違う位置づけでした」(前出・碓井氏)

昨年は、映画『紙の月』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。舞台での活躍も目覚ましい。

「現在の宮沢さんを見ていると自分に自信を持っているのが見える。堂々としている理由は、舞台のキャリアが支えていると思います。野田秀樹に磨かれ、蜷川幸雄に鍛えられ、まさに目の前の観客の気持ちを動かすということをやってきましたから、足場がしっかりしている。ありきたりの人気女優ではなくて、きちん一本、筋が通っている」(前出・碓井氏)

(アサヒ芸能 2015.06.18号)


書評した本: 佐藤忠男『喜劇映画論~チャップリンから北野武まで』

2015年06月12日 | 書評した本たち



本の中で、よく読むジャンルの一つが、「映画」に関するものです。

映画は、観ても、読んでも、話しても楽しい。

小林信彦さん、川本三郎さん、佐藤忠男さんなど、信頼できる人が映画について書いた本や文章は、貴重な案内役でもあります。


以下は、週刊新潮「十行本棚」に書いた佐藤さんの新刊です。

佐藤忠男 
『喜劇映画論~チャップリンから北野武まで』

桜雲社 2138円

「お笑い芸の範囲にとどまらない演技術の歴史を書きたいと思っていた」と著者。本書には小津安二郎のギャグから黒澤明作品における道化、さらにウッディ・アレンが生み出す笑いの解読までが並ぶ。かつて低俗文化と呼ばれた喜劇が持っている豊かさと鋭さを知る。

(新潮書評 2015.06.11号)