遊びをせんとや

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残酷な神が支配する。 1Q84

2010-08-12 20:07:22 | ブックリスト
今年の夏はやっとノンフィクションが読めるようになった。

萩尾望都特集のムック本を買って長らく読んでなかった
萩尾望都を読んでみようと思った。
「メッシュ」くらいまではリアルタイムで読んでいた。
「イグアナの娘」はなぜか文庫で買って読んでいた。

やっぱり最長の「残酷な神が支配する。」だな
という事でアマゾンの中古品全巻揃いを購入。

特集で作者本人も認めてたけれど、これは「トーマの心臓」
の本質的な部分を膨らませて書いたという事だった。

あまりの描写の生々しさに辟易する部分もあったけれど
最後まで読者を引っ張っていく力はお見事。
でもなんとなく終わり方がこれで終わり?って感じは
あった。

本人が楽しんで書いたような感じだね。

登場人物がヨーロッパ(主にイギリスなんだけど)を旅している部分が
私は個人的には気に入った。
いかにもヨーロッパ人の旅の仕方だ。

流れがDVなんです。
最近の
なんとなく引っ張られていく家庭内暴力

萩尾望都特集にもインタビュアーに「萩尾さん自身も成長過程で
性的虐待を受けたのでは?」という質問を受けていた。
答えは「no」だったけれど。

すさまじい家庭の抑圧を流麗な絵とストーリーで
描いている。最近の大人の話も読んでみたい。


で、腰を落ち着けて読み出したのが村上春樹の「1Q84」
1,2巻は職場の図書館にあったので借りてきた。
主人公の青豆、私にはずっと江角マキ子がよぎる。

必殺仕置き人の「梅安」だなこれは とも思う。

オウム真理教を思わせる宗教団体と
家庭内暴力、実際の肉体は伴わないけれど
子供に対する抑圧が激しい家庭で育った2人の
人間を描いている。

そして新たに発生するDVの数々。

異次元への迷走。現実と想像の世界のクロスロード

現代をまとめるとそうなるんだろうか?

起こるべくして起こったオウム真理教の
人間のプライドを微妙に操った
数々の陰惨な事件。

そして家庭で抑圧された事に
よって引き寄せられるDV

きっと昔からあったとは思う。
でも核家族になって密室になった
分だけ人間の辛抱や遠慮がなくなったのかもしれない。
昔の家屋なら隣の部屋に些細な気配や音も筒抜け
しかも大家族だからいつも人の眼がある。
その分ストレスもたまっただろうが、、、。


話はそれるが大阪の二児置き去り殺人事件。
これは完全な人間の耐性がしまりがなくなった
事と自分の見得やプライドがない交ぜになって
引き起こされた事件だと思う。
今朝の新聞にやっと「こんな状況の親子はいっぱいいる。
なんとかできたのではないか?」という論調がでてきたので
ほっとした。そう。なんとか回避できたのだ。
母親自身の耐性がまともでがんばるか、プライドを捨てて
どこかに誰かに頼るか、、、。


現代という時代をスパッと切り取って全く違う
手法で見せてくれた2人の作品でした。

思わず1Q84の3も買ってしまった。
読み始めて4分の3は「しまった。」と
思ったがさすが最後は一気に大円団まで
もっていった。


カリカチュア的だが
現代の寓話として私は村上春樹の最高傑作
だと思う。
時代を丸ごと表現したと言えるのでは?




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