テレビ映画⑧

映画のスタジオの現場では，

1台のミッチェルキャメラを中心にワンカットずつ

撮影されていきます．

テレビ局のテレビドラマの現場は，

３～４台のテレビカメラで，

映画のワンカットよりかなり長いワンシーンを

１度に撮っていきます．

映画のスターさんから見れば、

映画の現場と違って，セットのあちこちから

色んなレンズでスターさんの演技を狙っています
．
映画スターさんには，このテレビドラマの方法が

目新しく感じられたことでしょう





テレビの台頭で映画は斜陽化していきます。

映画制作の本数も減少していきます。

やがて，各映画撮影所は，テレビ映画製作を企画します．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…

アメリカの映画界も，テレビが台頭して，

ハリウッドの映画制作会社は

テレビ映画を製作します．

アメリカの場合，劇場映画の制作と同じように

３５ミリフィルムキャメラを使って，

本格的に劇場映画並みにテレビ映画を制作しました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…

日本の映画撮影所もテレビ映画制作を企画しますが，

テレビ映画放送用のプロジェクターが

１６ミリフィルム用ですから

撮影現場のキャメラも１６ミリキャメラを使用しました．




ハリウッド製の３５ミリネガを使用した作品を

最終的にテレビ局の１６ミリプロジェクターに

合わせるために、縮小プリントになります．

日本のテレビ映画は，最初から１６ミリキャメラで撮影します

この１６ミリネガフィルムを１６ミリポジフィルムに

等倍でプリントします．

出来上がったハリウッド製の

３５ミリネガ→１６ミリプリント(縮小)と

日本製の１６ミリネガ→１６ミリプリント(等倍)を

比較すると、ピント，鮮鋭度にパリウッド製が優秀でした．

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１６ミリネガフィルムキャメラで撮影する

テレビ映画の現場に 劇映画のスターさんが

出演することになります．

映画とテレビドラマ

映画の制作は，ワンカットの積み重ねで、

撮影現場は１カ月くらいかかります．

そのあと、編集，音入れなどで、

作品として仕上がるのに日数がかかります．

映画の封切りは、劇場で入りが悪くても

一週間は上映されます．

映画は劇場で上映されているうちに、

徐々に人気や評判が出て

世間の話題になっていきます．




テレビドラマ録画の制作は，

テレビドラマでは，中抜きといっても，

ワンシーンから数シーンを続けて撮ります．

テレビドラマのスタジオ制作日数は

大体３日で終わります．

連続ドラマは毎週放映されますから，

最低一週間で仕上げなくてはなりません．




テレビドラマは出来上がると

発局を中心に全国のネット放送局から

ネット放送されます。

僅か、数時間でテレビドラマは

古くなってしまいます





これはテレビドラマに限らず

テレビの宿命です．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…

テレビにレギュラーで出演している

お笑い芸人さんは、

持ちネタをいろいろ工夫して、

練ってお笑い芸に仕上げても

テレビで放送すると，

その長い間の苦心が

１日で古いネタになってしまいます．

次々に新しいネタを仕入れて，

工夫して芸風として発表し続けなくては

人気を保つことはできません．

テレビモニター

テレビ番組を制作しているスタジオには

大きなテレビモニターが４台～５台置かれています．

テレビモニターはキャスターのついた台に

乗せられていますから、スタジオ内の

どこでも動かせます．

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テレビモニターには 制作中ドラマの

スイッチングされたカメラの映像や

テレシネ室から送られてきたフィルム映像などが流されます．

いつもは副調整室から主調整室や録画室に

送られるスイッチングされた映像が映し出されています





スタジオ内のテレビモニターは、

芝居のきっかけ待ちのスタッフや俳優さんが

見守っています．

テレビモニターの正面に立ちはだかったり

テレビモニターを正面から見てはいけません

必ず、テレビモニターの正面を外して斜め横から見るのが

スタジオ内のルールです．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…．

何も知らない映画スターさんが，

テレビモニターの前に立たれて

迷惑したことがありました。




セットに出入りする俳優さんのきっかけを

ADさんもセットの脇に控えている俳優さんに

出のきっかけを渡すのにモニターを注視しています。

カメラがハイアングルでカメラのファインダーが見えないカメラマンが

テレビモニターをファインダー代わりに使っているときもあります。

スタジオ内のテレビモニターはそれぞれの立場で使っています．

テレビモニターの正面を空けておかなくてはなりません．




テレビドラマの××シーンの録画撮りがOKになりますと、

VTR室では録画したテープを頭出しして待ち構えます．

テレビディレクターが副調整室のトークバックで

「ただ今の，××シーンはOKです」

とスタジオに知らせます．

「いまの××シーンをプレビューします」

スタジオにある４台～５台のテレビモニターに

録画撮りした××シーンが映し出されます．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…

テレビドラマに出演している映画スターさんは

映画では撮影後，数日たって

試写室でラッシュプリント試写という形でしか

その××シーンが見られませんが

テレビドラマでは，録画してOKが出れば，

すぐにプレビューできます．

これには，映画スターさんは驚きます．

テレビドラマの新しい魅力に引き込まれます．

映画のアクションダブり

映画スターによるテレビドラマ録画は

順調に進んでいきました．

最初，ADさんの秒読み

「５，４，３，２　…」

でシーン撮りが始まる，テレビスタイルに戸惑っていました

何とか、映画現場のカチンコ、スタイルで行われないかと

言っていた俳優さんも、テレビスタイルに馴染んできました．




映画のミッチェルキャメラ並みのボリュームの

テレビカメラ３～４台(マルチカメラ方式)が

ドリーに乗ってスムーズにセットの中を動いていきます．

最初，どのカメラが自分をとらえているのか

映画スターさんはまごついておられました．

映画スターさんを撮っているカメラは，

カメラの上に赤いランプ(タリー)がつきます
．
そのカメラのレンズを見れば，

アップかバストショット、ミディアムショット

わかるようになってきます．

映画スターさんは演技の中で

赤いランプのついたカメラを

意識されるようになりました．




映画ではアクションダブりという

独特のカット撮りがあります．

右手で茶碗を持ち上げる俳優さんのバストショットを

撮影します
、
次につながるミディアムショットの撮影でも、

右手で茶碗を持ち上げるアクションを繰り返します．

編集の段階で，そのアクションの途中のところで編集すると

俳優さんの右手で茶碗を持ち上げる途中で滑らかに

バストショットとミディアムショットが

つながります。

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テレビドラマはそのシーンを連続で録画しますから

カメラをどのアクションで切り替えても、

アクションは滑らかにつながります。

アクションダブりの特別な手法はテレビではありません．

写真研究会・OB会、幹事会

京都市四条烏丸、大丸百貨店の北側

いつもの会議室で

本年度2回目の幹事会が開かれました．





来年，春の展覧会は

会場がいままでの倍になります



写真研究会OB会の来年の展覧会で

60周年を迎えます．

綿密な打ち合わせが続いています．





赤穂市から名誉会長、和歌山から現会長

宇治，高槻など遠方からの会員が集まりました





夕方、会合はお開きになりました。

録画撮りテレビ番組

生テレビドラマが、VTRの出現で，

録画テレビドラマが増えてきました．

テレビ番組はドラマだけではありません．

婦人ニュースの座談会番組など、

出演者が放送時間に間に合わない場合は

録画撮りになりました．

生放送番組（トーク番組）では，

出演者の失言が番組にとって致命的な場合があります

録画撮りでは、撮り直しがききますから，

出演者もスタッフも安心です．

教養番組を生で放送している場合は

放送時間が済めば，仕事は終わりでスタッフは開放されます

教養番組の録画撮りでは，出演者のスケジュールもありますから

録画撮りにはそんなに時間はかからないはずです。




ある若いスタッフの婚約者が久しぶりに大阪に出てきました．

そのお嬢さんに、夕方にはこの録画撮りは終わるから

それから、夕食ニ行こうと約束して

テレビ局のロビーのソファで待たせていました．

結局，この録画撮りの番組が終わったのは，深夜になりました

録画撮り中，いろんな手違い，ミスが続出してしまったのでした

それから、どんな楽な録画撮りの場合でも

恋人との約束は危ないということになりました。

生放送では放送時間が済めば，時間通り，開放されますが

録画撮りに番組では予定の時間に終わることはありません．

それが、複雑な中抜きの録画ドラマになると必ず

徹夜の録画撮りがありました．

テレビドラマの録画

テレビドラマも録画撮りでは，映画制作のように、

「中抜き」スタイルで，

制作するようになりました．

もちろん，映画制作は，

キャメラ１台での中抜きですから

徹底的なワンカットの中抜きの積み重ねです。

キャメラサイドにいる監督はカットのつながり、

シーンのつながりを考えますから

ワンカットずつ俳優さんの演技を注意深く見守ります．




テレビドラマの録画撮りでは，テレビカメラ３～４台で，

１シーン～数シーンを撮っていきます。

テレビカメラは連続した俳優さんの演技を

フルフィギュア、ミディアムショット、

大写しとサイズを変えて撮っていきます．

カメラのカットをどのように切り替えても

演技のつながりは大丈夫です．

そのシーンの中で俳優さんの演技はつながっています．

テレビディレクターは，１シーンの連続した演技を，

３～４台のテレビカメラで切り替えていきますから，

よほど，カメラのカット割りに無理がないかぎり、

演技のつながりにジャマしません．

映画制作とテレビ録画撮りは、

同じ「中抜き」といっても、ちょっと違います．

テレビディレクターと映画監督は同じ演出の仕事とはいえ、

制作上の手順や、演技の組み立てが違う仕事と思っています。

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映画は映像の大先輩です．

後発のテレビマンは，

この映画屋(カツドウヤ)さんに

コンプレックスがありました．

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映画制作は、中抜きスタイルで能率的に

仕事を進めていきますが

封切日やその他の理由で，仕事に無理が重なって

徹夜の仕事になることが多いです．

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テレビ録画ドラマも，俳優さんのスケジュールや、

セットの建て替え、女優さん時間のかかる

衣装替え、化粧直しなどで、

制作過程で念入りになってきます

映画のようにテレビドラマでも

徹夜の仕事が，多くなってきました．

生ドラマの衣装替え

生テレビドラマでも，出演の俳優さんの衣装替えや

メークアップの手直しはありました。

スタジオの片隅に畳を敷いて
、
目隠しに屏風を周りに立てます．

衣装替えの俳優さんは、

生本番中に屏風へ駆け込んできます．

中には衣装係の女の子が居ます．

和服の場合は，屏風に駆け込む前から

帯を緩めています．

そして、女の子に洋服を着せてもらいます．

メークアップを別の化粧係の女の子が

手鏡を俳優さんに見せながら

キビキビと直します．

あっという間に、衣装替え，メーキャップを終わって

次のセットへ駆け込んでいきます．

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この衣装替えの畳と屏風は，

完全に目隠しはできません

中がある程度見えます．

下着の女優さんが見えることがありました

その女優さんを見たから

どうというものでもありませんでした．





歌舞伎の舞台でも，早変わり二役、四役など、

早変わりを売り物にした芝居があります。

早変わりの歌舞伎俳優が下手袖に引っ込むと，

衣装係はまず俳優さんの衣装を脱がせます

そして下着のままの俳優さんは地下に降ります。

そこから花道の下を走っていく間に途中に

次々と着物を持った衣装係が何人か並んでいます．

次々にその衣装をつけて最後にカツラをつけて、

花道の出に間に合います．

あまりの早業に場内の観客はどよめきます．

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生テレビドラマは衣装替えで

ドラマをストップすることはできませんから

衣装替えのある生ドラマの場合は、

その俳優さんを含めて事前に衣装替えの時間を:計算して

本番に臨みました。

スタッフの前での衣装替えに

俳優さんはなんて抵抗も感じていませんでした

女優さんのお色直し

「五社協定」の緩和と生ドラマから

ＶＴＲ録画撮りドラマになって

映画スターさんがテレビドラマに

出演するようになりました．

映画スターさんのスケジュールに合わせて，

録画撮りドラマ（テレビドラマ）も

映画のように「中抜き」のシーン撮りになってきました





テレビドラマのスタイルとして、生ドラマからの伝統か

台本をもとに通しの本読みはありました．

次のリハーサル室の床にチョークでセットの居間の図面を描いて

その上で，通しの立ち稽古を行っていました

「中抜き」のテレビドラマも

本読みと立ち稽古は昔、通りやっていました．

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スタジオに入って、建ち上がったセットでのリハーサル

「ドライリハーサル」は「中抜き」の１シーンのみの

リハーサルをおこなっていました。

「ドライリハーサル」が無事済むと，

カメラを使った「カメラリハーサル」を行います．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…
．
セットの手直し，照明のつり込み、

音声のマイクセッティング，カメラ調整を行います．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…

俳優（出演者）さんは時代劇ならば

床山でかつらを付けます．

衣装部屋で衣装を着けます．

メイクアップ室で，化粧をします。

特に，女優さんの化粧と衣装の仕上がりは

びっくりするほど時間がかかります

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…

身近の結婚披露宴での花嫁さんの

お色直しは時間がかかります。

中抜きでシーンの録画撮りでも，

女優さんの衣装替え（お色直し）の

時間をしっかり計算に入れないと

スケジュールの予定が大きく狂ってきます．

録画ドラマの「中抜き」

テレビの生ドラマは、ＶＴＲの録画撮りに移行していきます．

ＶＴＲ録画の初めは，

台本の初めから終わりまで，

生ドラマのように連続して演技を続けます．

それをそのままＶＴＲに撮ります

録画中に出演者の台詞の間違いやトチリが出ますと

最初から録画をやり直していました．

やがて、ＶＴＲも電子編集という技術が現れます．

これは高価なＶＴＲテープを切断することなく，

編集できるようになりました。

生ドラマの尺数は１５分、３０分，でした。

それがＶＴＲの録画撮りドラマとなって

一時間、二時間ドラマと長くなっていきました．

ドラマが長くなると，セットの数も多くなります．

セットごとに録画撮りをするようになります．

ドラマ撮り初日は，Ａスタジオのセットで録画撮りをします

２日目はＢスタジオの違うセットで撮ります
．
３日目は，セットを建て替えたＡスタジオに戻って

録画撮りをします。

部分撮り(中抜き)のＶＴＲを台本のストーリー通りに

編集して完成します．

セットの都合で，映画のように中抜きで，

撮るようになりました．





映画とテレビの「五社協定」もなくなって、

大物映画スターが

テレビに出演するようになります．

映画スターのスケジュールで部分撮りが始まります．

セットの都合や映画スターのスケジュールで

テレビドラマの「中抜き」が始まります。

　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…

テレビドラマの「中抜き」録画は，映画のようにシーンを

分解してワンカットずつの徹底した「中抜き」とは違って，

各シーンを３～４台のテレビカメラで撮っていきますから，

そのシーンの中は連続して録画撮りをしています．

　　　　　　　　　　　　　　　　…　…　…　

やがて，本番の用意ができると，副調整室内のディレクターは、

「シーン××、本番まいります」

ＶＴＲをスタートさせて

「30秒前…」

とトークバックでスタジオに告げます．

あとはスタジオのＡＤさんの

「１０秒前…、５，４，３、２…」

とカウントして

「中抜き」シーン撮りが始まります．